Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

勇気を阻む不運なし(Contra valor no hay desdicha)

ロペへの帰属:ほぼ確実

執筆年代:1620-35年

種類:歴史劇

補足:アケメネス朝ペルシャの創立者キュロス2世の青年時代を描く。古代のペルシャが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 若い村人キュロスは、本ばかり読んでいることを牛飼いの父ミティダトレスから責められる。キュロスは、本を読んでいるうちに、意に反して自分が高貴な人間のような性格をもつようになったと父に話す。

 

 キュロスはメディア王国の国王アステュアゲスの寵臣ハルパゴスの妹フィリスと同じ村で育ち、彼女に求愛している。友人の村人バートは彼の恋を応援している。王子ダレイオスもフィリスに求愛しているため、フィリスはキュロスに危険が及ばないかと心配するが、キュロスは意に介さない。フィリスは彼の勇気と知性を好ましく思い、自分のリボンを彼に贈る。いっぽう村の娘フローラはキュロスに片思いをしており、フィリスに嫉妬する。

 

 村の祭りの日、若者たちは様々なゲームをして楽しむ。キュロスはあらゆるゲームに勝ち、賞賛される。若者たちがふざけてキュロスを王と呼び、ひざまずいて彼への忠誠を誓うと、キュロスはそれを真に受け、自分がほんとうに王であるかのようにふるまい始める。

 

 キュロスは若者たちに従者としての仕事を与え、しくじりをしたフィネオという若者を鞭で打つように命じる。フローラはそれを見てキュロスを非難する。しかしキュロスは自分に王の資質が宿っていると確信する。

 

 国王アステュアゲスは、ハルパゴスの前で、自分のかつての行いを回想する。「メディア王国が滅ぼされる」という予言を受けた国王は、娘を最も身分の低い男性と結婚させ、娘から生まれた男の子を野獣の餌食にするようハルパゴスに命じ、王子ダレイオスのみを後継者として残したのであった。

 

 国王とハルパゴスが話しているところへ、フィネオとその父バンドロがキュロスを訴えにやってくる。国王はその話を聞いて、キュロスは自分が殺したはずの孫ではないかと疑う。

 

 ハルパゴスが自宅へ戻ると、彼の妹のフィリスを王妃と呼び、彼女の前で国王のようにふるまうキュロスの姿があった。ハルパゴスはキュロスに高貴な血が流れていることを察知し、彼とミティダトレス、バートを王宮へつれていく。

 

 ミティダトレスは国王に、キュロスを育てたいきさつを話す。「ハルパゴス様から赤ん坊を渡され、岩の上に投げ捨てて殺すようにと命じられたので、そのように致しました。しかし同じ日に私の息子を亡くしたので、その赤ん坊のところへ戻ってみると、奇跡的に助かって野犬に乳を与えられていました。私はその赤ん坊を連れ帰って、息子として育ててきたのです」

 

 国王は、孫が見つかって喜んでいるように見せかけ、ミティダトレスに「時がくればキュロスを迎えにいくので、それまで村で育てるように」と伝えて彼らを帰す。しかしその後で国王はフィネオとエバンドロを呼び、キュロスたちを森の中で殺すよう命じる。さらに国王は命令どおりに孫を殺さなかったハルパゴスに復讐するため、彼の息子をひそかに殺し、その肉を料理してハルパゴスの食卓に出させる。

 

 村へ戻る途中、キュロスたちは急な悪天候に見舞われる。ミティダトレスは災いが起きるのではないかと怯えるが、キュロスは「勇気を阻む不運なし」と断言する。そこへ兵をつれたフィネオとエバンドロが、キュロスたちを襲撃する。キュロスは負傷しながらも彼らを殺し、勝利する。そこへハルパゴスが現れ、自分が国王から受けたむごい仕打ちについて話し、国王がキュロスを殺そうとしていることを教える。村でバートから知らせを受けたフィリスもやってきて、キュロスの無事を喜ぶ。ハルパゴスはキュロスの従者となって忠誠を尽くすことを約束する。

 

 キュロスは自分の身分を公表し、祖父のアステュアゲスと戦う準備をする。彼は恋人のフィリスに対して、変わらぬ愛を約束する。

 

 バートはフローラを口説こうとするが、キュロスにふられたフローラは「もうどんな男性も愛さない」と言ってバートを拒否する。

 

 ハルパゴスとバートは使者として王宮へ行き、アステュアゲスに降伏をすすめるキュロスの手紙を渡す。アステュアゲスは激怒し、キュロスと戦うべく兵を集める。

 

 キュロスの軍とアステュアゲスの軍との戦闘が始まる。キュロスの落馬や彗星の出現などが、悪い出来事の前触れではないかと兵士たちを怯えさせるが、キュロスはいっさいの凶兆を否定して兵士たちを鼓舞する。ハルパゴスの援軍がやってくる。ハルパゴスはキュロスとの信頼関係の証として、妹のフィリスをキュロスの軍に守らせる。

 

 キュロスの軍は一時は劣勢となるが、ハルパゴスの応援もあって勝利を収める。アステュアゲスはキュロスに命乞いをする。キュロスは祖父を許し、新しい国王となる。キュロスがフィリスを王妃として迎える場面で幕となる。

 

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ヤン・ファン・デル・モイエン

《赤ん坊のキュロスを殺すようハルパゴスに命じるアステュアゲス王》

1535-1550年

タピスリー

ボストン、イサベラ・スチュアート・ガードナー美術館

Isabella Stewart Gardner Museum : Home