Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

どうぞご勝手に(Con su pan se lo coma)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1612-15年

種類:農村を舞台とした同時代劇

補足:ラミロ2世時代(10世紀)のレオンが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  農夫のフィラルドは、レオン近郊の山中に住んでいる。老いて死を迎えた彼は、双子の息子たちセリオファビオに、彼の最後の望みを伝える。「おまえたちに私の財産をすべて与える。だから二人とも、この家に住み続けてほしい。そして、これまでと同じように慎ましく暮らしていってほしい」

 

 セリオとファビオは父の願いを受け入れ、フィラルドは安らかにこの世を去る。

 

 仲の良いセリオとファビオは、父の遺産を分配することなく、ともに維持していくことを約束する。そこへ彼らの従妹のイナルダが現れる。

 

 セリオとファビオは、イナルダの美貌に魅せられる。いっぽうイナルダはセリオに恋をしている。それを知ったファビオは、自分は身を引いてセリオとイナルダの仲をとりもってやろうと考える。

 

 従者のトメがやってきて、村の祝祭の準備をしているところだとファビオに告げる。ファビオはトメも祭りに参加できるように、自分の馬と服を与える。

 

 レオン市内では、ドニャ・エルビラと騎士のヌーニョが話をしている。そこへ国王ラミロが現れてエルビラを口説く。ヌーニョは国王に激しく嫉妬するが、エルビラはどちらも相手にしない。

 

 国王は狩りをするため山へ行き、セリオに遭遇する。セリオの美しさと聡明さを見た国王は彼に好感を持つ。国王の正体に気づいていないセリオは、彼を夕食に招待し、祭りを見ることを勧める。

 

 ファビオとイナルダは、宮廷人としてセリオに紹介された国王を温かく迎える。しかしイナルダは「宮廷の生活よりも農村の生活の方がいい」と侍女のラウレータに告げる。

 

 食事が終わると国王は自分の正体を明かし、セリオを王宮につれていきたいと告げる。ファビオは反対し、父親の遺言を思い出すようにとセリオに助言するが、宮廷生活に魅力を感じたセリオは山を去ってしまう。

 

 イナルダはセリオがいなくなったことを嘆く。ファビオはイナルダをなぐさめ、「きみをこの山の女王にしてあげよう」と言うが、イナルダは聞く耳を持たない。

 

 セリオは国王の信頼を得て、宮廷での交渉事をすべて任されていた。彼の出世の様子をトメから聞かされたファビオは興味を示さず、「どうぞご勝手に(原文では『向こうは自分のパンを食べればよい』。私には興味がない、という意味の慣用句。)」と言い捨てる。

 

 イナルダとラウレータは、ともに王宮へ行ってセリオに会う。王宮のきらびやかさと、セリオの華やかな衣服や取り巻きの多さに彼女たちは圧倒される。高慢になったセリオはイナルダが王宮へやってきたことを非難し、帰るようにと指示する。イナルダは彼の冷たい態度に憤慨して去る。

 

 トメはセリオに、ファビオがセリオの生活を軽蔑していることを知らせる。怒ったセリオはファビオを王宮に呼びつける。

 

 ヌーニョは、農夫のセリオに宮廷での仕事を奪われたことをエルビラの前で嘆く。国王がセリオをつれてエルビラを訪問する。エルビラに魅力を感じていた国王であるが、セリオもまたエルビラの美しさに幻惑されている様子を見て、その日のうちに二人を結婚させると宣言する。ヌーニョは愛する女性を失ったことを嘆き、エルビラは農夫と結婚することになった我が身を嘆く。

 

 ファビオが王宮に到着する。セリオはファビオを厩舎で待たせ、彼の粗末な衣服を非難する。すっかり人が変わってしまったセリオを見てファビオは怒り、王宮を去る。

 

 イナルダのセリオへの恋心はさめてしまい、彼女はファビオを愛するようになる。ファビオは喜び、イナルダに求婚する。

 

 セリオはエルビラとの結婚式にファビオを招待するが、ファビオは現れない。セリオがファビオを待ち焦がれていると、二人の男(変装したファビオと従者)が現れ、彼に一枚の紙を渡す。そこには、宝石に身を包みながらも蛇に絡みつかれて身動きできない一人の男の絵と「どうぞご勝手に」という言葉があった。さらにトメからファビオとイナルダとの結婚を知らされ、セリオは初めて農村の暮らしを捨てたことを後悔する。

 

 農夫たちがファビオとイナルダとの結婚を祝っているとき、セリオが現れる。ファビオは怒ってセリオを追い出そうとするが、セリオはこれまでの生活を後悔していることを告白し、自分を妬む人々のせいで国王の寵愛を失ったこと、妻のエルビラが自分の身分を理由に敬意をもってくれないことなどを打ち明ける。

 

 ファビオはセリオに「山での生活に戻ることを国王に願い出て、エルビラをつれて帰ってこい」と助言する。

 

 ナバーラ国王がさしむけた刺客のリカルドが、レオンの王宮に潜入する。彼は国王を暗殺するためにヌーニョを仲間に引き込もうとする。エルビラを失って絶望したヌーニョはリカルドに協力する。

 

 セリオが国王に、山へ戻ることを願い出る。リカルドはすばやくセリオの代わりを務めることを申し出て、国王に許可を得る。

 

 セリオは、エルビラをつれて山へ戻る。農夫たちは彼らを歓迎する。ファビオは兄弟が戻ってきたことを喜ぶ。セリオを軽蔑していたエルビラであるが、心を入れ替えて夫とともに農村での生活を送ることを決意する。

 

 国王はリカルドとヌーニョをつれて山へ狩りに出かける。リカルドはヌーニョに「国王をつれてセリオの家に行き、王に毒を飲ませよう。王が死んだら、かつての寵愛を失った恨みでセリオが王を殺したということにしよう」と提案する。しかし彼らの話し声は、木陰にいたセリオにすべて聞かれていた。セリオは国王に、彼らの企みを知らせる。

 

 国王はだまされているふりをして、リカルドとヌーニョに誘われるまま、セリオの家を訪ねる。ヌーニョは粗末な格好をしたエルビラを見て、彼女が自分のもとへ戻ってくるだろうと期待するが、エルビラはそれを拒否する。

 

 セリオたちは国王に食事を提供する。リカルドは国王の飲み物に毒を入れて渡す。しかし国王はセリオの持っている杯から飲むと告げ、自分の杯を従者たちに譲る。ヌーニョとリカルドがそれを飲むことを拒否すると、国王は彼らの陰謀をあきらかにして、死刑を宣告する。

 

 国王は、自分の命を救ったセリオに感謝し、再び宮廷に戻ってくるよう勧めるが、セリオはそれを断る。エルビラも農村での生活のほうがすばらしいと考え、セリオの意見を支持する。国王は、彼らの家系と山村をあらわした紋章を彼らに贈る。トメとラウレータが国王の祝福のもとに結ばれて幕となる。

 

 

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