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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

コルドバの騎士団長たち(Comendadores de Córdoba, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1598年以前

種類:歴史劇

補足:初期の作品。カトリック両王グラナダ王国を滅ぼした1492年のコルドバが舞台となる。夫婦間の名誉と復讐を扱ったこの時代のスペインの戯曲の中でも、最も凄惨な内容のもの。フアン2世の治世下(15世紀中頃)のコルドバで起きたとされる伝説的な事件を翻案した16世紀末のロマンセ(物語詩)をロペが参照して、この作品を書いたと推定される。不義を犯した妻とその愛人だけでなく、その共謀者や従者や奴隷たち、はては家内にいた飼い犬や猫、猿、オウムまでことごとく夫に殺される場面はコミカルでさえあり、悲劇的というよりもむしろ戯画的に演じられた可能性がある。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ドン・ホルヘドン・フェルナンドの兄弟は、グラナダ遠征での軍功を認められ、コルドバの騎士団長となる。司教である叔父は彼らを誇りに思い、二人に自分の馬を貸してコルドバ市内をめぐってくるようにと勧める。しかしホルヘとフェルナンドは落馬するのではないかと恐れ、徒歩で行くことを選ぶ(劇中ではたびたび、この二人が戦いに不得手であることが暗示される)。

 

 ホルヘとフェルナンドは、従僕のガリンドをつれて、美女と評判の従妹ドニャ・ベアトリスに会いに行く。彼女の夫であるコルドバ市会議員(ベインティクアトロ)は留守である。

 

 グラナダでは、国王フェルナンドが部下たちとともに勝利を祝っている。市会議員が現れ、「戦争が終わったので、妻のもとに戻らせてください」と嘆願する。国王はその願いを聞き入れ、彼に褒美として指輪を与える。市会議員は感激してそれを受け取る。国王はグラナダを去り、トレドへ戻る。

 

 ベアトリスは、夫の姪のドニャ・アナと話をする。ベアトリスは、嫉妬深い夫が、留守の間も彼女の自由を奪っていることに不満を抱いている。

 

 騎士団長たちがベアトリスを訪問する。ホルヘはベアトリスを、フェルナンドはアナを、ガリンドはベアトリスの奴隷のエスペランサをそれぞれ口説く。女性たちは彼らを喜んで受け入れる。

 

 騎士団長たちが去った後、市会議員が帰宅する。ベアトリスは喜んで迎えるふりをする。市会議員は感動し、結婚生活の素晴らしさについて語るが、夫に愛情を抱いていないベアトリスは苦痛を感じる。

 

 市会議員は、再び国王に仕えるためトレドへ行くことになる。彼はベアトリスに愛をこめて別れを告げ、彼女への信頼の証として、彼が国王から贈られた指輪を渡す。そこへ騎士団長たちが訪問してくる。市会議員は、ホルヘに対するベアトリスの態度に不安を感じながらも、妻の従兄弟である騎士団長たちにだけ自分がトレドへ行くことを打ち明け、家を後にする。

 

 ホルヘ、フェルナンド、ガリンドはそれぞれベアトリス、アナ、エスペランサと逢引を楽しもうとする。市会議員の従者ロドリゴはエスペランサに恋しており、ガリンドに嫉妬する。しかし、突然司教の命令によりホルヘはトレドへ、フェルナンドはセビーリャへ派遣されることになる。

 

 ベアトリスはホルヘとの別れを悲しみ、夫から贈られた指輪をホルヘに贈る。

 

 トレドでは、カトリック両王の娘フアナとハプスブルク家のフィリップとの縁談がまとまる。市会議員と国王フェルナンドが話しているところへ、ホルヘが現れて国王に書類を手渡す。ホルヘの指にはめられた指輪を見た市会議員と国王は驚く。

 

 ホルヘが去った後、国王は「私の与えた指輪をおまえはホルヘにやってしまったのか」と怒る。市会議員は、指輪を妻に与えたことを告白する。国王と市会議員は、ベアトリスとホルヘとの関係に疑いを持つ。

 

 ベアトリスとアナは、侍女のアントニアに歌を歌わせる。アントニアは「騎士団長たちよ/私に出会ったのが悪かった」という言葉で始まる歌を歌う(この劇のもとになったと思われる歌であり、劇の結末を暗示する)。

 

 市会議員がベアトリスのもとへ戻る。彼は妻に「私自身の名誉をかけて、国王への務めを果たさなければならない」と告げる。彼は従者のメドラーノにことづけて、騎士団長たちを食事に招待する。

 

  ホルヘはドン・フアン・デ・アロという貴族と争っている友人ドン・ルイスに加勢しようとするが、剣がさびていたために抜くことができず負傷してしまう。フェルナンドも不慮の出来事により怪我をする。二人は悪い予感をおぼえながらも、市会議員の招待を受ける。

 

 市会議員はロドリゴを問いただし、ベアトリスの不義の一部始終を知る。彼は自らの不幸を嘆く。

 

 ホルヘは市会議員の家に到着すると、床に倒れてしまう。彼を介抱しようとしたフェルナンドは、水差しを手から落とす(不幸の前兆)。市会議員は何食わぬ顔で会食の準備を整える。

 

 食事が終わると、市会議員と騎士団長たちは狩りに出かける。騎士団長たちはこっそり家に引き返してきて、女性たちとともに寝室に入る。ガリンドとエスペランサも、個室に入って愛を交わす。

 

 市会議員はロドリゴとともに家に引き返し、寝室にいたホルヘ、フェルナンド、アナを斬り殺す。ベアトリスは失神する。市会議員は家の中にいた従者たちや動物たちも皆殺しにする。慌てふためいて逃れようとしたガリンドとエスペランサも、見つかって殺されてしまう。

 

 意識を取り戻したベアトリスは、自分の罪を認め、死ぬ前に告解をしたいと夫に懇願する。市会議員はそれを許し、告解させた後で妻を殺す。

 

 トレドにいる国王は、フィリップにスペインを任せ、ナポリへ赴くことを宣言する。そこへ市会議員が現れ、妻や騎士団長たちを殺したことを告白し、自分の剣を差し出して国王に処刑してほしいと懇願する。しかし国王はこの事件を「歴史に記録されるべき出来事」として賞賛し、死んだドン・フアン・デ・アロの娘ドニャ・コンスタンサを市会議員に妻として与え、幕となる。

 

 

lopedevega.hatenablog.com