Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

確かなものより疑わしきものを(Cierto por lo dudoso, lo)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1612-24年

種類:都会的な同時代劇

補足:14世紀のカスティーリャ王ペドロ1世と、その異母弟であったエンリケ・デ・トラスタマラを主人公としているが、内容はほぼ同時代劇である。アンダルシア地方のアデランタード(前線総督)であり、文学や芸術の擁護者でもあったアルカラ公爵フェルナンド・アファン・デ・リベーラに献呈されている。

 

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

 ドン・エンリケ伯爵は、国王ドン・ペドロの異母弟である。彼はドニャ・フアナという女性に恋をしているが、国王もまたフアナに恋し、彼女に求婚している。国王は、エンリケの恋心に気づいていない。

 

 セビーリャの聖ヨハネの前夜祭(夏至の頃に行われるキリスト教の祝祭)の日、エンリケは国王と偶然に出会う。国王は、彼が誰に恋をしているのかと質問する。

 

 エンリケは「私はいま、二つの恋をしています。ひとつは可能な恋で、もうひとつは不可能な恋です」と答える。エンリケは「可能な恋」の相手として女友達のテオドラの家へ国王を案内し、テオドラに「国王をしばらく引き留めておいてほしい」と頼んで、フアナに会いに行く。エンリケが姿を消したことに気づいた国王は、彼の「不可能な恋」の相手はフアナではないかと疑いを持つ。

 

 フアナはエンリケを愛しており、国王の求婚に応じるつもりはない。しかし彼女と同居している従妹ドニャ・イネスもひそかにエンリケに恋していて、フアナの存在を邪魔に思い、彼女に国王との結婚をすすめる。

 

 フアナとエンリケが会っているところへ、嫉妬にかられた国王がやってくる。エンリケは物陰に隠れるが、運悪く彼の持っていた時計が鳴り、国王に見つかってしまう。エンリケは国王の嫉妬を恐れ「私はイネスに会いに来たのです」と噓をつくが、国王はそれを信用せず、エンリケを追放する。

 

 セビーリャを去る日、エンリケはひそかにフアナの家を訪れる。「国王に見つかったらあなたの身が危ない」とフアナは警告するが、それを自分への無関心と解釈したエンリケは、怒ってフアナに別れを告げる。

 

 イスラム教徒との戦いに行っていたアデランタード(前線総督)が、セビーリャに帰ってくる。彼はフアナの父親である。国王はアデランタードに、「フアナに近いうちに名誉を与えるつもりだ」と告げる。

 

 エンリケは国王の命令を無視して、ひそかにセビーリャに戻る。彼はテオドラから、国王とフアナとの結婚の噂を聞き、真偽を確かめようと考える。

 

 フアナはイネスの説得に負け、国王の求婚を受け入れようと考える。しかしそれに気をよくしたイネスは、自分がエンリケに恋していることを彼女に暴露してしまう。イネスの奸計に気づいたフアナは怒り、再びエンリケへの愛を誓う。

 

 エンリケの従者ラミーロが、エンリケの手紙を持ってフアナの家を訪ねる。イネスはそれを奪い、「フアナと国王との結婚はもう決まったこと」と彼に伝えて追い返す。イネスが手紙を読もうとしたときに国王が訪問してきたので、イネスはそれをエンリケからイネスへ送られてきた手紙だと嘘をつく。さらにイネスは「フアナがエンリケに横恋慕して、無理やり彼をセビーリャにとどまらせたのです」と告げる。

 

 フアナの意思を確認しに行こうとしたエンリケは、国王と鉢合わせをしてしまう。国王は彼を捕らえようとするが、エンリケはその場から逃げ出す。

 

 エンリケはフアナに会うが、イネスの奸計のせいで二人は互いの誠意が信じられなくなっていた。エンリケはイネスを問い詰める。イネスは、「国王にあなたの手紙を読んでいるところを見られ、国王を怒らせてはいけないと思って嘘をついた」と弁解する。

 

 国王が突然フアナを訪問してくる。フアナはエンリケに隠れるようにと指示する。

 

 国王はフアナに、今すぐ自分と結婚しようと提案する。フアナは、「まず私の父と話してください」と国王に懇願し、時間かせぎをしようとする。隠れていたエンリケは、国王のフアナへの執着の強さに驚き、自分は身を引くしかないと考える。エンリケはフアナに別れを告げて立ち去る。

 

 国王はアデランタードを呼び、「今夜、おまえの娘のフアナを重要な人物と結婚させる。我々は近いうちに親類になるだろう」と告げる。アデランタードはそれを聞いて、フアナの結婚相手は王の弟であるエンリケかと推測する。

 

 国王はフアナの家へ王冠を届けさせる。それを見たフアナは、自分とエンリケとの恋に不安や疑念を感じてはいるものの、それでも「確かなものより疑わしきものを」選び、国王との結婚を拒否しようと決心する。

 

 国王が司祭をつれてフアナの家へやってくる。フアナは国王に「実は、不慮の事故により私とエンリケは接吻してしまいました。名誉を守るためには、私は彼と結婚しなくてはなりません」と嘘をつく。すると国王は、「私の未来の妻の名誉を守るために、エンリケを殺す」と言い、エンリケを探しに行く。

 

 エンリケは、フアナの侍女エルビラの助けによって、フアナの家に潜入していた。それを知ったイネスはアデランタードに告げ口をする。しかし、アデランタードは国王の遠回しな言葉を思い出し、エンリケこそがフアナの結婚相手なのだと誤解する。

 

 国王がフアナの家に戻ってくると、すでにアデランタードによってフアナとエンリケの結婚式は終了していた。アデランタードは国王に新郎新婦を紹介する。エンリケは狡猾にも「私は結婚式に出席するつもりで来たのですが、アデランタードの命令に従って彼女と結婚したのです」と告げる。国王はもはや手の打ちようがないことを悟り、いさぎよく二人を祝福する。

 

 

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