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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

トレムセンの包囲(Cerco de Tremecén, el)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1595-1603年

種類:歴史劇あるいは架空の宮廷劇

補足:北アフリカのトレムセンが舞台となる。カトリック両王時代(15-16世紀)の北アフリカにおけるキリスト教徒とイスラム教徒の攻防を背景にしているが、史実に基づく要素はほとんどなく、宮廷劇の趣が強い。ギリェン・デ・カストロの作品とする説もある。男装の女性と、その女性に恋する女性が描かれる。

 

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 北アフリカのトレムセンは、モーロ人の支配する王国である。 

 トレムセン国王の弟ガルバンは、すぐれた軍人である。彼は国王が自分の恋人アリアルダを口説いているのを知って激しく嫉妬する。

 

 国王はアリアルダを手に入れるため、ガルバンに「6か月間の国外追放、もしくはベルソライダという女性との結婚」を選択させる。ガルバンは国外追放を選択する。

 

 しかし、その直後にドン・ディオニス伯爵に率いられたキリスト教徒の軍勢がトレムセンを包囲したという知らせが入る。国王は不安になり、ガルバンの追放を取り消そうとする。

 

 キリスト教徒の陣営では、クラリンダという女性のことでドン・ディオニスに嫉妬している騎士トリスタンが、ドン・ディオニスと決闘しようと考える。彼はドン・テーリョらとともに、ドン・ディオニスがクラリンダに送った手紙をトレムセンの城門に貼り付けておく。

 

 トリスタンの貼り付けた手紙を見たモーロ人たちは、キリスト教徒が自分たちに決闘を申し込んだのだと考える。しかしガルバンは決闘への参加を拒否し、代わりに三人のモーロ人たちが決闘に応じることになる。

 

 ガルバンは国を出ていったと見せかけて、ひそかにトレムセンにとどまる。トリスタンたちは意に反してモーロ人たちと決闘することになるが、勇敢に戦って勝利をおさめる。

 

 ガルバンと愛し合っていたアリアルダであるが、トレムセンの城の上から戦闘を見ているうちに、トリスタンに新たな恋をしてしまう。彼女の心変わりを知ったベルソライダは驚く。アリアルダは男装してキリスト教徒の陣営に近づく。

 

 ドン・ディオニスはトリスタンの功績をたたえ、クラリンダを彼にゆずろうと申し出る。しかしトリスタンは、もう彼女への恋心はないと言ってそれを断る。

 

 プライドを傷つけられたクラリンダは、偶然、モーロ兵に変装したアリアルダに出会う。クラリンダはアリアルダの美しさに魅かれ、彼女を誘惑しようとするが失敗に終わる。

 

 アリアルダはトリスタンを見つけ、自分の正体を明かす。アリアルダはキリスト教徒の間でも「美しく、賢く、優雅な女性」として評判になっており、トリスタンもまた彼女に魅かれる。アリアルダはキリスト教に改宗することを約束し、トリスタンは男装のアリアルダを負傷した自分の奴隷ということにして保護する。

 

 ガルバンは、決闘で殺されたモーロ人兵士の仇を取ると国王に約束をする。彼はまたアリアルダとの結婚を願い出るが、ベルソライダから彼女がトリスタンに恋をしてキリスト教徒の陣営に行ったことを聞かされる。ガルバンは怒り、キリスト教徒へ攻撃を仕掛ける。

 

 ガルバンはキリスト教徒に捕らえられ、捕虜としてトリスタンに引き渡される。ガルバンはアリアルダと再会する。

 

 トリスタンが去った後、アリアルダはガルバンに「私はトリスタンに恋をしている」と告白し、ガルバンを逃がして無事にトレムセンへ帰してやることを約束する。ガルバンはトリスタンに嫉妬し、彼を捕虜にすると言ってアリアルダと口論する。アリアルダはやむなく、ガルバンを売り払うようトリスタンに助言する。

 

 トリスタンがガルバンを売りに行っている間に、クラリンダに説得されたドン・ディオニスが現れ、アリアルダを自由の身にしようとする。しかしアリアルダはトリスタンの奴隷でいたいと言ってそれを断る。

 

 ガルバンはトリスタンをだまして、モーロ人たちが待ち伏せしている場所へ誘い出し、彼を捕虜にする。

 

 トリスタンが捕虜になったという知らせがキリスト教徒側に伝わり、ドン・ディオニスはトレムセンへの攻撃を命じる。クラリンダから、トリスタンが捕まったことを知らされたアリアルダは失神する。クラリンダは、アリアルダが女性であることに気づく。

 

 トリスタンはトレムセン国王の前で気丈にふるまう。キリスト教徒の軍がトレムセンに攻め入り、勝利する。

 

 トレムセン国王は降伏を宣言する。アリアルダはキリスト教に改宗し、トリスタンの妻となる。ドン・テーリョはクラリンダに求婚し、クラリンダはそれを受け入れる。一同がトレムセンへ入城する場面で幕となる。