Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

アルジェの捕虜たち(Cautivos de Argel, los)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1599年

種類:歴史劇

補足:アルジェとバレンシアが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 バレンシア王国に住むモリスコ(イスラム教からキリスト教への改宗者)のフランシスコは、祖父たちがいる北アフリカのアルジェ(当時はオスマン・トルコの支配下にあった)に渡り、海賊になりたいと望む。トルコ人の海賊ダリは、彼がキリスト教の信仰を捨てるなら自分の妹と6000ドゥカードを与えようと提案する。フランシスコはその案を受け入れる。二人は海賊船でアルジェに渡る。

 

 その頃のアルジェでは、キリスト教徒の捕虜たちが苦難を味わっていた。スペイン人のマルセーラレオナルドは、イスラム教徒の夫婦ソリマンアハの家に奴隷として仕えているが、それぞれ好色な主人から言い寄られる。二人は主人たちの求愛を拒んだ結果、処罰されそうになる。二人は処罰を逃れるために正気を失ったふりをしようと考える。

 

 ソリマンとアハは、それぞれ奴隷に対する欲望を満たすために、妖術師に水薬を調合させ、それをマルセーラとレオナルドに飲ませる。二人が正気を失ったふりをすると、ソリマンとアハはそれを水薬の副作用のせいだと思い、あわてる。

 

 フランシスコとダリが、スペイン人の捕虜たちをつれてアルジェに到着する。フランシスコはモスクへ行ってイスラム教に改宗し、フケルと名乗る。

 スペイン人捕虜のひとりスルトは、ダリの奴隷となる。アルジェでバスルトと知り合ったユダヤブラインは、「おまえをユダヤ人ということにして助けてやろう」と申し出る。ブラインはダリに「この男はユダヤ人だから、ここでは奴隷にすることはできない」と告げて、バスルトを100エスクードで買い取る。

 

 フケルと名を変えたフランシスコは、海賊となってバレンシアの沿岸を荒らしまわる。しかし彼はキリスト教徒の軍隊に捉えられ、かつてモリスコであったことを見抜かれて異端審問所へ連行される。

 

 イタリアのサルデーニャ島(当時はスペイン領)から、老人のベルナルド、その妻ルシンダ、息子のルイスフアニーコが捕虜としてアルジェにつれてこられる。ベルナルドは息子たちに、「たとえ贅沢なものを与えられても、キリスト教の信仰を捨てるな」と告げる。

 

 スペイン人捕虜たちの一部は、キリスト教徒としての団結を訴え、聖週間(復活祭前の一週間)の祝祭を行おうと呼びかける。そこへバスルトがやってきて、新しい主人となったブラインが海賊よりももっとひどい仕打ちをすると言って嘆く。捕虜の中にいたキリスト教の司祭フェリックスは、皆を励ます。

 

 キリスト教徒たちが聖週間の祝祭を行っていると、ダリが乗り込んでくる。彼は、フランシスコがバレンシアで処刑されたこと、アルジェの王がその報復のためにフェリックスを処刑するよう命じたと言って彼を捕らえる。

 

 フアニーコは美しい少年であったために、イスラム教徒の主人スレーマの寵愛を受け、豪華な服や装飾品を与えられ、浴室で主人に奉仕していた。それを知った兄のルイスは彼を非難する。フアニーコは悩む。

 

 フェリックスが処刑される。捕虜たちは悲しみに沈むが、彼の最後の言葉に力づけられ、信仰を守ることを決意する。

 

 ブラインに虐待されているバスルトは、絶望のあまり、仲間の捕虜たちをだまして金を巻き上げ、自由の身になろうとする。それを知った捕虜のひとりサーベドラは、フェリックスの精神を彼に思い起こさせ、悔い改めるよう忠告する。

 

 バスルトは、妖術師のファティマに出会う。彼女はマルセーラとレオナルドを正気に戻すための薬を調合していた。バスルトは彼女に、スペインへ帰りたいという自分の望みを伝える。ファティマは、スペインで奴隷となっている自分の兄に援助を与えることを条件に、彼に「姿を見えなくする魔法のリンゴ」を与える。

 

 バスルトイスラム教徒に変装し、ブラインを打ちのめして金を奪うと、魔法のリンゴを使って姿を消し、アルジェから脱出する。

 

 ルイスは、奴隷となった父親が主人から虐待されているのを見て耐えきれず、主人を刺し殺して父と母を逃がす。

 

  アルジェの王アハーンの宮殿で審判が行われる。アハーンはトルコのスルタンの希望だとしてフアニーコをスレーマから買い取ろうとするが、スレーマはフアニーコに固執してアハーンに暴言を浴びせる。アハーンはスレーマを捕らえて殺すよう命じる。

 スペイン国王フェリーペ3世が婚礼のためにバレンシアに来ていることを捕虜から伝えられたアハーンは、国王の肖像画を見てその優美さを称え、捕虜たちがその婚礼に参加することを許可する。

 最後にマルセーラとレオナルドが現れ、自分たちが主人の求愛から逃れるために正気を失ったふりをしていたことをアハーンに告白する。アハーンが二人を自由の身にすることを宣言して幕となる。

 

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アロンソバスケス

《捕虜を請け戻す聖ペドロ・ノラスコ》

1600-1602年

セビーリャ美術館

http://ceres.mcu.es/pages/SimpleSearch?index=true