Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

百年の恋も冷める

 『復讐なき罰』は、名誉を何よりも重視する社会が人間に負わせた悲劇を描いているとも言えますが、この悲劇はまた、それぞれの登場人物の心の弱さが招いたことのようにも見えます。

 公爵は、カサンドラと結婚した後も、放蕩生活と縁を切ることができません。その結果、息子と妻との不義を自ら招くことになります。

 

公爵 (…)だが、私はおまえのおかげで

 思い知らされつつある。

 人の弱さこそが、この世に悪をもたらすのだと。

 これは、神の怒りに違いない。

 復讐なき罰(11/13) - Las comedias de Lope de Vega

 

 カサンドラは、公爵への恨みとフェデリーコへの恋心に突き動かされ、妻としての名誉を手放すに至ります。

 

 カサンドラ 臆病者!人でなし!

 あんなに涙を流して

 私に懇願したくせに!

 そのせいで私たちは、

 愚かな情熱に負けて

 名誉を手放してしまったのよ。

  復讐なき罰(12/13) - Las comedias de Lope de Vega

 

 フェデリーコは、カサンドラとついに結ばれた後も、悩みから逃れることができません。

 

フェデリーコ (嘆く)

 ああ、バティン、

 ぼくは自分のことがわからないんだ!

復讐なき罰(9/13) - Las comedias de Lope de Vega

 

 とくに心の弱さをさらけ出しているのはフェデリーコでしょう。この劇では、フェデリーコがいかに魅力的に演じられるかが要であるように思われます。劇中では終始メランコリックであるにもかかわらず、はかなげな風情があるのか、公爵、アウローラ、カサンドラから大いに愛されているフェデリーコは、自身の業の深い恋愛感情を理性で制御することができません。かなわぬ恋であるうちは激しく燃え上がっていた彼の心は、カサンドラへの思いがかなうと同時に急速に冷めてしまいます。

 

 彼の心の弱さは、彼を愛する者たちの怒りを招き、第三幕ではそれらの怒りがフェデリーコに向けられていくことになります。

 

 フンダシオン・シグロ・デ・オロによる上演では、第一幕の冒頭がやや変更されていますが、ほぼロペの戯曲に忠実です。第二幕の幕切れはとても官能的です。

 


LOPE DE VEGA EL CASTIGO SIN VENGANZA

 

こちらは予告編。


Tráiler de "El castigo sin venganza". RAKATá [2010]

 

やや長めの予告編。


EL CASTIGO SIN VENGANZA Tráiler 2014