Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

死のうちの婚姻(Casamiento en la muerte, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595-97年

種類:伝説を交えた歴史劇

補足:スペインの伝説上の英雄ベルナルド・デル・カルピオの生涯を題材としたもの。ベルナルドはアストゥリアス王アルフォンソ2世の甥で、フランスの叙事詩ローランの歌』で知られる英雄ローラン(イタリア語ではオルランドスペイン語ではロルダンと発音する)をロンスヴォー(スペイン語ではロンセスバーリェス)の戦いで討った人物とされる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  カスティーリャ=レオン国王アルフォンソは、純潔を重んじたために子どもをもたなかった。彼はフランスのシャルルマーニュカール大帝を王国の継承者に指名しようとする。貴族たちはそれに反発する。

 

 アルフォンソの甥たちは、「スペインを外国の王に渡すのか」と彼を非難する。アルフォンソは、「スペインからモーロ人たちを追放するという、フランスとの約束をまだ果たせていない」と釈明する。

 

 ベルナルド・デル・カルピオは、アルフォンソの妹ドニャ・ヒメナと貴族ドン・サンチョ・ディアスとの間に生まれた子どもである。しかし二人の結婚はアルフォンソによって妨害され、サンチョは牢に、ヒメナは修道院に軟禁された。ベルナルドはアルフォンソのもとで育てられたが、ヒメナの庶子として扱われ、不名誉な地位に甘んじている。

 

 ベルナルドは愛国心と名誉心からシャルルマーニュへの継承者指名に反対し、母ヒメナを修道院から連れ戻して正式に父と結婚させることを王に要求する。他の貴族たちもベルナルドに同調する。王はやむをえず王位継承者にスペイン人を選ぶことを約束して、シャルルマーニュと交わした協定を取り消す。

 

 フランスのパリでは、シャルルマーニュにスペインが譲渡されることを祝って祭りが行われていた。ドゥランダルテベレルマは恋人同士である。ドゥランダルテ、オリベーロスドゥドーンモンテシーノスレイナルドロルダン(ローラン)らは、それぞれの名誉心を誇示し、争い始める。シャルルマーニュが仲裁に入り、彼らはしぶしぶ仲直りをする。最も気性が激しいのはロルダンである。

 

 ベルナルドは、アラゴンを支配しているモーロ人の王マルシリオに手紙を書き、フランスと戦うための同盟をもちかける。マルシリオはそれを受け入れる。

 

 フランスでは、ベレルマが友人のフロルデリスと互いの恋愛話をしている。フロルデリスの恋人はブランディマルテである。そこへシャルルマーニュが騎士たちをつれて現れる。

 

 シャルルマーニュは騎士たちに「今は恋ではなく、戦いの時だ」と呼びかける。騎士たちの戦意は上がる。そこへベルナルドが現れ、アルフォンソがシャルルマーニュとの協定を取り消したことを告げる。シャルルマーニュは激怒し、スペインとの戦争を宣言する。ベルナルドとロルダンは激しく対立したまま別れる。

 

 ドゥランダルテは、愛するベレルマに別れを告げる。ベレルマはモンテシーノスに、「大鷹がドゥランダルテを襲い、彼の心臓をえぐり出して私の元へ届ける夢を見た」と不安そうに告げる。ドゥランダルテとモンテシーノスは、ともに戦場へ出発する。

 

 ロンセスバーリェスではアルフォンソ王、マルシリオ王、ベルナルド、マルシリオの家臣ブラボネルらが、兵士たちとともにフランス軍を待ちかまえている。

 

 マルシリオ王はベルナルドが持っている旗を見て、そこに描かれているものは何かと質問する。ベルナルドは、囚われの身になっている自分の父親だと答え、彼の境遇を説明する。ベルナルドに同情したマルシリオは、彼の父を釈放してやるようにアルフォンソ王を説得する。

 

 アルフォンソは承知するが、それまで何度もベルナルドと約束しながら釈放を先延ばしにしてきたため、ベルナルドは懐疑の眼差しを向ける。アルフォンソは、ベルナルドが彼の旗から父親の姿を削除することを条件に、彼の父親を釈放することをマルシリオの前で誓う。

 

 ベルナルドとブラボネルは周囲を探索し、洞窟を見つける。二人がその中に入ってみると、石の壁に戦争画が描かれていた。それはフランスに対するスペイン人とモーロ人の勝利、そしてロルダンをはじめとするシャルルマーニュの十二騎士の不運を予告するものであった。

 

 シャルルマーニュ側では、ロルダンが勇んで突撃しようとしていた。しかしシャルルマーニュのいとこガラロンはスペイン側に寝返り、敵の戦力は弱いという嘘の情報を彼らに流していた。ドン・ベルトランという老人だけは危険を察知して警告するが、誰もそれに注意を払わない。シャルルマーニュの軍はパンプローナへ向かう。

 

 戦いの前に休息をとっていたベルナルドは眠り込んでしまう。そこへカスティーリャ」と「レオン」を象徴する女性たちが登場する。「カスティーリャ」は、眠っているベルナルドに領土の保護を願い、彼がいずれトレドのエルメリンダと結婚すること、デル・カルピオの家系がのちの名門アルバ公爵家につながることを予告する。「レオン」は、いにしえのゴート族からフェリーぺ2世に至るすべての王の加護があることをベルナルドに告げる。

 

 スペイン・モーロ側とフランス側との激しい戦闘が繰り広げられる。ドゥランダルテは瀕死の重傷を負い、モンテシーノスに「自分の心臓をえぐり取ってベレルマに届けてほしい」と依頼して死ぬ。ロルダンも深手を負い、死が近づいたことを察して自分の剣を岩に突き立て、素手でベルナルドと組み合って彼に絞め殺される。ベルナルドは戦場で高らかに勝利を宣言し、父の釈放を要求する。

 

 フランス側では、老いたベルトランも息子を探しに戻ったところで戦闘に巻き込まれて死ぬ。かろうじて生き残ったドゥドーンとブランディマルテは、騎士らしく戦って死のうと決意する。

 

 モーロ人の襲撃を受けたドゥドーンは重傷を負い、持っていたキリスト像とマリア像を奪われることを恐れる。すると近くにあった岩が扉のように開き、ドゥドーンが聖像をその中に収めると再び閉じる。

 

 ブラボネルがモーロ人たちとともに現れ、フランス側がほぼ全滅したと語る。ドゥドーンは隠れていた場所から出てきてブラボネルと戦う。

 

 勝利したスペイン軍がレオンの街を凱旋する。ベルナルドはアルフォンソにあらためて父の釈放を訴えるが、アルフォンソはまたもやそれを先延ばしにしてオビエドへ去っていく。ベルナルドは王の度重なる裏切りに耐え忍ぶ苦しさを嘆き、湧き上がる王への殺意を懸命に抑制する。

 

 ベルナルドの父サンチョからの手紙が届けられる。手紙には、自分を牢の中で死なせようとしているベルナルドへの非難が述べられていた。父の死期が迫っていることを悟ったベルナルドは、いてもたってもいられず王の後を追う。

 

 オビエドへ向かっていたアルフォンソは、甥のドン・ラミロを後継者に指名するつもりだと告げる。そこへ突然、山から下りてきたが現れる。甥や家来たちはみな逃げ、逃げ遅れたアルフォンソは熊に襲われる。そこへベルナルドが駆けつけ、熊を短刀で殺す。

 

 命を救われたアルフォンソは、ベルナルドに対する裏切りを悔いて、彼の父の釈放を命じる。

 

 ベルナルドは歓喜して、父の元を訪れる。しかし父はすでに死んでいた。ベルナルドは助けに来るのが遅すぎたことを亡き父に詫びる。ベルナルドは、修道院に囚われていた母ヒメナを救い出し、父の亡骸にひきあわせる。悲しみのうちに両親の結婚が認められ、ベルナルドの名誉が回復されて幕となる。

 

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「ロンセスバーリェス(ロンスヴォー)の戦い」

『フランス年代記』あるいは『サン=ドニ年代記』挿絵

14世紀中頃、フランス

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