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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ベツレヘムの枢機卿、聖ヒエロニムスの生涯(Cardenal de Belén y vida de san Jerónimo, el)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・宗教劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610年

種類:宗教劇

補足:4世紀に生きた聖人ヒエロニムスの生涯を描く。トリニダード(三位一体)会の修道士であり、王付き説教師で詩人でもあったパラビシーノに捧げられている。大掛かりな舞台装置を使って上演されたものとみられる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 コンスタンティノポリス大主教ナジアンゾスのグレゴリオのもとで聖書を勉強した若きヒエロニムスは、エジプトの砂漠で隠遁生活を送る決心をする。彼はグレゴリオスに別れを告げて出発する。

 

 エジプトに着いたヒエロニムスは、マルクスという隠修士に出会う。マルクスエリサという女性とともにいるのを見て、ヒエロニムスは奇妙だと感じる。マルクスは自分の身の上話をする。

 

「私は修道士でした。父親がなくなり、故郷へ戻る途中でサラセン人にさらわれてしまったのです。捕虜となった私は、サラセン人にエリサとの結婚を強要されました。しかしエリサは、私が修道士であることを伝えると、互いに清いままでいることを承知してくれたのです。私たちはサラセン人のもとから逃亡して、この場所でともに隠遁生活を送っています」

 

 ヒエロニムスはマルクスに、隠遁に適した場所を教えてもらい出発する。ヒエロニムスの従者のマリーノが主人を探しに来る。マリーノは、自身も隠修士となり、ヒエロニムスの後を追う。

 

 悪魔「世界」が登場する。悪魔は「世界」に向かって、ヒエロニムスを誘惑して堕落させると宣言する。

 

 瞑想しているヒエロニムスのもとに若い男女の群れが現れ、恋をそそのかす歌や踊りで彼を誘惑する。ヒエロニムスは自分の胸を石で叩いて誘惑と戦い、悪魔を退ける。

 

 ヒエロニムスはその後、エルサレムヘブライ語を学ぶ。しかし彼は、プラトンキケロの著書を読むことに没頭してしまう。

 

 ヒエロニムスは、天使によって「神の判事」のもとに運ばれる。神の判事は、異教の書物に読みふけった罰として、天使にヒエロニムスを鞭打つように命じる。罰を受けたヒエロニムスは、聖書の仕事のみに専心することを誓う。

 

 ヒエロニムスはローマへ呼ばれ、33歳の若さで枢機卿になる。スペイン系のダマスス1世が新しい教皇に選出され、ヒエロニムスと意気投合する。ローマの敬虔な寡婦パウラとその娘エウストキウムは彼らの聖性を賛美する。

 

 皇帝ユリアヌスは、アジアでペルシャ軍と戦っている。彼は、部下たちからも陰口をたたかれるほど傲岸不遜な背教者である。

 

 教会の改革を進めるヒエロニムスに反感を抱いた司祭たちは、彼がパウラと邪な関係を結んでいると教皇に讒言する。しかし教皇はヒエロニムスを信頼し、讒言を退ける。

 

 司祭たちは、ヒエロニムスの服を女性の服とひそかに取り換えておく。夜中に朝課の祈りに行こうとしたヒエロニムスは、暗闇の中で服が入れ替わっていることに気づかず、女性の服に着がえてしまう。祈りの途中で自分が女性の服を着ていることに気づいたヒエロニムスは、ローマでの生活に嫌気がさし、再び砂漠へ行って隠遁生活を送ることを望む。

 

 ユリアヌスは、ペルシャ軍の攻撃を受けて逃走する。聖メルクリウスが天から降りてきて、ユリアヌスに天の裁きによる死を与える。ユリアヌスは敗北を認めて死ぬ。

 

 ヒエロニムスは仲間の修道士たちとともにシリアへ行き、ベツレヘムに到着する。彼はそこに修道院を建てようと計画する。

 

 ヒエロニムスが仲間たちと話し合っていると、突然ライオンが現れる。仲間たちは逃げだすが、ヒエロニムスはライオンの前足に棘がささっているのを見て、優しく話しかけ、傷の手当てをしてやる。ライオンはヒエロニムスになつき、自由に修道院の中を歩き回ることを許される。

 

 ローマからパウラとエウストキウムがやってきて、自分たちもともに修道生活を送りたいとヒエロニムスに懇願する。ヒエロニムスは彼女たちを受け入れる。

 

 スペインからヒッポ(*現アンナバ)にやってきた神学生オロシオは、アウグスティヌスに熱心に質問をする。アウグスティヌスは、ヒエロニムスに会いに行くことを彼にすすめる。

 

 ベツレヘムの修道院で祈っていたヒエロニムスは、幼いキリストと聖母マリア、聖ヨセフ、そして彼らを囲む羊飼いたちと三人の王たちの幻を見る。

 

 オロシオが、アウグスティヌスの推薦状を持ってヒエロニムスを訪ねてくる。ヒエロニムスは彼を歓迎する。

 

 そのころライオンは、見張っていたロバを逃がしてしまい、マリーノに命じられてロバを探しに出かけていた。ライオンはラクダに乗った隊商に出会い、隊商の人々は怯えて修道院へ逃げ込む。ヒエロニムスは彼らを落ちつかせ、修道院から立ち退かせる。

 

 悪魔と大天使ラファエルが登場する。ラファエルはヒエロニムスの聖性をたたえ、スペインで彼の名を冠する修道会が大きく発展することを予言する。

 

 ラファエルは晩年のヒエロニムスの様子を悪魔に見せる。白いひげを生やした老人のヒエロニムスが執筆している。彼の足元にライオンがいる。天使がラッパを吹き、神の判事と聖ミカエルが天に現れる。ヒエロニムスは自分に死が近づいていることを悟り、神に祈る。

 

 ヒエロニムスは修道士たちに別れを告げ、キリストの像を胸に抱いて死ぬ。

 

 「ローマ」「スペイン」が現れ、ヒエロニムスの聖遺物について議論する。「ローマ」は、ヒエロニムスが絵に描かれるときは「岩場にいて、枢機卿の服を樹に掛け、石を手に持ち、胸をあらわにして、ライオンを足元に従わせ、キリスト像を見ている」ように表現するべきであると述べる。悪魔は、その絵が描かれている場所には行かないことを宣言する。

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フアン・デ・フアネス《聖ヒエロニムス》16世紀

パルマ・デ・マジョルカ大聖堂

Ciudad de la pintura - La mayor pinacoteca virtual

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フランシスコ・デ・スルバラン

《聖パウラと聖エウストキウムを伴う聖ヒエロニムス》1640-50年頃

ワシントン、ナショナル・ギャラリー

Ciudad de la pintura - La mayor pinacoteca virtual

 

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エル・グレコ《オルテンシオ・フェリックス・パラビシーノの肖像》

1609年

ボストン美術館

Ciudad de la pintura - La mayor pinacoteca virtual