Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

聖体の騎士(Caballero del sacramento, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610年

種類:宗教劇

補足:宗教劇であるが、歴史劇、宮廷劇の興趣も盛り込まれている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 シチリアの王マンフレードが、婚約者であるバルセロナ伯の娘ドニャ・グラシアと会うためにバルセロナにやってくる。

 

 グラシアはもともと従兄弟のドン・ルイス・デ・モンカーダと愛し合っていたが、ルイスが慎重になり求婚をためらっているうちに、グラシアはしびれを切らしてマンフレードと婚約してしまったのである。絶望したルイスは自殺を考える。

 

 ルイスは宮廷でグラシアに会う。グラシアはルイスへの思いを告げる。二人はその夜のうちに駆け落ちをする計画を立てる。

 

 夜になり、ルイスは従者のクリスピンをつれてグラシアを迎えに行く。しかしその時、サンタ・オラーリャ聖堂で火事が起きたという知らせが入る。グラシアは、騒動にまぎれて自分をつれ出してほしいと望むが、ルイスは使命感にかられ、聖堂へ救護に向かう。

 

 聖堂の司祭はルイスに、「聖体のパンを収めた聖像を守ってほしい」と頼む。ルイスは燃えさかる聖堂の中にとび込み、聖像を持って奇跡的に帰還する。その後、ルイスは、胸の中に隠し持っていたグラシアの肖像画が消え、その代わりに聖体のパンが入っていることに気づく。ルイスはグラシアへの未練を残しながらも、駆け落ちの計画を断念し、そのことをグラシアに伝える。グラシアは落胆する。

 

 グラシアの友人ドリスタもまたルイスに恋するが、ルイスからまったく相手にされず、彼を逆恨みする。

 

 グラシアはルイスに箱を渡して別れを告げ、マンフレードと結婚するためシチリアへ旅立つ。ルイスが箱を開けてみると、そこには彼がグラシアへ送った手紙の束と、彼を卑怯者と非難するグラシアの手紙が入っていた。ルイスは、グラシアに駆け落ちを断念した理由を説明しようと決意し、クリスピンとともに変装してシチリアへ向かう。

 

 グラシアとの求婚を断られたフランス国王が、怒ってバルセロナ伯に戦争を仕掛ける。カタルーニャとフランスとの戦いが始まる。

 

 結婚式を控えたグラシアは悲しみに沈み、マンフレードはその理由をドリスタに尋ねる。ドリスタはわざと、グラシアがルイスを愛していたことを伝える。マンフレードは嫉妬する。

 

 シチリアに到着したルイスは、グラシアとマンフレード王との結婚を祝う催し物に変装して参加する。彼が馬上試合で騎士として活躍する様子を見たドリスタは、クリスピンにその騎士の名を尋ねる。クリスピンはルイスを「聖体の騎士」だと説明し、彼がそう呼ばれるようになった理由は、火災にあった聖堂から聖体を救い出したからだと話す。騎士がルイスであり、グラシアに会いに来たということを悟ったドリスタは嫉妬にかられ、マンフレードに告げ口をする。マンフレードは怒り、ルイスとクリスピンを火あぶりにせよと命じる。

 

 ルイスとクリスピンが炎に焼かれそうになったとき、「私を炎から救ってくれた者を、私は炎から救う」という神の声が響き、二人は雲に乗って炎から脱出する。

 

 雲は二人をペルピニャンの地へ降ろす。そこではカタルーニャとフランスの戦いが行われていた。バルセロナ伯の息子でルイスの従兄弟であるガストンが戦死する。ルイスはガストンに代わってカタルーニャ軍を指揮し、フランス軍に勝利する。

 

 マンフレードは、自分を愛していないグラシアとの結婚を断念し、別の王女との結婚を企む。彼はグラシアを粗末な小舟に乗せてシチリアから追い出す。

 

 バルセロナ伯は、戦死した息子に代わって甥のルイスがフランス軍と戦い、勝利をおさめたことを賛美する。ルイスは、戦争によって崩壊した多くの聖堂を再建させる。

 

 ルイスはバルセロナ伯の後継ぎに指名され、和平を結んだフランス軍司令官の妹との結婚を勧められる。

 

 海上で遭難しそうになったグラシアは、救いを求めて神に祈る。すると、聖体をともなった灯台が出現し、彼女の舟をカタルーニャの海岸へ無事に到着させる。グラシアは巡礼者たちに出会い、聖地モンセラートを訪れて祈りを捧げる。彼女はそこでシレーナという女性に会い、兄弟のガストンと父のバルセロナ伯が死んだこと、ルイスが父の後継者となり、フランス軍司令官の妹と婚約したことを知らされる。グラシアはシレーナとともに王宮へ向かう。

 

 マンフレードは、グラシアを追い出したものの、新しく妻に迎えようとしたハンガリーの王女があまり美しくなかったため、再婚をとりやめ、再びグラシアを取り戻そうとバルセロナへ向かう。

 

 バルセロナに来ていたドリスタは、ルイスに「マンフレードがグラシアをシチリアから追い出し、グラシアはおそらく遭難して死んだ」と告げる。ルイスは、王宮へやってきたマンフレードを非難し、殺そうとする。しかしマンフレードは、「すべてはドリスタが企んだことだった」と話し、ドリスタはそのことを認める。

 

 ルイスとフランス軍司令官の妹との結婚が行われようというとき、村娘の格好をしたグラシアが登場し、皆の前で正体を明かす。ルイスは喜び、結婚を中止してグラシアに求婚する。ルイスの「神の恩寵に、愛と希望と信頼を持ち続けてください」という言葉で幕となる。