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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

恋の駆け引き(Burlas de amor, las)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・架空の宮廷劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1587-95年

種類:架空の宮廷劇

補足:イタリアのナポリが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 イタリア、ナポリ王国の森の中。村娘のハシンタは、青年リカルドの熱心な求愛を軽くかわしながら歩いている。リカルドが「ぼくの妻になれば、きみの身分が上がるかもしれない」と言うのを聞いたハシンタは、「あなたが私の身分にかなうわけがない。私は王族なの」と冗談を言う。リカルドもそれに負けじと「ぼくだって、アテネの王位継承者だ」と言う。二人は、互いの言葉が証明されるまで行動を共にし、身分がつりあうとわかったら結婚しようと約束する。

 

 ハシンタに恋している村の青年フロニモは、二人の様子を見て激しく嫉妬する。フロニモの父親ティンブリオは、ハシンタが身分の低い娘だとリカルドに思わせればいいのだから、自分たちが彼女の家族だと名乗り出ようと提案する。(*彼らとハシンタとの関係については後で語られる)

 

 ナポリ王国の王女カミーラが、森へ狩猟にやってくる。従者たちが獲物を回収しに行っている間、彼女は秘書のセベーロと恋について語り合う。セベーロはひそかにカミーラを愛している。

 

 そこへハシンタとリカルドがやってくる。二人は、互いに身分を隠しながら恋のゲームを楽しむ。木陰で休んでいるうちに、リカルドは眠ってしまう。彼らに興味を持ったカミーラは、ハシンタに「あなたたちは誰なのか」と尋ねる。

 

 ハシンタは上品なカミーラの様子を見て安心し、「私はただの村娘ですが、身分を王族と偽ってリカルドの気を引こうとしているのです」と告白する。カミーラは眠っているリカルドの顔を見て、彼に恋してしまう。

 

 カミーラはハシンタに、「私もそのゲームに参加する」と申し出る。目覚めたリカルドの前で、カミーラは「私は王女ハシンタの妹だ」と語り、ハシンタが村娘の姿をしている理由をもっともらしくでっちあげる。そのときカミーラの従者たちが到着する。ハシンタはカミーラが本物の王女であることを知って恐れおののくが、カミーラはすました顔でハシンタの妹を演じ続け、二人を自分の王宮へつれていく。

 

 リカルドの正体は、ただの学生である。カミーラのでまかせによって彼はハシンタが王族だと信じこみ、このままアテネの王族のふりをしようと考える。王宮へ向かう途中で、リカルドの従者ファビオテウクロが彼に追いつく。リカルドは彼らに、アテネから来た使者のふりをしてほしいと懇願する。

 

 王宮に着いたカミーラはセベーロに、「私はリカルドと結婚するつもりだ」と告げる。絶望したセベーロは自殺しようとする。そこへフロニモとティンブリオが駆け込んできて、書類を見せながら、自分たちはハシンタの父と兄だと名乗る。セベーロはカミーラにそのことを知らせる。

 

 カミーラは、これを機会に邪魔なハシンタを追い出そうと考える。そこへ、ギリシャ人に変装したファビオとテウクロが現れ、「二年前に行方不明になったアテネの王位継承者を探している」とカミーラに告げる。

 

 リカルドが登場し、「自分こそがその人だ」と名乗って、ハシンタとの結婚を宣言する。しかしそこへ再びフロニモとティンブリオがやってきて、ハシンタは自分たちの家族だと主張する。カミーラはハシンタを彼らに引き渡す。リカルドが本当にアテネの王族なのだと信じたハシンタは、自分との身分の違いを思って恥ずかしくなり、「私が王族だと嘘をついたのは単なる恋の駆け引きのつもりだった」と告白して、リカルドに別れを告げる。

 

 カミーラはハシンタが去ったのを見て、自分と結婚してほしいとリカルドに申し出る。リカルドは引っ込みがつかなくなり、その申し出を受ける。

 

 セベーロはファビオとテウクロの世話を命じられる。セベーロはアテネについて二人にいろいろな質問をするが、二人があまりにも無知なので疑念を抱く。正体がばれそうになったテウクロは逃げ出す。セベーロはファビオを捕えてカミーラに報告し、リカルドは詐欺師だと訴える。カミーラは激怒し、リカルドとファビオを牢に入れる。

 

 村へ戻ったハシンタは、ティンブリオにフロニモとの結婚を勧められ、リカルドへの未練を残しながらもそれを受け入れようとする。そこへ逃亡したテウクロが現れ、リカルドとファビオが捕えられたいきさつを告白する。ハシンタはリカルドがアテネの王族だというのは嘘であったことを知り、彼らの災難をいい気味だと考えるが、殺される運命にある彼らに同情する。

 

 リカルドとファビオは、同じ牢の中の囚人たちに嘲笑されていた。ハシンタは牢の前にやってきて、リカルドに皮肉を言う。しかし「あなたの恋の駆け引きが私の心に火をつけた」と、まだ彼に恋していることを告白する。リカルドもハシンタへの変わらぬ愛を誓う。

 

 ベラルドというスペイン貴族の老人が、リカルドを探して王宮にやってくる。彼はセベーロに「リカルドはアテネの王族で、わけあって私がスペインで養育を任されていた。しかしある晩、彼はボローニャ大学へ行こうとしてに二人の従者とともに家を出ていってしまった」と告げる。セベーロはリカルドの本当の身分が公表されれば再びカミーラを失うことになると考え、ベラルドを牢に入れてしまう。

 

 リカルドの処刑が迫る。ハシンタはカミーラに彼の助命を嘆願するが、カミーラは聞き入れず、ハシンタも一緒に処刑しようとする。それを見て罪の意識を感じたフロニモは、真実を告白する。「私は本当はローマの貴族で、ティンブリオは私の叔父です。わけあってローマから逃れ、ナポリで村人に変装して生きてきました。ハシンタはティンブリオが養育した娘ですが、ひとりの老人から託された子どもで、ある王族の娘だということです」

 

 そこへ空腹で倒れたベラルドの悲鳴が聞こえ、カミーラが彼を連れてこさせる。リカルドは育ての親のベラルドを見て、彼に駆け寄る。ベラルドはリカルドがアテネの公爵レオポルドの息子であり、王位継承者であることを皆の前で告白する。

 

 カミーラの父親である国王のアルカーモが、レオポルドをつれて現れる。レオポルドはスペインへリカルドを迎えに行く途中であった。

 

 ティンブリオがハシンタを探しに王宮へやってくる。ティンブリオとベラルドが兄弟で、ベラルドがフロニモの父であることが判明する。

 

 アルカーモが現れ、ハシンタは自分の娘であると告白する。ハシンタが王族で、カミーラと姉妹であることが判明する。

 

 リカルドとハシンタ、カミーラとセベーロが結ばれる。フロニモは軍の司令官になる。カミーラがすべての囚人に恩赦を与えて幕となる。