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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

人前では愚かだけれど、本当は賢い娘(Boba para los otros y discreta para sí, la)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・架空の宮廷劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1623-35年

種類:架空の宮廷劇

補足:イタリアのウルビーノが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ウルビーノ公国の小村に住んでいる農家の娘ディアナのもとへ、ある日、宮廷の道化ファビオが会いに来る。

 

 ファビオはディアナに告げる。「ウルビーノ公が亡くなりました。周囲の者たちは、彼の姪であるテオドラが後継者になると思っています。しかし公の遺言書によれば、彼には庶子の娘がおり、ある村に住んでいるとのことでした。公はその娘を後継者に指名しました。それがあなたなのです」

 

 ファビオはディアナに警告する。「カミーロフリオという二人の男性が、現在テオドラに求婚しています。テオドラはフリオを選び、彼とともに権力をにぎるつもりです。カミーロのほうは、あなたの存在を知って、この村へ来ようとしています。彼らはあなたにとって厄介な存在になるでしょう」

 

 ファビオが去った後、カミーロがやってきて、ディアナがウルビーノ公の後継者に選ばれたことを告げる。

 

 ディアナはファビオの警告を考慮し、愚かな娘を演じることにする。カミーロは当惑しつつも、ディアナを宮廷に連れていき、彼女を公の指名した後継者としてテオドラとフリオに紹介する。テオドラはディアナの愚かな言動を見て、とるにたらない相手と判断し、自分がうまく後継者の座を奪ってしまおうと考える。

 

 ディアナはファビオと二人きりになると、彼が自分に警告をしてくれたことに感謝の言葉を述べる。ディアナはファビオを自分の秘書に任命し、ファビオはディアナにふさわしい夫を探すことにする。

 

 フィレンツェ公の弟アレハンドロが、狩りをするためにウルビーノの山中にやってくる。彼はそこで偶然ファビオに出会う。アレハンドロはファビオの以前の主人だった。ファビオはアレハンドロに「名前は言えませんが、ある高貴な女性の夫となるべき人を探しています。私が思うに、あなたこそそれにふさわしい人です」と告げる。アレハンドロは興味を示すが、「その女性に、私の名前は明かさないでほしい」とファビオに頼む。

 

 テオドラとフリオは、ディアナにすべての男性が邪悪な存在だと教え、彼女が結婚を嫌がるように仕向けようとするが、ディアナは愚かなふりをしつつも機知に富んだ受け答えをして、彼らの計画を阻止する。

 

 ファビオは侍女のラウラと協力して、ひそかにアレハンドロをディアナに引きあわせる。彼らは宮廷の庭園で語り合うが、テオドラにあやうく見つかりそうになり、急いで逃げる。テオドラは、ディアナの態度や言葉遣いが急に変わったのを目撃して、彼女は本当は賢い娘なのではないかと疑う。

 

 フリオはテオドラを愛しているそぶりをしつつも、ウルビーノ公の位を得るためにディアナに近づこうとする。カミーロもまた、同じ理由でディアナの気をひこうとする。

 

 ディアナに恋したアレハンドロは再び彼女に会いたくなり、パルマ公の弟だと身分を偽ってウルビーノの宮廷に現れる。でたらめの失恋話と、ディアナの庇護を得たいと皆の前で言う彼の態度を見て、ディアナは彼がこれまで自分を騙していたのだと思いこみ、激怒して立ち去る。

 

 テオドラは、ディアナの行動は彼女の愚かさのせいだと説明し、「私がウルビーノ女公爵の位を得るために協力してくれたら、あなたを庇護する」とアレハンドロに告げる。その会話を聞いたディアナは落胆し、故郷の村へ帰ろうと決意する。

 

 アレハンドロはディアナを引きとめ、自分は彼女を騙すつもりはなく、ただもう一度彼女に会いたかったがゆえに身分を偽ったのだと説明する。彼は、兄のフィレンツェ公が書いてきた手紙を彼女に見せる。その手紙は、アレハンドロとディアナの結婚を支援するという内容のものだった。

 

 ディアナはその手紙を読む。しかし彼女は、自分がテオドラたちに見張られていることに気づく。彼女は「これは、トルコのスルタンから来た手紙だ。聖地エルサレムへつれていってほしいと頼んだのに、断ってきた。許せないからトルコと戦争する」と突拍子もない嘘をつく。テオドラたちはそれを見て、ディアナはまちがいなく愚かな娘であるばかりか、正気を失いつつあるのだと判断する。

 

 宮廷の人々は、愚かではあるが公の後継者候補でもあるディアナの機嫌を損ねないようにしようと、彼女の言動に調子を合わせる。アレハンドロとファビオだけはディアナの本当の目的を知っており、テオドラの野望を阻止するという彼女の計画に協力する。

 

 アレハンドロは、トルコとの戦争に備えるためだと言って農村の人々を集め、軍隊を作る。人々は、ディアナがたいした理由もないのにトルコと戦うつもりであると聞いて驚く。テオドラはその状況を利用して人々を味方につけようと企む。

 

 ディアナはカミーロとフリオに「アレハンドロが、あなたがたのうちのどちらか一人と私が結婚するようにと勧めている」と告げる。カミーロとフリオは、どちらも乗り気になる。

 

 ラウラが宮廷の人々に、「トルコの大使が到着した」と告げる。それは変装したファビオだった。ディアナがファビオを本当の大使だと思いこんでいるように振舞うと、テオドラは呆れ、「こんな愚かな娘は後にも先にもいない」とつぶやく。ディアナは人々の前でおかしな式辞を述べ、テオドラに感想を尋ねる。テオドラは内心ではディアナのことをあざ笑いながらお世辞を言う。

 

 ディアナはアレハンドロの求めに応じて、ウルビーノ公の庶子である自分の生い立ちについて話す。彼女は男装し、アレハンドロとともにテオドラたちと戦うと宣言する。

 

 ディアナは軍隊を宮廷に呼びよせる。兵士たちと宮廷人たちの前で、ディアナは自分がテオドラの計略を阻止するために愚かな娘のふりをしてきたことを告白する。兵士たちはディアナに味方し、テオドラたちを捕える。ディアナはテオドラ、カミーロ、フリオを国外へ追放する。

 

 ディアナは正式にウルビーノ女公爵となることを宣言し、アレハンドロと結婚する。ファビオとラウラも結ばれて幕となる。