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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

高潔なるベリーサ(Bizarrías de Belisa, las)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1634年

種類:都会的な同時代劇

補足:ロペ最晩年の戯曲。詩的な台詞を多用しており、次世代の劇作家カルデロンの影響が見られる。マドリードが舞台となる。男装の女性が登場する。2007年に国立古典演劇青年劇団(La Joven Compañía Nacional de Teatro Clásico)がこの戯曲を上演している。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ベリーサは、エンリケ伯爵から届いた手紙を破り捨てる。それを見た侍女のフィネアは、求婚者をふってばかりいる彼女に苦言を呈する。

 

 ベリーサは、訪ねてきた友人のセリアに、自分が恋をしていることを打ち明ける。彼女はセリアに語る。「ある日、私が馬車の中から外を眺めていると、魅力的な男性を見かけた。男性が誰かと争っているのを知り、私は御者が持っていた剣を奪って男性を助けに向かった。私は男性を馬車に乗せてその場から逃げた。

 

 男性はドン・フアン・デ・カルドナと名乗り、自分がルシンダという女性に恋していること、しかし彼女へ贈り物をするうちに暮らしが貧しくなると、すげなく扱われてしまうようになったことを私に話した。私は彼に恋をしてしまっていたが、それを聞いて彼を馬車から放り出した。それ以来、彼に会うすべもなく、私は喪服を着て家に引きこもっている」

 

 セリアは彼女を励まし、「フアンに会えるかもしれないから、明日ソト(マンサナーレス川沿いの緑地。当時はマドリード市民の憩いの場であった)へ行ってみたらどうか」と助言する。ベリーサはそれに従う。

 

 フアンはルシンダの家の窓辺へ行き、中へ入れてほしいと頼む。ルシンダの侍女ファビアは、「ご主人は明日ソトへ行くので今は休んでいる」と告げる。オクタビオフリオという二人の騎士が出てきて、フアンを追いはらう。

 

 翌日、エンリケ伯爵と従者フェルナンドは、ソトへ行ってベリーサを探す。同じ場所でベリーサとフィネアはフアンを探す。フアンと彼の従者テーリョはルシンダを探す。伯爵はベリーサに声をかけるが、ベリーサはフアンを見つけ、「あれは私が縁談をもちかけられている青年だ」と伯爵に嘘を言う。伯爵は嫉妬して去る。

 

 ルシンダとファビアがソトへやってくる。ルシンダはファビアに、「私はフアンを愛しているが、オクタビオと仲よくして、彼に嫉妬させてやりたい」と話す。

 

 フアンはルシンダを見つけるが、昨夜の腹いせにルシンダに嫉妬させてやろうと考え、ベリーサに協力してほしいと頼む。ベリーサは承知し、自分は彼の婚約者だとルシンダに嘘を言う。ルシンダは立腹して去る。フアンは満足するが、ベリーサはフアンがまだルシンダに恋していることを知って嫉妬に苦しむ。

 

 数日後、フアンはベリーサに、「ソトでの一件の後、ルシンダから哀れっぽい内容の手紙が来て、ぼくと結婚したいと伝えてきた。それを読んだら彼女に対する気持ちがすっかり冷めてしまった」と打ち明ける。テーリョはベリーサに「フアン様の心に変化が起きたのは本当です。彼の恋人にふさわしい女性を、誰か紹介してもらえませんか」と言う。ベリーサはすぐに、フアンの恋人として自分を、テーリョの恋人としてフィネアを薦める。フアンとテーリョは驚きつつも、喜んでベリーサの提案を受け入れる。

 

 エンリケ伯爵は、音楽で気を紛らわせてベリーサのことを忘れようと試みるが、無駄に終わる。ルシンダが伯爵の家を訪れ、フアンから受けた仕打ちについて語る。ルシンダはフアンとベリーサに復讐しようと伯爵にもちかけ、伯爵は承知する。

 

 ルシンダとファビアは、次にベリーサの家を訪れる。ルシンダはベリーサに、「フアンはあなたのいないところで、あなたの悪口を言っている。フアンはあなたを騙し、他の女性たちを口説いているのだ」と嘘を言う。ベリーサは忠告への感謝として、自分がフアンから贈られた宝石をルシンダに渡す。ルシンダは「私はもうフアンを愛していない。今はエンリケ伯爵を愛している」とベリーサに告げる。いっぽう、ファビアはフィネアに「テーリョには別の恋人を探せと言って。私が今愛しているのはフェルナンドだから」と告げる。

 

 ルシンダの言葉を聞いて憂鬱になったベリーサとフィネアは、訪れてきたフアンとテーリョに冷たい態度を取る。フアンとテーリョはその理由がわからず、途方に暮れる。

 

 ルシンダは、今度は「フアンと結婚するのでドレスを貸してほしい」という手紙をベリーサに送る。ベリーサは激怒する。彼女は男装してピストルを持ち、フィネアとともにルシンダの家へ向かう。

 

 フアンとテーリョは、「ベリーサがエンリケ伯爵とともにいる」という情報を確かめるために、ルシンダの家を訪れる。するとオクタビオとフリオが出てきて、フアンと剣を交えて戦う。物陰に隠れていたベリーサは、フアンの危機を見て助けに向かう。オクタビオたちはベリーサの持っているピストルを見て逃げる。フアンはベリーサを男性だと思い、礼を言おうとするが、ベリーサは逃げる。

 

 ベリーサが帰宅すると、今度はセリアを味方につけたエンリケ伯爵が彼女を待っていた。伯爵はベリーサに、自分はルシンダを愛してはいないと告げ、あらためて彼女に求愛する。

 

 そこへ、フアンとテーリョもベリーサに会うためにやってくるが、ベリーサと伯爵が話していることに気づき、物陰に隠れる。伯爵はベリーサの家を去るときに、フアンと鉢合わせをしてしまう。

 

 伯爵が去った後、フアンはベリーサに向かって、自分を裏切って伯爵をつき合っていることを非難する。ベリーサはフアンに向かって、自分を裏切ってルシンダと結婚しようとしていることを非難し、自分がフアンの危機を救ったことを教える。言い争っているうちに、二人は自分たちがルシンダに騙されていたことに気づく。二人はルシンダに復讐するために一計を案じる。

 

 フアンはルシンダの家を訪れ、「ベリーサが、婚約式をうちでやってほしいと君を招待している」と告げる。ルシンダは、ベリーサがフアンをあきらめ、自分とフアンとの結婚を祝福しようとしているのだと思い、その提案を受け入れる。フアンとルシンダと伯爵はベリーサの家へ行く。ベリーサは盛装をして彼らを迎える。伯爵が「フアンとルシンダの婚約式を挙げに来た」と言うとベリーサは驚いて見せ、「それは間違いで、婚約するのは自分とフアンだ。ルシンダに立会人になってもらおうと思って呼んだのだ」と告げる。

 

 ベリーサに騙されたことを知った伯爵は、ルシンダに求婚する。ルシンダはそれを受け入れる。ベリーサとフアン、ルシンダと伯爵、フィネアとテーリョが結ばれて幕となる。

 


Las bizarrías de Belisa