Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

結婚運の悪い美女、あるいは高級娼婦(Bella malmaridada o la cortesana, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1595?-1598年

種類:ピカレスク(悪者)小説的な同時代劇

補足:15世紀に作られた同名のロマンセ(物語詩)にヒントを得て書かれている。マドリードが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 レオナルドには、リスベーリャという美しくて優しい妻がいる。しかし彼は賭博や色事をやめることができない。レオナルドは、自分は結婚生活に向いていないのだと友人のテオドーロに告白する。テオドーロは、リスベーリャがマドリードの人々から「ラ・ベリャ・マルマリダーダ(結婚運の悪い美女)」と呼ばれていることを告げ、彼女を悲しませないほうがよいと忠告するが、レオナルドは聞く耳を持たない。

 

 レオナルドとテオドーロはある夜、野外の音楽会に出かける。リスベーリャはマントで顔を隠し、ひそかに夫の後を追う。テオドーロは、友人の妻とは気づかずにリスベーリャを口説く。リスベーリャは、既婚の紳士がそのようなことをすべきでないと彼をとがめるが、高級娼婦のカサンドラがやってくると、テオドーロはたちまち彼女に矛先を変え、リスベーリャはその軽薄さにあきれる。

 

 テオドーロがリスベーリャから離れたのを見て、すかさずレオナルドがリスベーリャを口説きに来る。リスベーリャは「私は既婚者なので、夫を裏切ることはできない。たとえ彼がひどい人であるとしても」と告げる。レオナルドは、自分が「カサード(既婚者)」であると同時に「カンサード(飽きた男)」だと冗談を言うが、妻に落ち度は何もないので、悪いのは自分なのだと話す。いっぽう、テオドーロはカサンドラと意気投合し、一か月間つき合う取引を交わす。

 

 テオドーロとカサンドラが去り、レオナルドも彼らの後についていく。ひとり残されたリスベーリャは、イタリア人のエシピオン伯爵にしつこく言い寄られる。リスベーリャは、自分は既婚者であると告げてきっぱりと伯爵を拒否し、夫の後を追う。伯爵はリスベーリャに固執し、いかなる手段を使っても手に入れようと決心する。

 

 レオナルドはテオドーロに、カサンドラを譲ってくれないかともちかける。テオドーロは「今夜はだめだが、明日来てくれればただで譲る」と告げる。夫を追ってカサンドラの家までやってきたリスベーリャは、賭博や女遊びをしに来る男性たちを見て怖くなり、見回りに来た警吏に頼んで家まで送ってもらう。

 

 リスベーリャは別人になりすまして再びカサンドラの家へ行き、レオナルドを呼び出す。リスベーリャを別の愛人の侍女と勘違いしたレオナルドは、彼女を利用しようとたくらみ、テオドーロを呼んで、「彼女とカサンドラを交換しよう」ともちかける。テオドーロは承知して、カサンドラをレオナルドに譲り、リスベーリャを口説く。そこへ、リスベーリャを追ってきた伯爵が加わり、テオドーロと伯爵が剣を交えて争い始める。リスベーリャは、どさくさにまぎれてレオナルドを連れ戻そうとするが失敗する。彼女はあきらめて家へ帰り、レオナルドの帰宅を待つ。

 

 伯爵はリスベーリャを手に入れるために、彼女の従者ベラルドに金鎖を渡して丸めこもうとする。ベラルドは伯爵の企みに気づかず、金鎖を受け取る。

 

 テオドーロは、何者かに殺されそうになったことをレオナルドに話し、「おそらくリスベーリャか彼女の親類が、きみと娼婦との仲をとりもったぼくに復讐するために刺客を送ったのではないか」と推測する。レオナルドにはそれが真実とはあまり思えない。しかし彼は「もしそれが本当なら、ぼくの問題に首を突っ込もうとする妻はこの手で殺す」とテオドーロに告げる。テオドーロは「きみの色恋沙汰はマドリードじゅうに知れわたっているのだから、カサンドラとは別れてリスベーリャのもとに戻ったほうがいい」と忠告する。

 

 レオナルドはカサンドラに夢中で、別れる気はない。カサンドラが本気でレオナルドに恋しているわけがないと知っているテオドーロは、「ためしに三日間マドリードを留守にして、カサンドラの様子をうかがってみろ」とそそのかす。

 

 カサンドラは、レオナルドから「しばらくマドリードを離れる」と告げられると、泣きながら失神する。しかしテオドーロが金銭の話をし始めると、すぐに起き上がる。レオナルドはカサンドラに、「留守にしている間に使ってくれ」と言って金を渡す。

 

 リスベーリャはベラルドが持っている金鎖を見て伯爵の企みを察知し、彼の求愛を拒否する手紙を書く。そこへレオナルドが帰宅する。リスベーリャが手紙を書いているのを見てレオナルドは彼女が浮気をしていると思いこみ、短刀を取り出す。リスベーリャは彼の態度を非難し、「あなたが妻の私をないがしろにするから、それにつけこんだ男性が私に贈物などをしてくるのだ」と責める。レオナルドは傲慢な態度で「家に引っ込んでいる生活などなんの価値もない。それは女の仕事だ」と主張し、リスベーリャから手紙を取り上げて部屋から出ないようにと命令する。

 

 伯爵は自宅で従者たちとともに、「この世は男に都合よく、女にとって不公平にできているものだ」と論じ合っている。そこへレオナルドとベラルドが訪ねてきて、二人ともリスベーリャの従者だと名乗る。ベラルドは「あなたにもらった金鎖のせいで、私は取り持ち役だと思われて奥様に怒られました。この従者に、私は潔白だと証明してください」と告げる。伯爵はレオナルドに向かってベラルドの潔白を証明し「リスベーリャの夫がちゃんと彼女を愛するなら、私は彼女から手を引く」と告げる。レオナルドは金鎖とリスベーリャの手紙を伯爵に渡して去る。

 

 伯爵はリスベーリャのことをあきらめきれず、今度はマルセーラという取り持ち婆を雇うことにする。

 

 テオドーロはひとりの娼婦に贈物をしようとするが、従者から新顔の娼婦がいると知らされて、すぐそちらに気を移す。レオナルドはテオドーロに、「ぼくは改心した。カサンドラと別れて妻の元に戻る」と告げる。しかしカサンドラの家がすぐ近くにあったため、二人は彼女の様子を見に行く。カサンドラはレオナルドの留守中に大勢の男友達を家に呼んで遊んでいた。レオナルドとテオドーロは彼女の態度を責め、家を出ていく。

 

 レオナルドは女遊びをやめたものの、次は賭博にのめりこんでしまい、リスベーリャの宝石を奪って金に換えようとする。リスベーリャは彼が子どもたちを放置して遊びほうけていることを非難する。レオナルドは激高してリスベーリャを殴り、出ていってしまう。

 

 リスベーリャの兄クラベリオがやってくる。妹が床に倒れているのを見た彼は驚く。リスベーリャは夫をかばって、転んだだけだと嘘をつく。

 

 取り持ち婆のマルセーラがやってきて、リスベーリャと伯爵の仲を取り持とうとする。マルセーラはリスベーリャと話をして、伯爵からの手紙を渡す。

 

 レオナルドは、リスベーリャが伯爵と通じて自分を裏切っていると思い、再び彼女を部屋に閉じ込めて伯爵に復讐しに行く。レオナルドはテオドーロに協力を依頼する。

 

 伯爵に出会ったレオナルドは従者のふりをして、リスベーリャが伯爵を家で待っていると告げる。リスベーリャに拒否され続けている伯爵は不思議がり、その反応を見たレオナルドは、妻が自分を裏切っていないことを悟る。

 

 ベラルドはリスベーリャが夫に軽んじられていることを、彼女の父と兄に知らせる。しかし彼らは、リスベーリャが袖の中に伯爵からの手紙を隠していたのを発見して、逆にリスベーリャが浮気をしているのではないかと疑う。

 

 伯爵はレオナルドの言葉を信用し、彼をつれてリスベーリャの寝室へ忍び込む。暗い寝室の中で彼を迎え入れたのは、レオナルドに協力するために隠れていたテオドーロだった。テオドーロは伯爵とマルセーラをだまして殺そうとするが、そこへリスベーリャの父と兄が押しかけてくる。レオナルドとテオドーロは、伯爵とマルセーラを寝室に閉じ込めて彼らに応対する。

 

 リスベーリャの父と兄は、リスベーリャの不貞の疑惑を問いただす。レオナルドは彼らに、妻の潔白を証言する。テオドーロは、伯爵とマルセーラを寝室に閉じ込めたいきさつを説明し、彼らを殺して復讐するつもりだと告げる。リスベーリャの父は彼をなだめ、家族だけにしてくれと言ってその他の人々を全員家から出ていかせる。伯爵は恥じ入り、マルセーラとともに去る。

 

 レオナルドとリスベーリャは和解する。子どもたちやリスベーリャの家族とともに彼らが食事をしようとする場面で幕となる。