読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

美しきアウローラ(Bella Aurora, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1612-1625年

種類:古典文学にもとづく神話劇

補足:オウィディウス『変身物語』の、ケパロスとプロクリスの物語に基づいている。ギリシャのテーバイが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 セファロ(ケパロス)は、テーバイの王子ドリステオの家臣である。ある日、彼はドリステオに付き従って狩りへ行くことになる。セファロの妻フローリス(プロクリス)は、夫の身を心配する。

 

 ドリステオが狩りに行くと言い出したのは、セファロをフローリスから遠ざけておき、その隙にフローリスを我が物にするためであった。そのことを聞かされたドリステオの従者ペルセオは、自身のフローリスへの恋心を隠して、主人の企みに加担する。

 

 セファロがドリステオのもとに到着する。ドリステオは、セファロの陽気な従者ファビオを気に入り、狩りに参加することを許す。

 

 山の上で、女神ディアナに仕えるニンフのアウローラベリーサは、愛の持つ力について議論している。アウローラは愛について辛辣な意見を述べるが、ベリーサは寛容な態度を示す。

 

 そこへセファロとファビオが現れ、アウローラとベリーサは身を隠す。セファロとファビオは狩りを中断し、泉のそばに横たわる。セファロは「アウラ(そよ風)よ、私の目を涼ませてくれ」とつぶやきながら眠る。アウローラはセファロの美しさに魅了される。

 

 アウローラは、ライオンに襲われているふりをして叫び声を上げる。セファロとファビオは目を覚まし、彼女のもとへ行く。アウローラは、ライオンは逃げたと言ってセファロに礼を言う。セファロとファビオは、アウローラの宮殿へ招かれる。

 

 その夜、ドリステオはペルセオをつれてフローリスを訪問し、彼女を口説く。しかしフローリスは彼を拒絶する。ドリステオは「セファロが野獣に襲われて死んだ」と告げ、フローリスは悲しみに打ちのめされる。ドリステオはペルセオに、わざとセファロを山の上に残してきたことを教える。

 

 セファロとファビオはアウローラとベリーサに歓待される。ベリーサは「ここでは時間が少ししか過ぎていないように感じていても、実際は長い時間が流れているのだ」とファビオに教え、「この秘密をもらしたら必ず報いを受ける」と警告する。セファロはアウローラに魅了され、彼女が毎朝、太陽神の後をついて天へ出かけていくことに嫉妬する。

 

 ファビオはセファロに、ベリーサから聞いた秘密を打ち明けるが、セファロは信じない。セファロが去ると、突然ファビオの前に巨人が姿を現し、また秘密をもらそうとすれば今度こそ報いを受けるだろうと彼に警告する。

 

 セファロが行方不明になって一年が経過するが、フローリスはドリステオの求愛を拒みつづける。彼女にまだ恋しているペルセオは、ドリステオに「彼女に別の夫をあてがい、初夜の際に陛下が夫と入れ替わって思いを遂げてはいかがでしょう」と提案し、ドリステオはそれに同意する。ペルセオはドリステオをあざむいて自分自身がフローリスを手に入れようと企んでいるが、ドリステオから別の男との結婚話をもちかけられたフローリスは再びそれを拒否する。

 

 セファロは妻フローリスへの愛を忘れておらず、またファビオの言葉にようやく説得されて、実際は一年も家を留守にしていたことを知る。アウローラはセファロが悲しんでいる様子を見て理由を尋ねる。フローリスをまだ愛し続けていることをセファロが告白すると、アウローラは立腹して去る。ベリーサはファビオが秘密を漏らしたことを非難し、災いが起こることを予言する。

 

 セファロはベリーサの予言を聞いて不安になる。彼はフローリスが自分を忘れていないかどうかを試すために、別人に変装して帰宅し、彼女を誘惑しようと考える。

 

 セファロはファビオとともに商人に変装してフローリスの前に現れ、多くの贈り物をする。彼が亡き夫とあまりにも似ているためにフローリスは疑いを抱き、また会いに来てほしいと頼む。フローリスが自分を裏切ったと感じたセファロは正体を明かし、彼女を殺そうとする。フローリスは驚いて逃げる。

 

 女神ディアナは、自分に仕えているニンフのアウローラに恋人がいるという噂を聞く。ディアナがアウローラに真偽を確かめようとしたとき、フローリスが現れ、ディアナの加護を願う。アウローラは、目の前に現れた美しいフローリスがセファロの妻であるということを知り、嫉妬する。ディアナはフローリスをかくまってやる。フローリスを追うセファロは狩りの最中のドリステオとペルセオに遭遇し、彼らとともにフローリスを探す。

 

 セファロの前にアウローラが現れ、「フローリスはドリステオの愛人になった」と嘘をついて去る。続いてディアナへ捧げる花を持ったフローリスが現れるが、セファロの姿を見るとディアナに大声で助けを求めながら逃げていく。セファロはそれでもフローリスを探しつづける。

 

 セファロはフローリスは、最終的に和解する。そこへディアナが現れ、セファロは驚いて逃げる。フローリスはディアナに、自分がセファロと和解したことを説明し、テーバイへ戻ると告げる。ディアナはフローリスを祝福して黄金の槍を贈る。その槍を投げれば必ず獲物に的中するのである。ディアナは「セファロの愛情が真実のものであるかどうか、しばらくこの森に滞在して確かめてみてはどうか」と提案する。

 

 ファビオは森の中でさまよっているうちに、ファウヌス(牧羊神)に間違えられてドリステオや村人たちに追われ、ようやく再会したセファロに助けられる。

 

 村人から、多くのニンフがセファロに恋していると聞かされたフローリスは嫉妬を覚える。ベリーサは彼女の嫉妬の原因を知っていると告げて、「a.u.r.を含む名前(アウローラのこと)」だと教える。フローリスはディアナからもらった槍をセファロとファビオに渡し、狩りに行かせてひそかに後をつけていく。

 

 フローリスは、セファロが「アウラ(そよ風)よ、」とつぶやくのを聞き、恋人の名を呼んでいるものと勘違いしてしまう。彼女が立てた物音を聞き、セファロは動物がいるものと思いこんで、木陰に向かって黄金の槍を投げる。槍はフローリスの体を貫いてしまう。

 

 セファロは、瀕死の妻の体を抱いて嘆き悲しむ。フローリスは「お願いだから、アウラという人と結婚しないで」と懇願する。セファロは妻の誤解に気づき、「アウラと言うのは恋人ではない。ただの風のことだ」と説明する。ドリステオ、ペルセオ、アウローラ、ベリーサらが集まってきて、フローリスの死を悲しむ。セファロは自殺しようとするが、ドリステオに止められる。フローリスが埋葬される場面で幕となる。