Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

名誉の戦い(Batalla del honor, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1608年

種類:架空の宮廷劇

補足:フランスのパリが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 フランス国王は、ドニャ・ブランカに恋をしている。しかし彼女は既婚者で、夫のフランス海軍司令官カルロスは非常に嫉妬深く、名誉を傷つけられることを嫌う人物である。

 

国王は、寵臣のエンリケに恋の相談をする。エンリケのほうはブランカの妹エステーに恋していることがわかる。エステーラは未婚である。

 

夜になり、国王とエンリケはひそかにブランカエステーラに会おうと、カルロスの家のバルコニーの下に行く。そこへ変装したカルロスが二人の従者をつれて現れる。カルロスは、誰かが妻のブランカをバルコニーで口説いていることに気づくが、それが国王かもしれないとわかると、名乗り出るのをためらう。

 

カルロスは、夜回りをしている警吏のふりをして、身分を隠した国王に「既婚婦人に言い寄るものではありません」とやんわり注意する。国王は「ブランカではなくエステーラに言い寄っているのだ」と嘘をつく。しかしカルロスはその言葉を信用しない。いっぽうエンリケは、エステーラを王に奪われるのではないかと不安になる。

 

 ブランカエステーラはバルコニーから部屋へ戻る。ブランカエステーラに、「あんなふうにうるさく口説かれるのにはうんざりする」と話す。エステーラは、「どうせあんな言葉はお世辞だし、嫉妬することであなたの夫の愛情も増すというものでしょう」となだめる。夫を誠実な心で愛しているブランカは「夫婦の間でゲームのように嫉妬し合うなんて無意味なこと。今の世でいちばん重要とされるのは名誉なのだから」と主張する。

 

カルロスはブランカエステーラの会話を盗み聞きし、話の内容を誤解して、ブランカの貞節に疑いを抱く。

 

国王は再び戻ってきてブランカを口説こうとするが、失敗する。カルロスに見つかった

王は、エンリケのことをアルナルド伯爵だと偽り、ふたりでエステーラを口説いているのだとカルロスに信じこませる。エステーラからも、ブランカが夫を心から愛しているということを聞かされ、カルロスは安心する。

 

カルロスは本物のアルナルド伯爵に、「妹のエステーラと結婚したいのなら、正々堂々とするように」と忠告する。アルナルドにはなんのことかわからない。従者に「おそらくエステーラがあなたに恋していて、兄のカルロスがそれをあなたに悟らせようとしているのでしょう」と言われて、アルナルドもエステーラに恋をし始める。

 

国王は、カルロスの家の使用人たちをブランカとの仲介者として利用しようと企む。そのことに気づいたカルロスは、国王に丸めこまれた侍女たちを使用人たちと結婚させ、スキャンダルが外に漏れないよう高額の持参金をつけて家から追い払う。

 

国王は次に、カルロスに新しい役職を与え、そのための従者を与える。カルロスはその従者がスパイに違いないと疑いつつも、受け入れざるを得ない。

 

国王は、アルナルド伯爵の家がカルロスの家の隣にあることを利用し、アルナルド伯爵に「カルロスには謀反の疑いがあるので、おまえの家から彼の家に忍び込むための抜け穴を作れ」と命じる。アルナルドはしかたなく命令に従う。

 

国王はアルナルドの作った抜け穴からカルロスの家に忍び込み、ブランカを強姦しようとする。隠れてそれを見ていたカルロスは大声で人を呼び、国王は驚いて身を隠す。カルロスは「たとえ王であれ、再び同じようなことをすれば殺します」と告げて王を逃がす。

 

カルロスから非難されたアルナルド伯爵は、国王にだまされたことを知る。彼は抜け穴をふさぐことをカルロスに約束する。

 

アルナルド伯爵はエステーラに愛を告白する。しかしエステーラが彼に恋しているというのが勘違いだったと知り、彼はカルロスに恥をかかされたと感じる。

 

アルナルド伯爵は王に協力し、国王は再び抜け穴を使って、眠っているブランカを襲おうとする。カルロスは王との諍いを避けるため、自分も眠っているふりをし、寝言にみせかけて国王に大声で警告する。国王は再び逃げる。カルロスはなおも寝言にみせかけてブランカに「国王の情欲をかきたてるような服を着ているせいだ」と告げる。ブランカは、夫に貞節を証明するために質素な服に着替えることを決意する。

 

国王はまたもやカルロスの家に侵入し、「抜け穴の様子を見に来た」と彼に告げる。国王は、ブランカが質素な服を着ていることを利用して、「カルロスが妻を粗末に扱っているので、二人を離婚させる」と言って去っていく。従者たちもさすがに国王の分別のなさにあきれ、なんとかそれを思いとどまらせようとするが、国王は承知しない。

 

カルロスは度重なる国王の仕打ちによってもはや理性を失い、名誉のために国王に対して戦争を起こすことを鏡の前で夢想する。

 

宮廷では、エンリケとアルナルド伯爵がエステーラへの恋をめぐって言い争っている。国王は、ブランカを拉致し、カルロスと離婚させるよう従者たちに命令する。そこへ従者の一人がやってきて、カルロスが正気を失ったことを知らせる。ここに至って国王は深い良心の呵責を覚え、カルロスの様子を見に行く。

 

カルロスの惨めなありさまを見た国王は自分の仕打ちを後悔し、彼に「自分はエステーラと結婚する。もともと彼女を口説いていたのだ」と嘘をつく。カルロスは安堵して正気を取り戻す。国王とエステーラの結婚が決まり、ことが丸くおさまって幕となる。