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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

庶子ムダーラ(Bastardo Mudarra, el)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・歴史劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1612年

種類:歴史劇

補足:武勲詩『ララの七人の貴公子』など、多くの文学作品に取り上げられた中世の事件を扱ったもの。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  ブルゴスで、ドニャ・アランブラルイ・ベラスケスの盛大な結婚式が行われる。アランブラカスティーリャ伯爵ガルシ・フェルナンデスの従妹であり、ルイは伯爵の有力な家臣のひとりである。イベリア半島全土から集まった騎士たちが、祝宴の場で馬上槍試合を行う。

 

 アランブラの兄アルバルと、ルイの甥のゴンサロ(「ララの貴公子たち」と呼ばれる7人兄弟の末弟)が、槍試合での優劣をめぐって言い争いを始め、ゴンサロはアルバルを刺し殺してしまう。兄を殺されたアランブラは激怒し、その場で復讐を要求する。

 

 ゴンサロはルイに弁明をするが、ルイはアランブラに要求されるまま、ゴンサロに棒打ちの罰を与える。納得できないゴンサロはルイの顔を打ち返す。

 

 それぞれの親類が対立し、結婚式の場は騒然となる。ゴンサロの父ブストスカスティーリャ伯爵とともに現れる。伯爵は彼らを和解させようと努め、ブストスはゴンサロに向かって、ルイに謝罪せよと命じる。ゴンサロは父の命令に従い、ルイも表向きは彼の謝罪を受け入れる。しかし怒ったアランブラは自分の領地バルバディーリョ(サラマンカ近郊の街)へと去る。

 

 アランブラの親類エステバニェスは、彼女の依頼を受けて、狩猟中のゴンサロの顔に血を塗ったキュウリを投げつける。それはカスティーリャでは最大の侮辱とみなされている行為だった。

 

 アランブラの従妹のコンスタンサは、ゴンサロに恋をしている。彼女はアランブラとゴンサロを和解させようと考える。

 

 コンスタンサとアランブラが話し合っているとき、ゴンサロとその兄たちに追われたエステバニェスがとびこんでくる。アランブラは自分の長い衣の下に彼を隠すが、ララの貴公子たちは衣の上から彼を刺し殺し、アランブラを罵倒して去っていく。

 

 国境警備についていたルイが帰宅すると、アランブラは血の付いた衣を彼に見せ、ゴンサロの胸から心臓をえぐり出さないうちはこれを洗うつもりはないと告げる。ルイは妻の尋常でない憤怒を目の当たりにして、彼女の復讐に加担すべきか否かと悩む。

 

 ルイはブストスを呼び出す。事情を聞いたブストスは息子たちをつれて彼の前に現れ、深い謝罪の意を表明する。ルイはブストスをあざむき、甥たちの行いを許すふりをする。

 

 ブストスと二人きりになると、彼は「カスティーリャ侵略をたくらむモーロ人アルマンソールに貢物を要求する」と告げ、ブストスは彼の手紙を持ってコルドバへ行く。しかしアラビア語で書かれたその手紙の内容は「この男の首をはねよ。また、この男の息子たち7人をわずかな数の兵とともにアルメナルの戦地に送ることを約束する」というものであった。

 

 手紙を読んだアルマンソールは、ブストスの誇り高い人柄を見て、命を奪うことはせず、牢に監禁するよう命じる。ブストスはアルマンソールからルイの裏切りを聞かされる。

 

 アルマンソールの妹アルラーハは、ブストスの牢を管理する。彼女とブストスは愛し合うようになる。

 

 ララの貴公子たちは、ルイにそそのかされて、アルメナルの戦地へと向かう。コンスタンサとゴンサロは愛の言葉を交わして別れる。

 

 ルイは、加勢に行くという約束を破って彼らを戦場に残し、退却する。ララの貴公子たちはアルマンソールの軍によって殺される。従者のロペだけが生き残り、彼らの死を人々に知らせる。

 

 ルイが復讐を遂げたことを話すと、妻のアランブラは歓喜するが、コンスタンサは激怒し、甥たちをモーロ人に売ったルイを裏切り者とののしる。コンスタンサはゴンサロの子どもを妊娠していた。ルイはコンスタンサをララの領地へ追放する。

 

 アルマンソールは、ブストスを夕食に招く。その食事の席に、ブストスの息子たちの首が届けられる。ブストスはそれを見て嘆き悲しむ。アルマンソールは彼の憔悴ぶりを見て、釈放してやることにする。ブストスは、彼の子を宿したアルラーハに別れを告げる。

 

 ブストスとアルラーハの間に生まれた男の子はムダーラと名付けられ、アルマンソールの息子として育てられた。しかしある日、チェスの勝負で彼に負けたアルマンソールは、腹立ちまぎれに彼を「庶子」とののしる。自分の出自に疑念を抱いたムダーラは母のアルラーハから真実を聞き、自分がキリスト教徒の息子であることを知る。

 

 ムダーラはモーロ人として生きるよりもキリスト教徒として生き、不幸な殺され方をした義兄弟のために復讐したいと考える。アルラーハは、ブストスが彼女に与えた指輪の片割れを彼に託す。

 

 カスティーリャに赴いたムダーラは、偶然にもロペと出会う。ロペはムダーラの話を聞き、ムダーラの顔が亡きゴンサロとそっくりであるのを見て、彼が自分のかつての主人たちの異母弟であることを確信する。

 

 コンスタンサは修道女となり、ゴンサロとの間に生まれた娘のクララは人里離れた場所に暮らしていた。ロペはムダーラにクララを紹介し、二人は互いに恋に落ちる。

 

 アランブラは、今なお息子たちを失った悲しみに暮れているブストスを訪問し、自分の飼っている鳩を彼が殺させたと言って罵倒する。彼女はブストスがもっと早く死ぬべきだったと言い、彼を生かしておいたアルマンソールの悪口を言う。

 

 アランブラが去った後、ムダーラがブストスの家を訪ねる。失明していたブストスは、息子のムダーラに会えたことで視力を回復する。

 

 ブルゴスの近郊で狩りをしていたルイのもとに、ムダーラと彼の率いる仲間たちが現れる。ムダーラは自分の身分を明かし、ルイと戦う。

 

 ブストスカスティーリャ伯爵の宮殿に行き、孫のクララの結婚について相談していると、ルイがムダーラの手にかかって殺されたという知らせが入る。(アランブラも殺されたとみられるが、明確には語られない。)人々はブストスコルドバからモーロ人をつれてきたのだろうと彼を非難する。ブストスはムダーラが自分の息子であり、モーロ人の血を引くがキリスト教徒であることを明かす。

 

 ルイの首を持ったムダーラが現れる。彼はキリスト教徒としてカスティーリャにとどまりたいこと、クララと結婚したいことなどを伯爵に訴える。伯爵が彼の願いを聞き入れ、彼の洗礼の名付け親になると宣言して幕となる。