Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

バルラーンとホサファト(Barlaán y Josafat)

ロペへの帰属:(現存するテキストに関しては)否定されている

執筆年代:1611年?

種類:聖人伝にもとづく宗教劇

補足:ロペによるオリジナルの草稿は、かつて個人が所有していたが、現在は行方不明である。第三者によるいくつかの改作が存在する。

インドが舞台となる。釈迦の生涯の逸話との共通点がある。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 インドの王アベニールは、王子のホサファトからあらゆる悲しみを遠ざけ、またキリスト教徒と呼ばれる隠者たちの影響を受けさせないよう、彼を王宮内に閉じ込めていた。家臣のカルダーンからその事実を聞かされたホサファトは、アベニールに「王宮から出て、外の世界を見たい」と懇願する。

 

 アベニールは息子の希望をかなえてやるが、そのかわりカルダーンに「王子がいかなる苦痛や悲しみも味わわないですむように、すべての道を華やかに飾れ」と命じる。また、彼はキリスト教徒たちの迫害を命じる。

 

 ホサファトはカルダーンとともに王宮から出て、市街を歩く。ホサファトは本屋に興味を抱き、多くの本を王宮に持ち帰ることにする。その中には旧約聖書も含まれていた。

 

 ホサファトは、戦争に勝利した将軍が市街を凱旋してくるのを見る。彼とともにいる女性が泣いているのを見て、ホサファトは不思議に思う。彼女はレウシーペという名で、将軍に敗北した王国の王女だった。ホサファトは驚き、彼女を自分の姉妹のように扱うようにと家臣に命令する。

 

 さらにホサファトは、貧しい老人と足の不自由な人が、「王子が醜いものを見て怯えないように」という王の命によって警吏に追い払われているのを目撃する。ホサファトはカルダーンの制止をふりきって彼らに話しかける。彼らとの会話を通して、ホサファトは生まれて初めて、病気や老いや死というものがこの世にあることを知る。

 

 ホサファトはさまざまな体験を通して、唯一神の存在やキリスト教徒のことを含め、多くのことを知ろうと決心する。彼は王宮に持ち帰った本を読みふける。

 

 その頃、バビロニアにはバルラーンというキリスト教徒の老隠者がいた。ある日、彼の元に天使が現れ、ホサファトを悩みから救い出すという使命を彼に与える。バルラーンは承知する。天使はバルラーンをインドまで運んでいく。

 

 バルラーンは商人に変装して、カルダーンに多くの宝石を見せる。彼は貴重な宝を見せたいとカルダーンに頼んで、ホサファトに会わせてもらう。

 

 バルラーンはホサファトに会い、旧約・新約聖書キリスト教に関するさまざまな事柄を教える。ホサファトの強い希望により、バルラーンは彼に洗礼を受けさせ、ホサファトはキリスト教徒となる。

 

 バルラーンは再び荒野へ戻ろうとする。ホサファトは、自分もいずれバルラーンと同じ道を歩むと彼に告げる。

 

 二人の様子を隠れて見ていたカルダーンは、アベニール王にすべてを報告する。アベニールは立腹するが、ホサファトは自分がキリスト教徒になったことを父の前で宣言する。

 

 アベニールとカルダーンは、ホサファトの従者をすべて解雇し、代わりに若い女性たちを彼に仕えさせようと考える。

 

 レウシーペはホサファトに恋をする。歌手のファビオが彼女に協力して、ホサファトの前で恋の歌を歌うが、ホサファトはキリスト教にしか興味を示さない。ファビオはレウシーペに、ホサファトのことはあきらめたほうがいいと忠告する。

 

 ホサファトが着替えをしているところへ、レウシーペと数人の侍女たちが現れる。レウシーペは自分のホサファトに対する恋心と、彼に仕えるよう王に命じられたことを話す。ホサファトは激しく動揺し、レウシーペを遠ざけようとする。レウシーペは、バルラーンから教わったことを自分にも教えてほしいと話し、ホサファトと結婚したいと告げる。ホサファトは彼女の美しさを恐れ、彼女を追い出す。夢の中で彼は天国と地獄の光景を見る。

 

 ホサファトが女性を忌み嫌うようになったことを聞かされたアベニール王は、彼と距離を置くのが賢明だと判断し、王国を二つに分けてひとつをホサファトに統治させることにする。ホサファトはそれを受け入れ、キリスト教に改宗した貴族たちがホサファトの家臣となる。アベニール王も最後はキリスト教に改宗するが、その後まもなく死ぬ。ホサファトは父の後継者として二つの国を手に入れた後、王位を家臣に譲って隠者となる道を選ぶ。彼はバルラーンを探して放浪する。

 

 結婚を控えている羊飼いのラウレンシアは、祝福を与えてもらうために隠者のバルラーンに会いに行く途中で、自殺したいと嘆いている羊飼いのバートに出会う。

 

 ホサファトはバルラーンに再会し、王国を捨てて隠者になったことを話す。バルラーンは喜び、自分の棲んでいる洞窟を彼の住居として提供する。

 

 バートはホサファトに会い、奇跡を起こしてほしいと頼む。しかしホサファトはバートに隠者になることを勧める。

 

 ホサファトの後を追ってきたレウシーペは、ラウレンシアに出会う。ラウレンシアは彼女をホサファトのところへつれていく。ホサファトに会ったレウシーペは再び彼との結婚を望むが、拒否される。

 

 レウシーペはバートに出会い、ホサファトに会って自分の考えが変わったこと、悔悛をしたいと思っていることを話す。バートは、最近息を引き取ったばかりの隠者が使っていた洞窟に彼女を案内する。

 

 ラウレンシアの婚礼が行われる。隠者となったバートが現れる。彼はラウレンシアに祝福を与えるが、暴走してきた牛にぶつかってぶざまに倒れる。

 

 ホサファトが川を渡ろうとしたとき、悪魔が船頭に化けて現れ、彼を溺れさせようとする。すると天使が現れてホサファトを助け、無事に岸まで運ぶ。

 

 バルラーンがホサファトの元にやってきて、「悔悛につとめている聖人がいるという神のお告げがあった」と伝える。二人はその聖人を探しに行く。

 

 悔悛を行っていたレウシーペは、死が近づいてきたことを悟り、告解をしたいとバートに願い出る。しかしそのやり方を知らないバートは、彼女をバルラーンとホサファトのところへつれていこうとする。

 

 悪魔はレウシーペに化けて、ホサファトを誘惑する。しかしホサファトが悪魔に告解をさせようとすると、悪魔は逃げだす。

 

 バルラーンがホサファトのところへやってきて、レウシーペに告解をさせたと伝える。しかしホサファトは彼女が自分の告解を拒否して逃げたと思っているため、その言葉を信じない。

 

 そこへ、奇跡が起きたことを知らせる声が響き、鐘の音が聞こえてくる。バルラーンとホサファトは、羊飼いたちとともに山に昇る。

 

 彼らは、洞窟の中で祈っているレウシーペの姿を見る。彼女は十字架を抱いたまま死んでいた。ラウレンシアは、この聖なる出来事を見届けるようにと羊飼いたちに告げ知らせる。ホサファトが、劇の第一部が終ったことを告げて幕となる。

 

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 ハンス・シリングの追随者《商人に扮したバルラムとヨサファト》

15世紀後半 ゲッティ美術館

J. Paul Getty Museum | The Getty