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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

バンバ(Bamba)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1597?-1598?年

種類:歴史劇

補足:西ゴート王国の国王バンバ(*正しくはワムバ Wamba)が主人公。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 西ゴート王国の国王レシスンドは、宮廷の貴族たちの支持を得て、キリスト教の異端者たちに対する戦いを決意する。

 

 ゴート人の青年アタナヒルドが国王の前に現れ、王の決意が正しいものであることを示す奇跡が起きたと告げる。トレド大聖堂の屋根が突然開き、天使たちに囲まれた聖母マリアが降りてきて、王の支持者である大司教イルデフォンソにカズラ(上祭服)を与えたというのである。王はそれを聞いてイルデフォンソに会いに行く。(*イルデフォンソは聖人とみなされており、この奇跡の物語はスペイン絵画にしばしば描かれている。)

 

 王には長い間、跡継ぎとなる子どもができなかった。王の従妹と結婚したエルビヒオは、いずれ自分が王位につくことになるだろうと考えていた。しかしついに王にテオドレードという息子が生まれたことによって、エルビヒオの期待は裏切られた。

 

 その頃、王国内にバンバサンチャという仲睦まじい農家の夫婦がいた。バンバはある日、司法官の選挙に出席するためイルカーナへと向かった。

 

 宮廷では、戦いで勝利を挙げたテオフィロ将軍が帰還する。しかしその喜びは、突然の王の死という悲報にかき消される。王はイルデフォンソの腕の中で息を引き取り、後には4歳のテオドレードが残された。

 

 次期国王を選出するための会議が行われ、アタナヒルド、エルビヒオ、テオフィロなどが候補者となる。老人のアタウルフォの提案により、ローマ教皇に国王を決めてもらうことになる。候補者たちはアタウルフォとともにローマへ向かう。

 

 イルカーナへ向かっていたバンバは、薪を運ぶ寡婦に出会い、困っている彼女のために自分のラバを貸してやる。善良な彼の行いに対して奇跡が起こる。彼が木を切ろうとしたとき、突然たくさんの花冠が天から彼の足元に落ちてくる。声とともに一本の腕が現れて、彼の頭に金の冠をかぶせようとする。バンバは「王冠や太陽は、遠くから見ているほうがいい」と言って冠を拒否する。

 

 バンバがイルカーナにつくと、村人たちは満場一致でバンバを司法官に選出する。バンバは辞退しようとするものの、無理やり了承させられる。ひとたび任務を引き受けたバンバは、その善良な人柄によって人々の信頼を得る。

 

 アタウルフォ、アタナヒルド、エルビヒオ、テオフィロたちはローマに到着する。教皇は候補者たちの中からだれを西ゴート国王にすべきか悩む。彼の前に天使が現れ、「次期国王となるべき人物はバンバという農夫で、赤い牛と白い牛を引いて畑を耕している」と告げる。

 

 一年後、アタナヒルドたちはようやくイルカーナで赤い牛と白い牛を引いているバンバを見つけ出し、国王になってほしいと申し出る。バンバは最初はからかわれているものと思って断るが、彼らに説得されてついに了承する。妻のサンチャも王妃として宮廷に迎えられる。

 

 その頃、パウロというギリシャ人が、好戦的なモーロ人の王アリカーンをスペインの君主にしようと企んでいた。アリカーンはパウロの戦略に従ってシチリアサルデーニャマジョルカカルタヘナなどを占領し、略奪を繰り返しながらトレドへ向かう。

 

 国王バンバは、その信心深さから人々に賞賛される。バンバはアタナヒルドたちに宮廷の重要な地位を与える。また、先王の息子テオドレードのよき友人となり、彼が成長すれば国王の座を譲ることを約束する。

 

 アリカーンがスペインを侵略しようとしているという知らせが入る。バンバは迅速に対応し、対戦の準備をする。アリカーンが攻めてくると、バンバは軍を率いて勇敢に戦い、アリカーンと一騎打ちをして勝利する。アリカーンとパウロは敗北を認める。

 

 バンバはアリカーンを投獄するが、パウロの人柄に魅了されてしまう。彼はパウロを宮廷に迎え、他のギリシャ人たちとの交流を許す。テオフィロたちはバンバを裏切り者とみなし、ゴート人たちが恥辱を負わされたと怒る。バンバはパウロを軍隊の総司令官に任命する。

 

 エルビヒオは再び国王の座を狙う。先王の親族ロドゥルフォも彼を支持する。

 

 ゴート人たちは、農民のバンバを王にふさわしくない人物と考え、身分の高いギリシャ人のパウロによる統治を望むようになる。テオフィロとロドゥルフォは、バンバを失脚させるためにパウロを支援する。パウロはバンバを裏切り、彼を暴君と呼び、自分こそが王となるべき人物だったと主張する。

 

 バンバは昔の暮らしを懐かしみながらも、粛々と政務をこなしていた。彼の元へ、パウロの反乱の知らせが届く。バンバは反乱軍討伐のために軍を指揮し、その間トレドの統治はエルビヒオに任される。

 

 パウロはスペインの君主となる夢に酔い、ヴィーナスとバッコスに祈願することに時間を割きすぎて軍の準備に手間取る。バンバはその隙にパウロの軍を破る。

 

 パウロ、テオフィロ、ロドゥルフォは反乱の罪を認め、処刑される。いっぽうトレドではエルビヒオがバンバを裏切ろうとしていた。エルビヒオは魔術師のムハラーボの指示に従い、バンバを殺す計画を立てる。ムハラーボは、ゴート人によるイベリア半島の統治はあと3年で終わり、そののちはイスラム教徒たちの支配に落ちるであろうと予言する。ムハラーボはエルビヒオに毒草を渡す。

 

 無事にトレドに帰還したバンバは、自分を裏切ったパウロの死を悲しむ。彼は神に祈り、自分の犯した過ちへの赦しを乞う。疲労困憊した彼は眠りに落ち、彼の夢の中に天使が現れる。

 

 天使は、彼がまもなく死ぬこと、ゴート人によるスペインの支配が終わること、エルビヒオが彼の後継者となり妻のサンチャを娶るが、サンチャはそれから長くは生きていないであろうということを告げる。

 

 目覚めたバンバはエルビヒオを呼び、水を持ってこさせる。エルビヒオは毒を入れた水を彼に飲ませる。バンバはエルビヒオに裏切られたことに気づくが、天使の言葉に従って人々の前でエルビヒオを後継者に任命する。サンチャに別れを告げてバンバが死ぬ場面で幕となる。