Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

アルカディア(Arcadia, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610-1615年

種類:古典文学に基づく牧人劇

補足:古代ギリシャの理想郷アルカディアが舞台となる。1602年に刊行されたロペの牧人小説『アルカディア』との類似点がある。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 アルカディアの牧人アンフリーソベリサルダは6年間恋人として過ごしてきたが、ベリサルダの父エルガストは、娘を牧人頭のサリシオと婚約させてしまう。

 

 喜んだのは、アンフリーソにひそかに恋していたアナルダである。そうとは知らないベリサルダは、自分のつらい胸の内をアンフリーソに伝えてほしいとアナルダに依頼する。

 

 アナルダはアンフリーソの元へ行き、ベリサルダはもう悲しみから立ち直っているようだと嘘を言う。アンフリーソは落胆する。彼女はアンフリーソに謎かけをして、自分が彼に恋をしていることをほのめかす。アンフリーソはアナルダの気もちに気づくが、ベリサルダへの思いを断ち切ることはできない。アンフリーソの友人シルビオは彼を気づかう。

 

 エルガストとサリシオは、アルカディアでの慣習にならって、ヴィーナスの神殿でサリシオとベリサルダの結婚式を挙げることに合意する。

 

 彼らは牧人のバートに、ベリサルダを呼びに行かせる。バートは途中で牧人仲間のカルデニオに出会う。カルデニオはいたずら好きのトラブルメーカーである。彼はアンフリーソに同情し、自分が神殿の陰に隠れて、女神ヴィーナスの声を装って嘘を言い、ベリサルダの結婚式を妨害してやろうと考える。

 

 ベリサルダの結婚式に出席するために、彼女の友人のフローラがやってくる。カルデニオはフローラに求愛するが、まったく相手にされない。

 

 アンフリーソはベリサルダの前で、彼女の心変わりを嘆く。ベリサルダは彼に、自分は毒を飲んで死ぬつもりだと告白する。驚いたアンフリーソは「きみに死なれるくらいなら、きみをサリシオに取られるほうがいい」と告げるが、ベリサルダはその態度を「恋する男性らしくない」と責める。アンフリーソは、自分のとるべき道はベリサルダの後を追って自死することしかない、と決心する。

 

 結婚式の歌や音楽が始まる。結婚式の立会人としてキュレネー山からオリンポという裕福な美青年がやってくる。

 

 結婚の誓約が行われようというとき、神殿の陰に隠れていたカルデニオが、「ベリサルダと結婚する者は三日後に死ぬだろう」と嘘の神託をする。サリシオは怖じ気づき、ベリサルダとの結婚を拒否する。

 

 アンフリーソは、死を恐れずにベリサルダに求婚しようと考える。いっぽう、オリンポもベリサルダにひとめぼれしており、サリシオと彼女との結婚がなくなったことを喜び、危険をかえりみず彼女に求愛する決心をする。

 

 オリンポはベリサルダに恋文を書き、アナルダがそれをベリサルダに届ける。ベリサルダは断りの返事を書く。

 

 オリンポはバートを介して、ベリサルダに多くの贈り物を渡す。アンフリーソはその光景を見て心配になる。

 

 アナルダはベリサルダがオリンポに書いた返事を、アンフリーソの前で読んでみせる。文面はそのままだが、アナルダはわざと区切りを変えて読み、ベリサルダがオリンポの求愛を受け入れたように思いこませる。アンフリーソは絶望し、アナルダの彼への求愛を受け入れる。

 

 アンフリーソとアナルダが一緒にいるところを偶然見かけたベリサルダは、激しく嫉妬する。

 

 カルデニオはバートをからかって遊ぶが、彼に殴られてしまい、仕返しをしようと考える。彼はバートがフローラに恋していることを知り、彼をそそのかして狼の扮装をさせ、フローラの家へ行かせる。

 

 夜になり、ベリサルダの家の近くで、彼女と会おうとしたアンフリーソとオリンポは鉢合わせをしてしまう。そこへ牧人たちが、狼の扮装をしたバートを殴りつけながら追い立ててくる。バートは扮装を解き、カルデニオにだまされたことを嘆く。カルデニオは、「神々だって動物に姿を変えて女性を手に入れたのだから、いずれうまくいくだろう」とうそぶく。人々はカルデニオが引き起こした数限りない騒動にうんざりしながら去っていく。

 

 エルガストは、なんとか神託を翻してもらおうとヴィーナスの神殿に供え物をするが、次の神託は訪れない。ベリサルダは、一生結婚できないのなら女神ディアナに仕えるニンフになると告げる。

 

 アンフリーソがやってきて、ベリサルダがオリンポに書いた手紙を見せ、彼女の心変わりを責める。ベリサルダはその手紙を、正しい区切りをつけて読んでやる。アンフリーソは自分がアナルダの計略にはまったことを悟るが、ベリサルダは「私が嫉妬で苦しんだように、あなたにも嫉妬の苦しみを味わわせてあげる」と告げて彼の元を去る。

 

 ベリサルダは、アンフリーソの前でわざとオリンポと親しくしてみせる。アンフリーソは嫉妬に我を忘れ、錯乱状態になる。バートとカルデニオはアンフリーソの姿を見て怯え、カルデニオは恐怖のあまり木にのぼって逃れようとし、誤って川に落ちてしまう。

 

 シルビオは、アンフリーソが錯乱したことをベリサルダに知らせる。ベリサルダは、彼を嫉妬させるためにわざとオリンポと親しくしたことを打ち明け、アンフリーソに謝罪する。

 

 アンフリーソとベリサルダは仲直りをする。友人想いのシルビオは、ヴィーナスに神託を取り消してもらうために、自分の命を犠牲として捧げると申し出る。アンフリーソはそれを止めようと後を追う。

 

 さまざまな状況が重なり、関係者全員がヴィーナスの神殿に集まる。ベリサルダが誰と結婚するのか、神託を取り消してもらうために誰が犠牲になるのか議論が交わされたのち、ベリサルダはアンフリーソに恋していることを宣言する。アンフリーソはヴィーナスの息子クピドに手助けを願う。

 

 神殿の扉が開き、ヴィーナスクピドが現れる。ヴィーナスは、「自分は誰も死ぬとは予言していない。それは神殿に隠れていたひとりの牧人が言ったことで、自分はアンフリーソとベリサルダの結婚を望んでいる」と述べる。カルデニオは自分が人々をあざむいたことを告白し、バートに責められる。エルガストは娘の結婚を許し、アンフリーソとベリサルダ、アナルダとオリンポが結ばれて幕となる。