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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ドン・ガルシア・ウルタード・デ・メンドーサに服従したアラウコ(Arauco domado por el excelentísimo señor don García Hurtado de Mendoza)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・歴史劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1598-1603年

種類:スペインによるアメリカ大陸征服史に基づく歴史劇(悲劇)

補足:チリの先住民族マプーチェ族(16-17世紀のスペイン人からは「アラウコ」と呼ばれた)とスペイン人との戦い(「アラウコ戦争」)が描かれる。チリの支配者となったガルシア・ウルタード・デ・メンドーサの家族の要望で書かれたとみられ、当然ながら征服者であるスペイン人の視点から描かれている。内容は、スペインの軍人にして詩人のアロンソ・デ・エルシーリャ(Alonso de Ercilla)が実体験をもとに書いた叙事詩『ラ・アラウカーナ(La Araucana)』(1569-89年)に基づいており、エルシーリャも劇中に登場する。マプーチェ族の首長カウポリカンは、初期のアラウコ戦争における指導者のひとり。タイトルに反して、マプーチェ族の抵抗はその後も長く続けられた。

 

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  舞台はペルー副王領の某所(現在のチリ)。スペイン人兵士レボリェード(この劇では道化の役割をつとめる)と、スペイン人に仕える先住民族ティパルコが、副王の息子ドン・ガルシア・ウルタード・デ・メンドーサについて話している。ガルシアは、アラウコ(先住民族の一部族)の反乱を鎮めるために副王から派遣されてきたのである。

 

 ガルシアはまず、アラウコが打ち捨てたキリスト教の聖堂で再びミサを行うための儀式に参加する。ガルシアはうやうやしく聖体顕示台の前にひざまずき、アラウコにキリスト教の儀式の重要性を示す。彼はスペイン国王への服従を彼らに促し、アラウコの反乱の原因を作ったスペイン人アギーレビリャグランをスペインへ送還する。

 

 アラウコの首長カウポリカンは、儀式には参加せず、愛する妻のフレシアとともに川辺でくつろいでいる。カウポリカンは自分が神であると考え、アラウコが処刑したスペイン人征服者バルディビア(ピサロの腹心。サンティアゴ市を建設したが、アラウコとの戦いで捕虜となり処刑された)への侮蔑を口にする。彼はスペイン人たちを海の向こうへ追いやることを誓う。

 

 彼らが楽しんでいるところへ、神官ピリャロンコたちが現れ、呪文でピリャンという霊(スペイン人の視点からは悪魔として描かれる)を呼び出す。ピリャンはアラウコに「二年以内に、ペルーからやってきた敬虔で勇敢なスペイン人指導者によって、アラウコの土地はスペイン国王の支配下に置かれるであろう。そして、9回の戦闘の後に7つの都市が築かれるであろう」と予言する。

 

 アラウコの人々は激怒し、自分こそがガルシアを殺すと口々に名乗り出る。カウポリカンは人々を制止し、「自分のもとへもピリャンが現れ、我々が先手を打つことができるように、ガルシアの軍の行動を教えてくれた」と告げる。彼は人々に、スペイン人たちがコンセプシオン(スペイン人によって建設されたチリ中南部の都市で、当時は軍の拠点であった)から船出する前に攻撃するよう命令する。

 

 スペイン人指揮官のアロンソ・デ・エルシーリャは、ペンコ地区の城塞にいるガルシアに、アラウコが蜂起して攻めてくるであろうと予告する。アラウコは、カウポリカンを賛美しながら攻撃を開始する。カウポリカンとガルシア、アラウコの指揮官レンゴとガルシアの弟フェリーペがそれぞれ戦いを繰り広げる。

 

 アラウコは城塞に突入しようとするが、最終的にはスペイン側がそれを阻止する。カウポリカンは撤退し、ガルシアはアラウコの戦士が投げた石に当たって失神する。

 

 城塞の外では、アラウコの女性たちが夫の帰還を待っている。指揮官のひとりトゥカペルが戻ってこないので、彼の妻グアレバは、彼を見捨てたと言ってレンゴを激しく非難する。トゥカペルは負傷していたが、なんとか生還する。

 

 戦闘は終わり、夜になる。レボリェードは城塞の見張りを任されるが、つい居眠りをしてしまう。ガルシアは彼をつついて起こすが、レボリェードは再び眠ってしまう。ガルシアは腹を立て、無責任な兵士はしばり首にすると告げるが、レボリェードは「睡魔と戦うのは不可能です」と反論する。

 

 城塞での攻防戦は長引く。スペイン人側はアラウコの攻撃をかわし、ビオビオ川の対岸まで軍を進めようと計画していた。

 

 レボリェードは、バナナの木を見つけて喜んでいたところをアラウコに見つかり、捕えられてトゥカペルとグアレバの前に引き出される。トゥカペルは、これから作戦会議があると告げて、彼を焼き殺すようにグアレバに命じて去る。レボリェードは、自分は「エスカパトリア(逃げ口上)」という伝染病にかかっており、自分を殺せばその肉を食べた鳥を介して他の人に病気が感染するのだとグアレバにでまかせを言って、処刑を免れる。

 

 アラウコの作戦会議で、カウポリカンは指揮官たちの意見を尋ねる。みな、スペイン人に降伏するのが妥当と思っているものの、戦いを続ける意思を示す。カウポリカンはそれに同意する。

 

 レボリェードは、グアレバとおしゃべりを続け、スペイン女性たちの習慣やガルシアの魅力について語る。グアレバはスペイン人たちに興味を抱き、彼とともにスペイン側の城塞を訪れる。

 

 ガルシアはスペイン人指揮官たちと、翌日に行う聖アンデレの祝祭の儀式について話し合っていた。話し合いが終ると、レボリェードはグアレバをガルシアの弟フェリーペに紹介する。フェリーペはグアレバに魅力を感じ、口説き文句を言う。

 

 夜になり、スペイン人たちが祝祭の準備をしているところへアラウコの兵たちは急襲をかける。しかし彼らは祭りの音楽や歌を聞いて、自分たちの作戦に気づかれたと勘違いし、あわてて逃亡する。

 

 カウポリカンの息子エンゴルは、意気消沈して、母フレシアに自分たちの敗北を告げる。しかしフレシアはスペイン人たちへの報復を誓い、息子を励ます。

 

 負傷して帰還したカウポリカンは、木陰で休息をとる。そのとき突然、ラウター(スペイン人たちとの戦いで死んだアラウコの勇者)の亡霊が現れる。ラウターロはカウポリカンの決断力のなさを非難し、トゥカペルの丘にカニェーテ市を建設しようというガルシアの作戦を阻止せよと促す。カウポリカンは再び、スペイン人たちとの戦いを続けることを決意する。

 

 ひとりのスペイン人を殺した罪で、アラウコの戦士ガルバリーノが捕えられる。彼の高慢で挑発的な態度を見たガルシアは、見せしめとして彼の両腕を切り落とすようにと命じる。

 

 ガルシアは、弟のフェリーペとグアレバの関係を心配し、フェリーペを問いただす。フェリーペは、グアレバを夫の元へ返したことを伝え、彼を安心させる。

 

 グアレバは、スペイン人指揮官たちが自分を紳士的に扱ったことに感銘を受け、スペイン側へ降伏するようカウポリカンを説得してほしいとトゥカペルに懇願する。レボリェードもまた、戦争をやめるべきだと主張する。トゥカペルは二人を信用し、レボリェードに自分の武器を与え、カウポリカンを説得すると約束する。

 

 アラウコの作戦会議で、トゥカペルは降伏を提案するが、エンゴルは激しく反対し、カウポリカンの制止を無視して、トゥカペルを臆病者とののしる。

 

 フレシアとグアレバが会議に加わる。フレシアはエンゴルに同意し、男性たちが撤退するなら自分が攻撃の先頭に立つと述べる。グアレバはトゥカペルに同意し、自分たちにとって最悪の事態を避けるためには降伏すべきだと主張する。

 

 カウポリカンの心は降伏に傾くが、そのときガルバリーノが、切り落とされた自分の両腕とともに入ってくる。彼は、自由を取り戻すために残虐なスペイン人たちと戦い、不名誉な平和よりも名誉ある死を選ぼうと熱く語る。彼の言葉に鼓舞されて、アラウコの戦士たちはスペイン人との戦いを続けることを誓う。

 

 スペイン人たちのもとに、本国スペインでカルロス1世(神聖ローマ皇帝カール5世)が退位し、息子のフェリーペ2世が国王の座についたという連絡が入る。ガルシアは新国王即位の記念式典を行うことにする。

 

 そこへ、カウポリカンがプレン峡谷にアラウコの指揮官たちを集め、みなで軍歌を歌いながらスペイン人たちへの攻撃の準備をしているという報告が入る。ガルシアは、喧噪にまぎれて彼らに近づき、急襲をかけるよう部下に指示する。

 

 スペイン軍は、待機中のアラウコの軍に急襲をかける。アラウコの兵は散り散りになり、カウポリカンはスペイン側に捕えられる。彼はガルシアの前で、自分がスペイン人たちと戦ったことは正義であると主張する。ガルシアは、不本意ながらも、裏切りと反乱の罪で彼に死刑を宣告する。

 

 赤ん坊を抱いたフレシアが山の上に現れ、戦いに敗れたカウポリカンを非難し、我が子を石の上に投げ落として殺す。

 

 アラウコの人々の前で、カウポリカンは神への悔い改めをさせられ、串刺しの刑に処される。エンゴルは復讐を誓う。

 

 ガルシアは、征服した土地をスペインの領土として捧げることを新国王フェリーペ2世の像の前で宣言する。

 

ラ・アラウカーナ (第1部) (大阪外国語大学学術研究双書 (5))

ラ・アラウカーナ (第1部) (大阪外国語大学学術研究双書 (5))

 

 

 

ラ・アラウカーナ (第2・3部) (大阪外国語大学学術研究双書 (12))

ラ・アラウカーナ (第2・3部) (大阪外国語大学学術研究双書 (12))