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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

フェニーサの手練手管(Anzuelo de Fenisa, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1602-1608年

種類:ピカレスク(悪者)小説的な同時代劇

補足:男装の女性と、その女性に恋する女性が描かれる。シチリア島の都市パレルモが舞台となる。2012-2013年にアリカンテ大学の演劇グループによって上演されている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 パレルモの娼婦フェニーサは、男性たちを手玉に取りつつ決して心を許さないことで有名である。アルバーノはフェニーサのもとへ通っている男性のひとりである。

 

 ヴェネツィアの商人ルシンドと、彼の従者トリスタンパレルモに到着する。港で彼を見かけたフェニーサは、名家の女性のふりをして彼に話しかけ、自分は行方不明の兄の消息を聞こうと港へ来ているのだと嘘を言う。フェニーサの美しさに魅了されたルシンドは、誘われるまま彼女の家へ向かう。トリスタンは、フェニーサの上品さは見せかけにすぎないかもしれないとルシンドに忠告する。

 

 彼らが去った後、三人のスペイン人従者ベルナルドファビオ、ディナルドが港に到着する。彼らはそれぞれに主人を失い、所持金をほとんど持っていない。

 

 ディナルドは、じつは男装した女性(ディナルダ)である。ベルナルドとファビオはそのことに気づいていない。ディナルダの正体はセビーリャの貴族の娘であり、アルバーノのかつての恋人である。

 

 三人は、くじ引きをして当たった者が主人の役を演じ、残りの者はその主人に仕えることにする。ディナルダがくじに当たり、騎士ドン・フアン・デ・ラーラという偽名を名乗る。

 

 ルシンドはトリスタンの忠告を考慮して、フェニーサの前では金品を持っていないように見せかけるが、金鎖を隠し持っていることをフェニーサの侍女セリアに悟られる。フェニーサはルシンドの前でうそ泣きをし、彼が自分を蔑んでいると非難する。ルシンドはあわてて、金鎖は売り物なのだと弁解する。

 

 フェニーサは機嫌を直し、ルシンドに多くの贈り物をして、自分を金持ちの女性と思いこませる。ルシンドは、必ず返礼をすると約束をして帰っていく。

 

 ルシンドが去ってから、フェニーサの昔の恋人オソーリオがやってくる。彼は、知り合ったばかりの騎士ドン・フアン・デ・ラーラ(男装したディナルダ)をフェニーサに紹介する。フェニーサは男装のディナルダのりりしさに目を奪われ、彼女に恋をしてしまう。

 

 ひと月が経過する。ルシンドはフェニーサから多くの贈り物を受け取り、彼女に心から愛されていると信じているが、トリスタンはそれを疑っている。

 

 アルバーノは、オソーリオの家に滞在しているドン・フアン・デ・ラーラが自分のかつての恋人ディナルダではないかと疑いを抱く。アルバーノはディナルダの兄と口論をした際、誤って彼に傷を負わせてしまい、セビーリャにいづらくなってシチリアへやってきたのである。

 

 フェニーサはディナルダに、オソーリオが不在のときに自分の相手をしてほしいともちかける。ディナルダは断り切れず、それを承知する。

 

 ルシンドがフェニーサを訪ねてくる。フェニーサは、兄がトラブルに巻き込まれ、助けるには2000ドゥカードが必要だと告げる。フェニーサの術中に落ちたルシンドは、トリスタンに命じて金を工面する。金を受け取ったフェニーサは、オソーリオの仲間を使って彼らを脅し、家から追い出す。ルシンドは、フェニーサが手だれの娼婦であり、まんまと騙されたことを悟る。

 

 さらにひと月が経過する。ベルナルドとファビオは、ディナルダが女性であることにうすうす気づいているが、ディナルダはしらを切りつづける。

 

 オソーリオの留守中をねらってフェニーサがディナルダのもとを訪れ、体の関係を迫る。そこへアルバーノがやってくるが、セリアに足止めされる。フェニーサとドン・フアン・デ・ラーラが楽しんでいる最中だと聞いたアルバーノは、彼をディナルダだと思ったのは自分の勘違いだったのだろうかと悩む。

 

 一度はパレルモを去ったルシンドであるが、フェニーサへの怒りがおさまらず、彼女に仕返しをするために戻ってくる。彼は、セビーリャからやってきた騎士ドン・フェリックスと出会う。

 

 フェニーサはディナルダに体の関係を拒まれ、悪態をつきながらセリアとともに去る。ルシンドに出会ったフェニーサは喜んでいるふりをする。ルシンドはフェニーサを許したふりをして、金が必要なら喜んで出すと申し出る。すかさず、獲物にする男性に贈る金が必要だと言うフェニーサに、ルシンドは自分の持ってきた大量の商品を差し出す。それは、実際は総額でも100エスクードに満たないがらくたであった。

 

 オソーリオもフェニーサの手口に騙され、彼女への仕返しを企む。彼はドン・フアン(ディナルダ)に、「あの手の女たちは、結婚という言葉に一番弱い」と言い、フェニーサと結婚する意思があるように演技してくれと依頼する。ディナルダがフェニーサに求婚すると、フェニーサは大喜びし、ルシンドのくれた商品をあてにして金を工面する。

 

 フェニーサが去った後、ディナルダはアルバーノが自分のことを忘れてしまったに違いないと考えて嘆く。彼女はアルバーノに、フェニーサと結婚するつもりであると伝える。アルバーノはさらに混乱する。

 

 アルバーノの友人カミーロが、アルバーノがかつて傷つけたディナルダの兄フェリックスがパレルモに来ているらしいと彼に伝える。

 

 フェニーサは大金を持って家に戻ってくる。ベルナルド、ファビオ、オソーリオ、ディナルダに彼女は高価な贈り物をする。そこへカミーロとアルバーノが手紙を持ってやってくる。手紙はパレルモを去ったルシンドからのもので、フェニーサをだましたことを伝える内容だった。

 

 続いて、フェリックスが従者たちをつれて押し入ってくる。フェリックスはアルバーノがディナルダをさらったものと思っており、妹を返せとアルバーノに詰め寄る。ディナルダは男装を解いて正体を明かす。

 

 フェリックスの誤解は解け、ディナルダとアルバーノは結ばれる。男性たちを手玉に取ってきたフェニーサは、結婚相手と金品を失うはめになる。

 


El Anzuelo de Fenisa - Aula de Teatro de la UA - L'Alcudia