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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

アントニオ・ロカ、あるいは最も幸運な死(Antonio Roca o la muerte más venturosa)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・宗教劇)

ロペへの帰属:(Artelopeが調査した草稿に関しては)否定されている

執筆年代:不明

種類:伝説に基づく宗教劇

補足:盗賊を主人公とした宗教劇の一例。この戯曲のタイトルはロペの生前に刊行された『故国巡礼』の作品リストに載っているが、Artelopeで調査された草稿(マドリード国立図書館所蔵)は、ロペのものではなく、ラニーニ・サグレド(Lanini Sagredo)という人物のものと判定された。Melbury House図書館に所蔵されている草稿がロペのオリジナルと考えられており、それはVictor Dixonによっていずれ刊行される予定である。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 アントニオ・ロカは、レリダ(カタルーニャ語ではリェイダ)で学問を修めたのち、恋人のラウラと別れ、司祭となる道を選ぶ。彼にラウラと別れるよう求めたのは修道士のフェリシアーノである。ラウラは悲しみ、アントニオとフェリシアーノの仕打ちを恨む。

 

 アントニオの母フリアから、彼の父ペドロ・ロカが殺されたという知らせが届く。アントニオの従者メンドルーゴは、フリアに言い寄っていたアルベリーノ男爵が犯人に違いないと主張する。アントニオは、まだ年若い母のことが心配になり、バルセロナの実家へ戻ることにする。

 

 ペドロ・ロカ殺害に関する裁判が行われる。アルベリーノ男爵が犯人だというフリアの訴えにもかかわらず、証人がいないという理由で男爵は釈放されてしまう。男爵が自分の地位を利用したことはあきらかであり、フリアはアントニオに父のかたきを討つことを求める。聖職者となったアントニオは、「復讐をなすべきは神のみであり、人間は悪を犯した人間を許すべきだ」と母に説くが、怒りに我を忘れたフリアは、彼が復讐しないのならば自分の手で復讐すると言い、彼に剣を手渡す。アントニオは母の懇願に負け、アルベリーノ男爵を刺し殺す。

 

 しかしアントニオは、男爵だけでなく、彼を追ってきた男爵の仲間や看守も殺して逃亡する。さらに彼は貴族の家から子どもを誘拐し、塔にたてこもる。

 

 バルセロナの副王はアントニオに同情を示すが、判事たちは彼を激しく糾弾する。アントニオの要求で、塔に食べ物が届けられる。ラウラは、アントニオの逃亡の手はずを整え、彼に手紙を送る。アントニオは塔から脱出し、ナポリ行きのガレー船に乗って逃げる。ラウラとメンドルーゴも、別のガレー船に乗ってアントニオの後を追う。

 

 アントニオの犯した多くの殺人について、フリアは責任を追及される。バルセロナ副王はフリアを庇護し、男爵の一味から守る。

 

 アントニオの乗ったガレー船の船長は、判事たちの要請を受けてアントニオを裁判所に引き渡そうとする。アントニオは抵抗し、海にとび込んで逃げる。

 

 岸にたどり着いたアントニオは、一軒の宿屋に入る。宿屋は満室だったが、彼は死人が安置されている部屋に無理に泊めてもらう。夜中に追手が宿屋に押し入ってくるが、彼は死体を自分の身代わりにする。彼は追手を次々に殺し、武器を奪いながら逃亡する。

 

 アントニオは、彼を追ってきたラウラとメンドルーゴに再会する。ラウラはアントニオと行動を共にすることを誓う。アントニオはピレネー山脈を越えてスペインを脱出しようと考える。

 

 アントニオたちは山の中で4人の盗賊たちに出会う。彼らは盗賊たちと意気投合し、仲間に加わる。

 

 盗賊となったアントニオたちは、ある日、ひとりの老人を捕える。老人は、聖人に奉げるランプを買いに行く途中だと告げて、所持金を差し出す。盗賊の頭領レオニードは彼を邪険に扱うが、アントニオは彼を紳士的に扱う。

 

 レオニードは、ひとりの若い女性を犯そうとするが、メンドルーゴ、アントニオ、ラウラがかけつけて女性を助ける。

 

 怒ったレオニードに追われるアントニオの前に、かつての友フェリシアーノが現れる。フェリシアーノはアントニオに、罪を犯しつづけるのはやめるようにと諭し、ローマへ行って罪を浄めてもらうよう勧める。なぜ神から遠ざかってしまったのかというフェリシアーノの問いに、アントニオは「再燃した愛による盲目的な激情」が原因だと答える。ラウラが現れたのを見て、フェリシアーノはその意味を悟る。

 

 ラウラはアントニオに、自分がフェリシアーノに抱いていた敵意が消えたこと、自分の犯した罪の恐ろしさを感じることを告げる。しかしアントニオは、盗賊の稼業をやめる気はないと突き放す。ラウラはフェリシアーノに、自分が罪の悔い改めを望んでいることを伝え、アントニオを改心させることを約束する。

 

 バルセロナ副王と判事たちの送った兵が、アントニオを捕えるため山を捜索する。判事たちは彼らの手柄を立てることばかりを考えているが、副王はアントニオの無事を祈る。フリアはアントニオを説得するため、山に入る。

 

 アントニオは、副王が彼を助けるために送った密使を撃ち殺してしまう。フリアは息子の行為を嘆き、行いを改めるようにと彼に告げる。アントニオは頑なにそれを拒否するが、ラウラが彼に罪を悔い改めてほしいと懇願するに及んで、彼は劇的に回心を遂げる。彼は自分の犯した罪の大きさに打ちのめされ、神の許しを請い、悲嘆にうちひしがれて地に倒れ、息絶える。

 

 副王がアントニオの遺体のもとに到着する。フェリシアーノは、アントニオが死ぬ前に回心したことを知らせる。副王は彼の遺体をバルセロナへ運び、丁重に弔うことを告げる。