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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

恋と裁判と決闘(Amor, pleito y desafío)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1621年

種類:架空の宮廷劇

補足:14世紀、カスティーリャ王アルフォンソ11世時代のバリャドリードが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 貧しい騎士ドン・フアン・デ・パディーリャと、国王の寵臣ドン・フアン・デ・アラゴンは友人関係にあり、ともにドニャ・ベアトリスに恋をしている。二人とも「フアン」という名前であることから、誤解と騒動が起こる。

 

 フアン・デ・パディーリャ(以下、「パディーリャ」と表記)は、ベアトリスと恋仲になったことを彼女の父ドン・アルバーロに知られ、非難される。アルバーロは彼に、ベアトリスと結婚するつもりなら国王アルフォンソの許可を得てくるようにと言い渡す。

 

 パディーリャは王宮へ行ってみるものの、国王の前に進み出る勇気が出ない。そこで彼は、友人で国王の寵臣であるフアン・デ・アラゴン(以下、「アラゴン」と表記)に国王との仲立ちを依頼する。しかし、ひそかにベアトリスに恋していたアラゴンは、承知したふりをして、自分自身とベアトリスの結婚を国王に願い出る。国王はすぐにそれを許可する。

 

 ちょうどそのとき王宮にやってきたアルバーロに、国王は「ベアトリスをフアンと結婚させるように」と命令する。アルバーロはそれをパディーリャのほうだと勘違いしてしまう。彼が貧しいことが心配になったアルバーロは、「パディーリャの財産を増やしてください」と国王に願い出る。国王は彼の勘違いに気づかないまま、「パディーリャを私のサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅に同行させ、その報酬として財産を与えることにする」と告げる。

 

 それを聞いたアラゴンは、何も知らないパディーリャに「国王は、巡礼の旅にきみを同行させ、帰ってきたら褒美としてベアトリスと結婚させてくれるそうだ」と嘘を言う。パディーリャはそれを聞いて、従者のマルティンとともに喜ぶ。

 

 アルバーロはまもなく、国王がベアトリスとの結婚を許可したのはアラゴンのほうだったことを知る。しかし彼は、パディーリャの巡礼行きについてはそのままにしておくことにする。

 

 ドニャ・アナは、パディーリャに片思いをしている。彼女もまた、パディーリャがベアトリスと結婚するのだと思い、それを妨害しようと躍起になる。アルバーロは彼女の誤解を解いてやる。

 

 アラゴンにあざむかれたパディーリャは、ベアトリスに「巡礼から帰ったらきみと結婚できるだろう」と話す。パディーリャが去った後、アルバーロがベアトリスの元へ来て、彼女とフアンとの結婚の手続きをしてきたと告げ、ベアトリスは大喜びする。しかしその直後にアラゴンがやってきて、彼女とすぐにでも結婚式を挙げたいとアルバーロに願い出る。ベアトリスは、自分の結婚相手というのがアラゴンのほうであると知る。

 

 ベアトリスは、書類上はアラゴンの妻になってしまったが、彼との結婚に必死に抵抗し続ける。パディーリャが巡礼から戻ってくると、彼女は自分の結婚を無効にする裁判を起こしてほしいと彼に依頼する。

 

 娘の抵抗に腹を立てたアルバーロが彼女を殺しかねないと判断したパディーリャは、ベアトリスをひそかに家からつれ出し、ドン・ペドロという親切な騎士の家に滞在させる。

 

 パディーリャは国王に、ベアトリスとアラゴンとの結婚を無効にするための裁判の許可を願い出る。国王はアラゴンを呼び、事情を尋ねる。アラゴンはパディーリャをあざむいてベアトリスとの結婚を願い出たことを告白し、「恋とは戦争なのです」と弁明する。

 

 国王はパディーリャに裁判を起こすことを許可し、それに必要な資金を彼に与え、さらに騎士としての位を上げてやる。アラゴンは、国王の支持を失ったと感じて嘆く。

 

 ベアトリスの元へアナがやってきて、アラゴンの妻になるよう説得しようとする。しかしベアトリスは聞く耳を持たない。アルバーロはアナに「パディーリャはどうせ私の遺産が目当てなのだから、私が再婚すると言えば結婚をあきらめるだろう」と言う。アナはいやいやながらも、アルバーロの偽の婚約者になることを承知する。

 

 アラゴンは、この裁判に勝つ見込みはないと感じ、ベアトリスをあきらめ、パディーリャと和解しようと考える。アラゴンはアナに結婚を申し込み、アナもアルバーロとの偽の結婚に乗り気ではなかったため、その申し出を受け入れる。

 

 アラゴンは、今や自分にかわって国王の寵臣となったパディーリャに、自分とアナとの結婚の許可をもらってほしいと頼む。パディーリャは自分がアラゴンにされた仕打ちのことを忘れておらず、嫌味たっぷりの態度でそれを承諾する。アラゴンは屈辱を感じる。

 

 国王と貴族たちが、「騎士の価値が示されるのは何においてであるか」という問題を議論し始める。国王は「恋と、裁判と、決闘においてである」と主張する。パディーリャは「自分の場合は決闘だけです」と言いきる。

 

 国王は、アラゴンとアナの結婚を許可する。しかしパディーリャの発言を聞いていたアラゴンは、その夜バリャドリードの街じゅうに、パディーリャとの決闘を告知する紙を貼り出す。パディーリャはそれを受けて立つつもりで、国王に決闘の許可を願い出る。国王は、騎士として自分の価値を示したいというパディーリャの希望を聞き入れるが、ひそかに二人の決闘を阻止しようと、家臣にアラゴンの逮捕を命じる。

 

 アルバーロは、アナとの結婚の許可を国王に願い出るが、国王は彼が高齢すぎるということ、アナはすでにアラゴンと結婚してしまったことを彼に告げる。

 

 ベアトリスは、決闘に行くパディーリャを止めようとするが、拒否される。パディーリャが決闘の場所へ着いたとき、アラゴンが逮捕されたという知らせが入る。

 

 パディーリャとアラゴンは、決闘の許可をもらったのになぜアラゴンが逮捕されるのかと国王に尋ねる。国王は彼らの和解を望み、「君主として君たちの名誉は保証するから、武器ではなく言葉を使って勝負せよ」と命じる。

 

 結局、国王の寛大な計らいによってパディーリャとアラゴンは和解し、パディーリャとベアトリス、アラゴンとアナ、マルティンとベアトリスの侍女レオノールが結ばれて幕となる。