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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

恋に落ちた恋神(アモル)(Amor enamorado, el)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・その他の劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1625-1635年

種類:古典文学と創作に基づいた神話劇

補足:ニンフ(精霊)に片思いをする神々が描かれる。1635年に王室の離宮ブエン・レティーロ宮殿で、コスメ・ロティ(Cosme Loti)による大掛かりな舞台装置を用いた「ダフネの寓話のコメディア」が上演されたという記録があり、それがこの作品にあたると解釈されている。少年として登場するクピドは女性が演じた。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

 ギリシャテッサリア地方に巨大な蛇ピュトンが現れ、破壊を繰り返す。ニンフのシレーナはピュトンから逃げ、小高い丘の陰に隠れる。

 

 シレーナに恋している農夫のアルシーノが現れ、彼女を見つける。ピュトンが去ったのを認めたアルシーノは、怯えているシレーナをなだめ、小川で水を飲ませる。シレーナはアルシーノに好意を持つ。

 

 ニンフのダフネ、羊飼いのシルビアバートが彼らに加わる。5人がピュトンの恐ろしさについて話していると、再びピュトンが襲ってきたという声が聞こえる。5人は散り散りになって逃げる。逃げ遅れたバートの前に、ピュトンを退治しに来た太陽神フェーボ(アポロともいう)が現れる。

 

 ダフネのもとに、彼女の父ペネイオスが現れ、彼女に結婚を勧める。しかし彼女は女神ディアナの侍女なので、処女でいなければならないのだと言ってそれを拒否する。ペネイオスは機嫌を損ねてしまい、姿を消す。

 

 ひとりになったダフネは、世の中の男性たちや、恋愛をつかさどるヴィーナスクピド(恋の神。アモルともいう)などの神々に対する不満を述べる。それを耳にしたヴィーナスは彼女の前に姿を現し、自己弁護を試みる。しかし、やはりヴィーナスはダフネに拒絶されてしまう。屈辱感にさいなまれるヴィーナスは、ダフネへの復讐を息子のクピドに依頼する。

 

 フェーボはバートとともにピュトンの住処へ行き、火を吐きながら眠っているピュトンを矢で射殺す。テッサリアの人々はピュトンの死を喜び、フェーボを礼賛する。フェーボはピュトンの首を、妹のディアナの祭壇に供える。

 

 クピドは、自分の矢がフェーボの矢ほど人々に誉められないことを嘆き、フェーボに嫉妬する。フェーボは傲慢な態度で、ヴィーナスとクピドを見下す。激しく言い争いをした末、クピドはフェーボに恋の矢で仕返しをしようと決意する。

 

 フェーボを礼賛する詩のコンテストが開かれる。優勝者に冠を与えるのはダフネとシレーナである。クピドはフェーボに黄金の矢(恋の矢)、ダフネに鉛の矢(嫌悪の矢)を射る。フェーボはたちまちダフネに恋をし、熱心に口説くが、ダフネからは激しく拒絶される。クピドはそれを見てフェーボを嘲笑する。

 

 シレーナはダフネの意固地な態度を、「美徳ではなく、愚かな思い上がり」だと言ってたしなめる。シレーナが去った後、ダフネの前に一頭の鹿がとび出してくる。ダフネは鹿をしとめようと後を追う。

 

 鹿は、ダフネを遠くまで誘い出したところでフェーボに姿を変える。ダフネと二人きりになるためのフェーボの作戦だった。フェーボは、無理強いはしないので態度をやわらげてほしいとダフネに懇願する。ダフネは逃げ出し、フェーボは彼女の後を追いかける。

 

 バートはシルビアに片思いをしている。彼はシルビアに指輪を与えるが、シルビアは指輪だけを受け取ってバートを愛することは拒否する。シルビアはバートをからかって楽しむつもりで、「狼に仮装して会いに来て」と彼に頼む。

 

 ダフネは、追ってくるフェーボから守ってくれるようにと神々に助けを求める。彼女の願いは聞き届けられ、その姿は月桂樹に変わる。フェーボは悲しみに暮れる。彼は、今後は自分の栄誉のために与えられる冠は月桂樹の葉だけで作ることを誓う。

 

 恋に傷ついたフェーボはディアナのもとへ行き、クピドへの復讐を依頼する。ディアナは女神としての力を使って、クピド自身が恋に苦しむという罰を与える。

 

 クピドはたちまち、シレーナに恋わずらいをしてしまう。自分の運命を嘆いている彼の前にフェーボが現れ、彼をからかう。クピドは、こうなったのはフェーボのせいだと言って怒る。彼は母親のヴィーナスに助けを求める。

 

 シレーナはアルシーノと愛し合っており、クピドの求愛を拒否している。彼女はクピドに復讐される前にアルシーノと結婚しようとしていた。シレーナがひとりでいるところへ、狼の毛皮を被ったバートが現れる。ひと騒動あった後、シレーナとバートがそれぞれ自分の恋の問題を考えていると、アルシーノがやってくる。彼は二人に嫉妬するが、シルビアの仲裁で誤解は解ける。

 

 アルシーノとシレーナが抱き合おうとした瞬間、シレーナの姿が消える。アルシーノは絶望して去る。彼女のいた場所に泉がわき出ており、シルビアとバートが水面をのぞくと、シレーナの泣き声が聞こえてくる。彼らはクピドがシレーナを奪っていったのだと知る。

 

 突然、シルビアとバートはクピドの力によって、彼の神殿へ運ばれていく。クピドがシレーナをつれて登場する。クピドは上機嫌でシレーナをもてなすが、彼が眠りに落ちたすきにディアナが現れ、シレーナをさらっていく。

 

 目覚めたクピドは、シレーナがいなくなったことに気づき、怒り狂う。シルビアとバートは恐れて逃げる。クピドはひとり、恋の苦悩と自らに下された復讐を思って嘆き悲しむ。

 

 フェーボは復讐の成功をディアナに感謝し、シレーナが生きていることをアルシーノに伝える。シレーナとアルシーノの結婚式が盛大に行われる。

 

 ヴィーナスとクピドが現れ、フェーボとディアナに愚弄されたことへの仕返しを告げる。神々の間で戦いが始まろうとしたとき、天から最高神ユピテルが登場する。

 

 ユピテルは神々を仲裁し、クピドにはシレーナへの恋をあきらめるようにと告げる。バートは、シルビアが自分を好きになってくれるようにしてほしいとユピテルに嘆願する。ユピテルはそれを叶える。アルシーノとシレーナ、バートとシルビアが結ばれて幕となる。

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コルネリス・デ・フォス

《ダフネを追うアポロ》1636-38年

プラド美術館

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