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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

無分別な恋(Amor desatinado, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1597年

種類:架空の宮廷劇

補足:君主による不道徳な行いが描かれる。イギリスとフランスが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 イングランド国王ロベルトは、行政官フィリベルトの娘ローサと一夜をともにしたいと望み、彼女の家へ出向く。王は侍従のテオドーロに取次ぎを命じる。

 

 ローサは執拗に辞退し、自分が愛しているのはテオドーロであることを告白する。テオドーロは自分もローサを愛していることを認めるが、王の権力に逆らうことはできない。

 

 国王はローサを熱心に口説き、王妃のイサベルを邪魔者だと思っていることを告白する。イサベルの父はフランス国王エンリーケなので離婚にはリスクが伴うし、妻殺しは神の怒りが恐ろしいのでできない。しかし自分はローサが気に入っているので、彼女は臣下として命令をきくべきだ、と王は主張する。

 

 ローサの父フィリベルトと兄エンリーコが帰ってくる。王は、表向きはローサとテオドーロを結婚させるということにして、フィリベルトとエンリーコの出世を約束し、ローサを無理やり王宮へつれて帰る。

 

 フィリベルトは、王の目的は娘を愛人にすることだと察し、その横暴さに立腹する。しかしエンリーコは「王を罰することができるのは神だけだし、どの国の王にも、庶子のひとりやふたりはいるものです」と開き直る。結局、二人とも自分たちの出世のためにローサのこうむる不名誉には目をつぶる決心をする。

 

 王宮では、イサベルが夫の帰りを待ちわびている。朝帰りをしたロベルトはイサベルを邪険に扱い、部屋から追い出す。テオドーロは王をたしなめるが、王は「神は王を自由な存在として作られたのだ」と豪語し、侍従長アルシンドに、ローサを庭園内にある離宮に住まわせるよう命じる。

 

 離宮で、王とローサは床を共にする。テオドーロはローサに会い、彼女の体が王に奪われてしまったことを嘆く。しかしローサはさばさばした態度でテオドーロをなぐさめ、愛しているのは彼だと告げる。

 

 フランス国王エンリーケは、イサベルからの手紙で、彼女が夫から侮辱的な扱いを受けていることを知る。家臣たちは怒り、王の愛人であるローサを暗殺しようと企てる。

 

 離宮でローサと退廃的な生活を送るロベルトは、ワインを飲んで酔いつぶれ、王妃をつれてきてローサにワインをつがせるようにとアルシンドに命じる。ローサは王妃に対して横柄な態度を取るが、王妃はつつましい態度でそれに耐える。それに感嘆したアルシンドは、王妃に対する忠誠を誓う。

 

 王が眠ってしまうと、ローサとテオドーロは互いに愛の言葉を交わし、なにも知らない王のぶざまな姿を見て笑う。彼らは面白半分に、干し草を王の耳に刺しこむ。王は驚いて目を覚まし、「王妃とアルシンドが自分を暗殺しようとする夢を見た」と告げる。

 

 ローサはそれを利用して、彼らに対する疑念を王に抱かせようとする。王はフィリベルトとエンリーコを呼び出し、王妃を逮捕せよと命じる。アルシンドは王妃を守ろうとするが、王妃との不義の疑いをかけられる。

 

 フランスから商人のふりをして上陸した貴族たちは、離宮にいるローサに数々の宝石を見せる。ローサが心を許すのを見て、彼らは惚れ薬と称する液体を彼女に売ると申し出る。これを王に飲ませればきっと自分を王妃にしてくれると言われたローサは、喜んでそれを買うことにする。すっかり軽薄な性格になっている彼女は、惚れ薬と引き換えに商人と逢い引きをすることを約束する。

 

 商人に化けたフランス人貴族たちは、ローサを強姦する。髪を振り乱して王の前に現れたローサは、お腹の中にいた王の子どもを死なせてしまったと嘆き、復讐をしてほしいと告げて失神する。王はフィリベルトを呼び出し、王妃を殺すよう命じる。

 

 王妃の危機を察知したアルシンドは、ひそかに王妃を王宮から逃がし、自ら逮捕される。王妃は変装して海岸へ逃れ、小舟を使って海へ出る。

 

 国王の前に引き出されたアルシンドは、王妃が聖女のような人間であること、王はききわけのない子どものような人間であること、ローサとテオドーロは王の知らないところで愛を交わしていることなどを告げる。王はようやく自分の愚かさと罪深さを悟り、深く後悔する。フィリベルトとエンリーコは牢獄に入れられることになり、王の無分別な行いに加担したがゆえに身に降りかかった不幸を嘆く。

 

 イングランドへ戦争を仕掛けるために、フランス国王が率いる艦隊がやってくる。艦隊は小舟に乗ったイサベルを発見し、エンリーケとイサベルは再会を喜びあう。アルシンドが彼らを迎え、ロベルトが改心したことを伝える。

 

 首に縄をかけたロベルトと、両手を縛られたローサとテオドーロが、彼らの前に進み出る。ロベルトは後悔の涙を流し、自らの命を差し出したいと申し出る。イサベルとエンリーケは彼が改心しているのを認め、過去の行いを許す。エンリーケはアルシンドに感謝し、彼に娘マルガリータとの結婚と爵位の授与を約束する。ローサとテオドーロは、イギリス国外に行って結婚することを許される。一行がアルシンドマルガリータの婚礼を行うためにフランスへ出発して幕となる。