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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

恋はよく見て(Amor con vista)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1626年

種類:都会的な同時代劇

補足:当時スペインの副王領であったナポリ(イタリア)で起きた2日間の出来事という設定である。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

ロペ自筆原稿のタイトルページ(マドリード国立図書館所蔵)

Amor con vista : comedia. Inc.: Escribióme que partía ... Exp.: pues amor con vista acaba | Biblioteca Virtual Miguel de Cervantes

 

 ナポリの娘セリアのもとへ、ミラノから婚約者のオクタビオ伯爵がやってくる。ふたりとも相手に会うのは初めてである。

 

 ふたりは礼儀正しく挨拶を交わす。オクタビオは、セリアがいなくなってから従者のトメに「印象は良いが、正直に言ってまだ恋しているとは言えない」と告げる。トメは、「心配しなくてもきっとうまくいきます」とオクタビオをなだめる。

 

 オクタビオはセリアの家に結婚式まで滞在することになる。トメはセリアの侍女のフローラから、従者用の部屋の鍵をあずかる。

 

 オクタビオとトメの前に突然フェニスという女性が現れ、助けを求める。トメは、とっさにフローラからあずかった鍵を使って、フェニスを部屋に隠す。彼女を追っていたのは、父親のファブリシオ伯爵だった。さらにセサルレオナルドと名乗る青年たちが、次々とフェニスを探しにくる。オクタビオは彼らに嘘の情報を教えて、フェニスを助ける。

 

 フェニスの話から、セサルとレオナルドがフェニスに求婚していること、ファブリシオはセサルのほうを婿にしようと思っていること、フェニスがどちらとも結婚したくないという意思を伝えるとファブリシオは激高し、剣を抜いて彼女を追い回したことなどがわかる。

 

 オクタビオはフェニスにひとめぼれしてしまう。彼はカルロスという偽名を名乗り、自分はセリアの結婚の世話人で、彼女の家に滞在中なのだとフェニスに説明する。セサルやレオナルドが再びフェニスの居所を知ろうとオクタビオに情報を求めてやってくるが、オクタビオは嘘をついて彼らをごまかす。

 

 オクタビオはフェニスに恋心をうちあける。フェニスは「会ってからまだ2時間しか経っていない」と戸惑うが、オクタビオを憎からず思う。オクタビオは彼女を、内側から鍵をかけられる小部屋へかくまう。

 

 翌朝フェニスは、オクタビオがセリアの家の者たちと話している会話を耳にして、彼が名乗っていたのは偽名であり、ほんとうはセリアの婚約者なのだということを知ってしまう。彼女はオクタビオに裏切られたと思い出ていこうとするが、オクタビオは「セリアとの結婚はやめる。あなたと結婚したい」と告げて彼女を引きとめる。

 

 ナポリの副王がセリアの家を訪れ、彼女とオクタビオの結婚式の立会人になると申し出る。彼らの結婚式はその夜のうちに行われることになる。フェニスは小部屋に隠れて彼らの言葉を聞いていることに耐えきれず、泣きながら部屋からとび出して外へ逃げていく。その場にいた人々はあっけにとられ、副王はそそくさと帰っていく。

 

 セリアに「あの女性は誰か?」と尋ねられたオクタビオは、「『セリアはほんとうは副王の愛人なのだ』と私に言いに来た女性だ」 とあらたな嘘をつく。それを聞いたセリアは、自分に嫉妬する女性の嫌がらせだと思いこむ。

 

 フェニスは自分がオクタビオに恋していることに気づくが、自分が味わった惨めな気もちを思うと戻る気になれない。そこへ偶然にもセサルとレオナルドが現れ、彼女をめぐって争い始める。どさくさにまぎれて、オクタビオとトメがフェニスを説得し、セリアの家へ連れ帰る。

 

 セサルとレオナルドは、あらためて決闘の約束を交わす。セリアの家には、再びフェニスがかくまわれる。

 

 レオナルドが、セサルを殺してしまったと言ってオクタビオの元へやってくる。オクタビオはトメに命じてレオナルドを別の場所にかくまわせる。

 

 レオナルドは、剣での決闘であったにもかかわらず、銃でセサルを撃っていた。セサルは万一に備えて鎧をつけていたので、命はとりとめていた。そのことを知ったナポリの副王は、レオナルドがそのようなことをしてフェニスを手に入れたのならば処罰すべし、と告げる。

 

 セリアは、自分を中傷したという女性が誰であるかをつきとめることができず、オクタビオの話は嘘ではないかと疑い始める。

 

 副王とファブリシオがセリアの家へやってきて、レオナルドを探す。各部屋が調べられ、フェニスとレオナルドが見つかってしまう。副王はレオナルドを非難するが、レオナルドは自分がフェニスをつれてきたのではないと弁明する。オクタビオは、自分がフェニスをかくまっていたことを告白する。彼はフェニスと結婚したいと望むが、副王はそれを許さず、セリアと結婚するようにと命じる。

 

 セサルはセリアを傍へ呼び、「恋は盲目というけれど、われわれはそのような恋をするのではなく、よく見て恋をしようではありませんか」と提案する。セリアはそれに同意し、自分に嘘をつき続けていたオクタビオは夫としてふさわしくないと結論する。セサルもまた、フェニスが別の男性と同じ家に滞在していた事実を考慮して、フェニスとの結婚を断念する。

 

 オクタビオとフェニス、セサルとセリア、レオナルドとリセーナ(セリアのいとこ)、トメとフローラが結ばれて幕となる。