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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

むくわれた友情(Amistad pagada, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604年以前、おそらく1599-1603年頃か

種類:歴史劇

補足:身分と立場の違う者同士の恋(ローマ兵士とスペイン人の奴隷の女性)、立場の違う者同士の友情(ローマ兵士とスペイン先住民)が描かれる。ローマ時代のレオン(スペイン北西部の都市)とその近郊が舞台となる。ローマ軍に抵抗するレオンの山岳民の姿を描いた16世紀の長編詩『スペインにおけるレオン(El León de España)』を参考にしたと考えられている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ローマ帝国イベリア半島へ勢力を広げ、レオンを征服する。レオンの山岳民による軍は、山中に隠れてローマ軍への反撃の隙をうかがう。山岳民の軍を指揮しているのはクリエーノという人物である。

 

 ローマ軍の司令官レリオアンドロニオは、ともにクラウディアというレオン出身の奴隷の娘に恋をしている。しかし彼女の主人はフリオという兵士で、二人は互いに深く愛し合っていた。レリオとアンドロニオは、邪魔なフリオを遠ざけるために敵の視察に行かせる。フリオの友人ファブリシオは、彼らに用心するようフリオに忠告する。

 

 フリオが不在の間に、レリオとアンドロニオはクラウディアを口説く。一兵卒より司令官の奴隷になったほうが得だとそそのかされても、クラウディアは自分の感情に従いフリオを選ぶ。

 

 視察から戻ってきたフリオは、司令官たちに欺かれていたことを知り、失望する。再び視察に赴いた彼は、レオンの山岳民たちに捕えられ、クリエーノの前に引き出される。

 

 フリオは「自分は上官に欺かれ、恋人を奪われようとしている。もはや生きる希望はないので、早く死なせてほしい」と嘆願する。自身にもミレーナという恋人がいるクリエーノは彼に深く同情し、友情の証の指輪を与えて解放する。

 

 ローマ帝国の祝祭日に、兵士たちは野営地で競技大会を開催する。クリエーノはミレーナのために賞を勝ち取りたいと思い、仲間の制止をふりきってローマ兵に変装し、競技大会に参加する。

 

 クリエーノはレスリング競技でローマ兵たちに勝利するが、正体を見破られてしまう。レリオとアンドロニオは彼を捕え、競技大会が終わるまでフリオに見張りをさせる。フリオはクリエーノから受けた恩を返そうと、彼をこっそり逃がす。

 

 レリオとアンドロニオは、クリエーノを逃がした罪でフリオを処刑することにする。ファブリシオはフリオのために山岳民たちの陣地へ赴き、クリエーノに助けを求める。

 

 クリエーノは奴隷200人と、自分の幼い息子を差し出してフリオの助命をローマ軍に願い出る。フリオは彼の友情に感謝するが、子どもまでも犠牲にすることに心の痛みを覚える。彼は悩んだ末に子どもをクリエーノのもとへ返す代わりにクラウディアをアンドロニオに差し出すと申し出る。クラウディアはフリオの仕打ちに傷つき、フリオ自身も苦悩の末、正気を失ってしまう。

 

 レリオはアンドロニオに嫉妬し、神官を利用して、「クラウディアをアポロ神のいけにえにせよ」という嘘の神託を言わせる。

 

 ファブリシオから息子を返されたクリエーノは、フリオが正気を失ってしまったいきさつを知り、クラウディアを助けることによってフリオを正気に戻してやろうと考える。

 

 ローマ軍の野営地へ向かう途中、クリエーノたちはフリオに出会う。フリオはクリエーノの姿を見て正気にかえり、「自分はもうローマの民ではない。レオンの民だ」と告げて、クリエーノの軍に加わる。

 

 クラウディアがいけにえにされる寸前に、クリエーノの軍はローマ軍に奇襲をかける。不意を突かれたローマ軍は混乱する。レリオとアンドロニオは、敗北を悟って自害する。

 

 レオンの民軍は勝利し、クリエーノとフリオは互いの友情をたたえ合う。ローマ軍の兵士たちは戦いの終結を望み、クリエーノはローマ側と講和を結ぶ。フリオとファブリシオはローマ軍の司令官となり、レオンの自由を認める。クリエーノはレオンの国王となる。フリオとクラウディアの婚礼を祝う場面で幕となる。