Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

死をもいとわぬ友(Amigo hasta la muerte, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1606年-1612年

種類:都会的な同時代劇

補足:男性同士の友情と、彼らの友情に嫉妬するその恋人たちが描かれる。モーロ人の女性が半裸で登場する場面がある。セビーリャおよびテトゥアン(モロッコ)が舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 裕福な老人フェリサルドには、ベルナルドフェデリーコアンヘラという三人の子どもがいる。ベルナルドとフェデリーコはともにフリアという女性に恋しており、フリアはベルナルドのほうに恋している。フェデリーコは二人に激しく嫉妬している。

 

 アンヘラは、ベルナルドの親友ドン・サンチョに恋をしており、従者のグスマンに頼んでサンチョに手紙を渡す。サンチョは親友の妹からの求愛に戸惑い、その気もちに応えて良いものかどうかを遠回しにベルナルドに尋ねる。ベルナルドは快く承諾する。

 

 しかし、父フェリサルドはアンヘラを裕福な青年オクタビオと結婚させようとしていることが判明する。それを知ったサンチョは、「アンヘラのせっかくの結婚話の邪魔をしたくないし、貧しい自分がベルナルドの家の名誉を汚しては申し訳ない」という手紙を残してセビーリャから去っていく。

 

 親友を失ったベルナルドがあまりにも悲しんでいるので、フリアは彼らの友情に嫉妬してしまう。グスマンの説得によってベルナルドとフリアは仲直りをし、その夜のうちに結婚式を挙げようと約束する。偶然にも、フリアの父はオクタビオの知り合いで、セビーリャに来た彼を家に滞在させていた。

 

 船でリスボンへ行こうとしていたサンチョは、途中で海賊に襲われ、捕虜にされてしまう。フェデリーコからその知らせを聞いたベルナルドは、身代金を払って彼を救い出そうと家をとび出す。グスマンから、フリアとの結婚はどうするのかと尋ねられるが、ベルナルドはサンチョとの友情を優先する。

 

 サンチョはモロッコに住むモーロ人(アフリカ系イスラム教徒)のアルラーハという女性の管理下に置かれる。彼女はキリスト教徒の捕虜を集め、ポルトガルで捕虜になっているイスラム教徒の夫と交換してもらおうと考えていたのである。アルラーハはサンチョの身の上話を聞いて同情し、テトゥアンの街中を自由に歩く許可を与える。

 

 サンチョは街で、彼を助けに来たベルナルドに遭遇する。ベルナルドはサンチョをアンヘラと結婚させるつもりでいる。アルラーハが求めているのは夫と交換するための捕虜だと知ると、彼は水浴中のアルラーハのもとへ押しかけ、「サンチョの代わりに自分が捕虜になる」と申し出る。

 

 アルラーハは二人の友情に感心し、捕虜の交代を承知する。ベルナルドはサンチョが帰りの船に乗るまで付き添うことを許される。グスマンはアルラーハに「豚肉が食べたいので子豚を持ちこんだ」と嘘をつき、すぐに送り戻すようにと命令され(イスラム教徒は豚肉を忌避する)、まんまとベルナルドとともに船に乗り込んで脱出する。

 

 オクタビオは、フリアの家に滞在しているうちに彼女に恋してしまい、アンヘラではなく彼女と結婚したいと言い出す。フリアの父親とフェリサルドはその要求をのむ。フリアに恋していたフェデリーコはがっかりする。

 

  そこへサンチョが帰ってくる。彼はフリアとオクタビオの結婚の話を聞き、ベルナルドのためになんとかそれを阻止しようと考える。彼はオクタビオに向かって、実は自分はひそかにフリアと結婚していたのだと嘘を言う。それを信じてしまったオクタビオは、それならば自分はやはりアンヘラと結婚する、とあっさり態度を変える。

 

 アンヘラはサンチョの言葉に激怒し、「あなたは私の兄を裏切って彼の恋人を奪ったのか。私の気もちに応えなかったのも、それが理由だったのか」と彼をののしる。サンチョはそれを否定するひまも惜しんで、ベルナルドを連れ戻すためにとび出していく。入れ違いにベルナルドとグスマンが帰ってくる。怒り心頭のアンヘラに「サンチョはフリアと結婚していた。あなたを殺すつもりで探しに行ったのだ」と言われたベルナルドはショックを受ける。

 

 ベルナルドはサンチョを探し出して、決闘を申し込む。サンチョはベルナルドに誤解されたことを悲しみ、真実を話す。ベルナルドはあらためてサンチョの友情を知り、彼を疑ったことを恥じる。

 

 ベルナルドは、サンチョとアンヘラの結婚を許してやってほしいとフェリサルドに頼むが、フェリサルドはサンチョの家が貧しいことを理由にそれを拒否する。

 

 その頃、国王フェリーペ2世がセビーリャを訪れることになっており、メディナ・シドニア公爵がその歓迎式典の準備をしていた。ベルナルドは公爵にサンチョのことを相談する。公爵はベルナルドの友情に感心し、サンチョに金銭的援助をすることを快く引き受ける。

 

 ベルナルドの家では、アンヘラとフリアがそれぞれの思いを語り合っている。アンヘラはまだサンチョに裏切られたと思い、彼への怒りを抑えきれないでいる。フリアは逆に、彼のおかげでオクタビオとの結婚から逃れられたと感謝している。フェデリーコがフリアに求愛するが、フリアはベルナルドをまだ愛していると言って彼の申し出を断る。

 

 夜になり、フェデリーコがフリアを家まで送る。ベルナルドが彼女と窓ごしに話をしようと、サンチョとともにやってくる。フェデリーコが闇に紛れてフリアを口説いているのを見たサンチョは、怪しい男と思って彼と争い、フェデリーコだと気づかずに殺してしまう。ベルナルドは、殺されたのが自分の弟だということに気づき、親友をかばうために、自分が犯人として名乗り出ることを決意する。

 

 ベルナルドは裁判にかけられる。フェリサルドはベルナルドをののしり、息子を二人も失うことになったと嘆く。サンチョは、ベルナルドは自分をかばって逮捕されたのであり、殺したのは自分だと名乗り出る。しかしベルナルドはサンチョのために死をもいとわぬ友情を示すことだけを望み、自分が犯人だと言いはる。

 

 彼らの友情の強さにアンヘラとフリアは嫉妬するが、グスマンは彼女たちをなだめ、彼らの放免を願い出るよう説得する。結局、メディナ・シドニア公爵によって彼らは放免され、さらに彼らの友情を讃える国王フェリーペ2世の寛大な措置によって、サンチョはセビーリャのアルカサルの城塞主、ベルナルドは市議会議員に任命される。サンチョはアンヘラと、ベルナルドはフリアと結ばれる。