Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

愛して、尽くして、待ちましょう(Amar, servir y esperar)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1624年-1635年

種類:都会的な同時代劇

補足:シエラ・モレナの山中、セビーリャなどが舞台となる。アロンソ・デル・カスティーリョ・ソロルサーノの小説『あぶないときの救い手(El socorro en el peligro)』(1624年)とプロットが同じなので、おそらくこれの翻案と思われる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 フェリシアーノと彼の従者アンドレスは、シエラ・モレナの山中で、女性の泣き叫ぶ声を聞く。声の主はドロテーアという美しい女性で、従者のフリオとともに樹に縛りつけられていた。彼女はセビーリャへ向かう途中で盗賊に襲われ、父親を殺されてしまったのである。

 

 フェリシアーノは彼らを救い出し、近くにいた羊飼いと協力して、盗賊たちを倒すことに成功する。危機が去った後、彼らは宿屋に一泊する。

 

 翌朝、宿屋の客たちが「フェリシアーノは盗賊の一味で、ドロテーアをだましているのではないか」と根拠のない噂をしているのを聞いたフリオは、あわててドロテーアをつれて宿屋を出る。残されたフェリシアーノはドロテーアのことが忘れられず、悲しみに暮れる。

 

 シエラ・モレナに盗賊が出たという知らせがセビーリャに届く。ドロテーアの叔父ドン・サンチョは、ドロテーアもおそらく殺されてしまったものと思い、悲しむ。ドロテーアは、植民地帰りの騎士ドン・フアンとセビーリャで結婚式を挙げる予定だった。

 

 そのフアンは、植民地からセビーリャに帰ってくる途中で急死していた。彼と一緒にいた幼なじみのドン・ディエゴは、彼がドロテーアと結婚する予定であることを聞いており、彼女の肖像画を見て気に入っていたため、フアンになりすましてドロテーアと結婚しようとたくらむ。

 

 サンチョの家にドロテーアとフリオが到着する。サンチョはドロテーアの無事を喜ぶ。そこへフェリシアーノが訪ねてくる。彼は偶然にも、サンチョのサンティアゴ騎士団入団を伝える使者だった。

 

 ドロテーアはフェリシアーノの姿を見て驚き、「あれはシエラ・モレナで私を助けてくれた人です」とサンチョに伝える。サンチョは喜び、彼にドロテーアの結婚式の立会人を頼み、さらに自分の娘セリアと結婚させようと提案する。それを聞いたドロテーアに嫉妬の感情が芽生えるが、自分はすでに結婚を取り決められた身であるということを自覚する。

 

 ドロテーアはフェリシアーノに、自分のイニシアルだけを署名した手紙を侍女のエスペランサに届けさせ、川辺の町で待ち合わせの約束をする。フェリシアーノは手紙の主がだれかわからないまま、ボートでその場所へ行くと答える。

 

 ドロテーアは待ち合わせの場所にセリアをつれていき、自分はフェリシアーノが好きだが、フアンと結婚することになっているので彼のことはあきらめるつもりだと告げる。そこへフェリシアーノの乗ったボートが近づいてくる。合図をしようと身を乗り出したドロテーアは川に落ちてしまう。フェリシアーノは水にとび込んで彼女を救い出す。

 

 ドロテーアはフェリシアーノに自分の名前を明かし、宿屋で行方をくらましたのは彼が詐欺師ではないかと疑ってしまったからだと説明する。二人は互いに恋心をうちあけるが、ドロテーアは自分がフアンと婚約していることを告げる。フェリシアーノは、せめてフアンが到着するまでの間だけでも自分と会ったり話したりすることを許してほしいと頼む。ドロテーアは承知する。

 

 フアンになりすましたディエゴは、従者のファビオをつれてサンチョの家に到着する。サンチョはディエゴをフアンと思いこみ、ドロテーアに紹介する。

 

 そこへフェリシアーノが訪問してくる。サンチョはフアンとフェリシアーノを、それぞれドロテーアとセリアの婚約者として互いに紹介する。フェリシアーノはドロテーアと会う口実を作るために、その状況を受け入れる。

 

 ドロテーアは、結婚式の日まではフェリシアーノと会ってもいいと彼に伝えるが、セリアは彼女に「そうやってずるずると期限を引きのばせば、あなたは夫を二人持つことになるし、彼は妻を二人持つことになりかねない」と警告する。

 

 サンチョの家で火事騒ぎがおき、フェリシアーノはまたドロテーアを救出する。ディエゴは二人の関係を次第に怪しむようになる。

 

 フェリシアーノは、ドロテーアと結ばれたいという希望を最後まで捨てずにいるつもりでいる。しかしドロテーアは彼に向かって「私が結婚したらあなたはセリアと結婚すればいい。それなら互いに会うこともできる」と勧める。フェリシアーノは、自分がドロテーアの命を何度も救い、さんざん尽くしたにもかかわらず、そのような残酷な言葉をかけるのはあまりな仕打ちだと嘆き、彼女の前で失神してしまう。

 

 ドロテーアは動転し、失神したフェリシアーノに向かって、たとえ別の男性と結婚しても自分の心は常にフェリシアーノを愛していると告白する。実はフェリシアーノの失神は芝居だった。彼はドロテーアの心を確認してやや安堵する。

 

 フェリシアーノとドロテーアの様子を隠れて見ていたディエゴは、二人が愛し合っていることを確信する。セリアもまたフェリシアーノの書いたソネットを読んで、彼の気もちが自分に向いていないことを確信し、彼をあきらめることを決心する。しかしディエゴとドロテーアの結婚式は目前に迫っている。

 

 ディエゴとフアンが乗ってきた船の船長がサンチョの家にやってきて、フアンの死に対する弔意を述べる。サンチョは「フアンは生きてここに来ている」と言って、船長の言葉を信じようとしない。船長は証人をつれてくると言って出ていく。その間にサンチョはディエゴを問いただすが、ディエゴフェリシアーノの横恋慕による陰謀だと言い逃れをする。

 

 サンチョは、今度はフェリシアーノを問いただす。フェリシアーノは事実をありのままに告白する。彼が誠実な人間だと判断したサンチョは、ディエゴの嘘に気づき、ドロテーアをフェリシアーノと結婚させると告げる。フェリシアーノは狂喜乱舞する。

 

 ディエゴと結婚式を挙げるためにやってきたドロテーアは、大喜びしているフェリシアーノを見て驚く。フェリシアーノはドロテーアがサンチョを説得してくれたものと思っており、「愛して、尽くして、待った甲斐があった」と彼女に感謝の言葉を述べる。

 

 ディエゴが結婚式を挙げるためにやってくるが、船長が現れ、彼のついた嘘をあきらかにする。最終的にはドロテーアとフェリシアーノ、セリアとディエゴ、エスペランサとアンドレスが結ばれて幕となる。