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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

知らない人に恋をして(Amar sin saber a quién)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・都会的な同時代劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1620年-1622年

種類:都会的な同時代劇

補足:セルバンテスドン・キホーテ』への言及がある。トレドが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

  ドン・フアンは、ドン・ペドロという人物に侮辱され、彼を殺すつもりでトレドへやってきた。しかし、彼がそれを実行しようとしたとき、ペドロはドン・フェルナンドという男性によってすでに殺されてしまっていた。

 

 フェルナンドはフアンの馬を奪ってすばやくその場から逃げてしまったため、フアンはペドロ殺しの犯人にされてしまう。フアンの従者リモンが主人の無実を訴えるが、信用してもらえない。

 

 フェルナンドは、彼が恋するリセーナをめぐるトラブルのためにペドロと決闘し、殺したのだった。彼はフアンが自分のかわりに捕まってしまったことを知り、なんとか救い出したいと思うが、自白することも躊躇する。悩んだ彼は妹のレオナルダに相談する。

 

 レオナルダは、ドン・ルイスという青年が自分に言い寄ってくるのをうとましく思っていた。彼女はフェルナンドの話を聞き、フアンに興味を持つ。彼女は自分がたまたまフアンを見かけて恋をした女性だということにして、拘留中の彼に差し入れをすることを提案する。

 

 レオナルダの侍女イネスが、牢獄にいるフアンにレオナルダからの差し入れと手紙を届ける。フアンは返礼をする。彼は自分に恋していると思われる女性からの贈り物に感謝し、その見知らぬ女性に恋心を抱く。リモンのほうはイネスに恋をする。

 

 無実を訴えるフアンの証言を聞いて、審問所はフェルナンドを呼び出す。フアンは彼を見てペドロ殺しの犯人だと確信するが、自分もペドロを殺そうと思っていたことから彼に共感を覚え、犯人として訴えるのはやめることにする。フアンとフェルナンドは親しい友となる。フアンは、自分の遠い親戚にあたる行政長官が救い出してくれるのではないかとひそかに期待する。

 

 レオナルダはイネスから話を聞き、会ったことのないフアンに恋をする。そしてフアンに自分の肖像画を送る。

 

 レオナルダに言い寄っていたルイスは、実は行政長官の息子であった。彼はフアンが恋敵だと気づかないまま、親戚として彼が早く釈放されるよう尽力すると約束する。フアンはフェルナンドがレオナルダの兄だと気づかないまま、自分に差し入れをしてくれる女性に恋をしていることをうちあける。フェルナンドはフアンに負い目を感じているため、その事実を受け入れる。

 

 ルイスは拘留中のフアンの気晴らしのため、夜中に牢から出して街を案内することにする。それを知ったレオナルダは、その夜に自分の家に来てくれと手紙でフアンに伝える。ルイスはフアンをつれて、彼の恋するレオナルダの家に行く。リモンがルイスの注意をひきつけている間に、レオナルダとフアンは窓越しに(互いの顔は見えない)会話をする。

 

 フェルナンドが帰宅し、ルイスとフアンはその場を去る。フェルナンドとレオナルダは、顔も知らない相手に恋をするということについて議論をする。リモンとフアンもまた、同じような議論をする。

 

 翌日、レオナルダはイネスとともに牢獄のフアンを訪れ、マントを脱いで顔を見せる。フアンはレオナルダの美しさに感嘆する。互いの姿を見た二人は、自分たちの恋心が確かなものであると感じる。

 

 フアンは、ルイスの尽力によって自由の身となる。彼はルイスに大きな負い目を感じてしまう。

 

 フェルナンドはフアンを家に招き、妹のレオナルダを紹介する。彼らはもう互いの顔を知っているが、初めて会ったふりをして挨拶をする。フェルナンドは彼らにリセーナも紹介するが、リセーナはフェルナンドがペドロを殺したことを許しておらず、彼の求愛を拒否している。そこへルイスもレオナルダに会いにやってくる。

 

 リセーナはフアンに恋をしてしまう。彼女は友人であるレオナルダに、フアンと自分の仲をとりもってほしいと頼む。ルイスもまたフアンに向かって、自分とレオナルダとの仲をとりもってほしいと頼む。フアンはルイスへの恩義を感じているがゆえに、苦しみながらもレオナルダへの気もちをあきらめ、彼の頼みを承知する。レオナルダもまた、愛と友情の板挟みになる。

 

 フアンはレオナルダに自分の不運について語り、嘆く。レオナルダは「あなたもペドロを殺そうと思っていたのだから、罪があるのは同じ」と彼を突き放し、「私はあなたにこれまでいろいろと尽くしてきたのに、あなたは恩知らずだ」「ルイスに恩義があるというのは口実で、ほんとうはマドリードに恋人でもいるのだろう」と彼を責める。それでもフアンはルイスへの恩義を優先してレオナルダをあきらめようと決意し、マドリードへ去る。

 

 リセーナとルイスはレオナルダに会って、彼女とフアンが愛し合っていたことを知る。レオナルダは、ルイスのせいで自分はフアンを失ったのだと嘆く。真実を知ったルイスは、フアンとレオナルダを結婚させる決意をする。彼はフアンの後を追いかけ、「きみはぼくより高貴な人間にでもなりたいのか」と文句を言ってトレドへ連れ戻す。

 

 フェルナンドは、戻ってきたフアンに向かって「そんな別れ方をするのはフランス人気取りだ」と批判する。フアンとレオナルダは、互いに愛し合っていることを彼に告白する。ルイスがやってきて、自分たち三人に対してフアンが恩知らずな振る舞いをしたことを罰しなくてはならない、と皮肉な口調で言う。彼はフアンに「罰として、レオナルダと一生添い遂げるべし」と告げる。こうして、フェルナンドとルイスの粋なはからいによって、フアンとレオナルダは結ばれる。

 

 フェルナンドはリセーナに求婚し、リセーナもそれを受け入れる。リモンとイネスも結ばれる。最後にルイスが観客に向かって、「この芝居では、知らない人への恋が描かれております。しかし、役者がお仕えすべきなのはどなたであるかということは、私はちゃんと知っております」と告げて幕となる。