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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

トロの城塞(Almenas de Toro, las)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1610年?-1619年?

種類:歴史劇

補足:身分違いの恋による葛藤(誤解による)が描かれる。“almenas” とは銃眼付きの胸壁のこと。エル・シッドが登場するこの劇は、ロペからバレンシアの劇作家ギリェン・デ・カストロに献呈されている。そのギリェンはエル・シッドの若き日を描いた劇『シッドの青春時代』(1618年刊行)を残した。『トロの城塞』は史実をもとにしているものの、ロペの創作がかなり入っている。マドリードカルロス3世大学の演劇グループによって2011年に上演されている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カスティーリャフェルナンド1世は、領土を子どもたちが分割して統治せよという遺言を残し、それを破る者は呪われるであろうと言い残す。しかし長男のサンチョ2世はそれを無視して、妹のエルビラウラカが治めているトロとサモラを占領しようとしていた。

 

 エルビラは、サンチョの率いる軍隊がトロへやってくるのを見て危険を感じ、城門を閉める。

 

 サンチョの家臣アンスーレスエル・シッドは父王の遺言を守るようにとサンチョに進言するが、サンチョは聞く耳を持たない。彼はエル・シッドに、エルビラがサンチョに降伏し、トロの支配者の地位を譲るよう説得して来いと命ずる。

 

 そのころ、エルビラの元には姉妹のウラカが送った使者ディエゴ・オルドーニェスがいた。サンチョがトロとサモラを奪おうとしていることを伝えられたエルビラは恐怖を感じ、ディエゴをウラカの元へ送り返して彼女に助けを求める。

 

 ディエゴは、城を出たところでエル・シッドに出会う。二人は初めは反目し合うが、互いの正体を知ると騎士らしく平和に挨拶を交わして別れる。

 

 エル・シッドは城壁の向こうにいるエルビラに呼びかける。彼はトロをサンチョにあけわたすようにとエルビラに忠告するが、エルビラは死ぬまでトロの街を守り抜くと言い張る。本心ではエルビラに深く共感しているエル・シッドは、彼女を説得することができない。

 

 サンチョがアンスーレスほかの兵たちをつれて城壁までやってくる。彼はエルビラの美貌に心奪われるものの、その態度に立腹し、城を攻撃するよう命令する。エルビラは城の中へ逃れる。エル・シッドは、サンチョがいなくなってから兵たちに攻撃を中止させる。

 

 年老いた騎士ドン・ベラは宮廷を離れ、ドゥエロ川のほとりで田舎暮らしを楽しんでいた。ある日、ドン・ベラのもとに、ひどい怪我をした若者が現れる。彼はサンティアゴ・デ・コンポステラへ巡礼に行く途中で盗賊に襲われたと言いながらも、手には抜き身の剣を持っていた。ドン・ベラは同情し、彼を家で介抱してやる。

 

 トロでは、サンチョの軍がエルビラをおびやかしていた。サンチョの軍師ベリード・ドルフォスはエルビラをだます計略を立てるが、彼女はごまかされない。苛立ったサンチョはトロの城塞を攻撃する。しかしエルビラは兵士たちとともに城壁にのぼって勇敢にサンチョの軍と戦う。状況は不利と見てエル・シッドとアンスーレスはサンチョに攻撃の中止を勧める。

 

 ドン・ベラが介抱した若者は快復し、ラミーロと名乗る。彼はドン・ベラへのお礼として家の仕事を手伝う。ドン・ベラの娘サンチャはラミーロに恋をする。

 

 ベリード・ドルフォスは、自分にエルビラを妻として与えてくれるのなら、トロを陥落させてみせるとサンチョにもちかける。サンチョがそれを承諾すると、ドルフォスは大勢の兵を引き連れて城門の前へ行く。

 

 ドルフォスはオルドーニェスのふりをして、ウラカからの援軍をつれてきたとエルビラをあざむく。エルビラは彼を信用して城門を開ける。ドルフォスは城に攻め込み、トロの街は陥落する。

 

 エルビラはトロから脱出し、さまよっているうちにサンチャに出会う。悪い男性にさらわれ捨てられたのだと説明したエルビラにサンチャは同情し、家に滞在させることにする。

 

 ドルフォスはエルビラとの結婚が果たされていないことをサンチョに抗議するが、もともと彼をエルビラと結婚させるつもりはなかった彼はそれを無視する。エル・シッドはドルフォスの卑劣なやり方とその動機を非難する。腹を立てたドルフォスはウラカの側に寝返ることにして、トロを出てサモラへ向かう。

 

 サンチャはエルビラをドン・ベラとラミーロに紹介する。二人の男性はエルビラに恋してしまう。

 

 ドン・ベラの家にサンチョ、エル・シッド、アンスーレスらが突然やってくる。実はドン・ベラはエル・シッドの叔父であった。エルビラはサンチョを恐れて姿を隠す。ドン・ベラとサンチャはエル・シッドとの再会を喜ぶ。しかしエル・シッドは王たちとともにサモラを攻めるためにすぐに出発する。

 

 ドン・ベラはエルビラと結婚したいと考え、その前に娘のサンチャをドン・ロドリゴ・デ・ラーラという貴族と結婚させようと計画する。彼はその手続きのためにラミーロをサモラへ行かせようとする。

 

 ラミーロはエルビラに愛を告白する。エルビラは困って、自分はほんとうは高貴な身分なので結婚は無理だとうちあける。するとラミーロは、自分もほんとうは貴族でエンリケ・デ・ボルゴーニャという名であり、巡礼の途中で血縁者たちに暗殺されそうになったのだと告白する。ラミーロに恋していたサンチャは悲しみ、エルビラを責める。

 

 ドン・ベラはラミーロ(エンリケ)をサモラへ送る。サンチャは自分が結婚したい相手はラミーロ(エンリケ)だとドン・ベラにうちあけ、エルビラはドン・ベラの自分への求婚をなんとかやめさせようとする。

 

 ラミーロ(エンリケ)がサモラから戻ってきて、ドン・ロドリゴがサンチャとの結婚を承諾したこと、ドルフォスがサンチョを暗殺したことを知らせる。エルビラはそれを聞いて、ひそかにラミーロ(エンリケ)とトロへ向かう。

 

 トロでは、サンチョが死んだことにより、弟のアルフォンソがトロの君主になろうとしていた。トロの市民はそれに反対する。エルビラがトロに到着し、ラミーロ(エンリケ)と結婚して、ともにトロを治めることを宣言する。サンチャはドン・ロドリゴと結ばれる。

 

 

参考:中世スペインの叙事詩『わがシッドの歌』と、ギリェン・デ・カストロの『シッドの青春時代』の邦訳

 

エル・シードの歌 (岩波文庫)

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スペイン中世・黄金世紀文学選集 (1)

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シドの青春時代

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