Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

雷(いかづち)を彼方に落とせ(Allá darás rayo)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1624年-1630年

種類:架空の宮廷劇

補足:“Allá darás rayo” とはルイス・デ・ゴンゴラの詩に出てくるフレーズで、呪詛や罵倒の表現のひとつであるらしい。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 国王エンリケと結婚するために、王妃マリアシチリアからナポリへ到着する。王妃の付き添いを務める伯爵カルロスは、ナポリにいる恋人イサベラに、すぐにでも結婚を申しこむつもりである。イサベラは国王のいとこにあたるので、彼は国王が彼のために便宜を図ってくれることを期待していた。

 

 しかしマリアは、付き添ってくれたカルロスへの褒美として、ともにナポリからやってきた姉妹のマルガリータとの結婚を望む。彼女と結婚することによってカルロスはフォワ公爵の爵位を得ることができるのである。

 

 カルロスは王妃に逆らうことを恐れ、また爵位の魅力にも抗えず、マルガリータと秘密の婚約を交わしてしまう。

 

 イサベラは、カルロスが自分に求婚しようとしていることを彼の従者コルビーノから伝えられ、喜んでそれを国王に報告する。国王はイサベラを祝福し、すぐにでも結婚してよいと許可を与える。

 

 国王の元へマリアが到着する。国王は喜びをもって王妃を迎える。イサベラは国王から結婚の許可をもらったことをカルロスに報告するが、彼は煮え切らない態度で、彼女とは結婚できなくなったと告げる。イサベラは失望する。

 

 カルロスをねたむ元帥が、彼が王妃から過度の寵愛を受けているように見えると国王に警告する。国王はカルロスと王妃との仲が親密であることに不安を覚えるが、カルロスの忠誠心を信じようとする。

 

 国王はカルロスに、なぜ急にイサベラとの結婚をやめたのかと尋ねる。カルロスは、会えなかった期間が長すぎたので気もちが冷めたのだと弁明する。

 

 国王は、カルロスをねたむ人々が宮廷内にいることを告げ、自分のカルロスへの信頼は確かなものであると表明する。国王の誠意を感じたカルロスは、王の勧めどおりイサベラへの愛情を貫こうと決心する。

 

 しかし国王は、彼とマルガリータがひそかに婚約したこと、王妃と彼が秘密を共有しているらしいことに次第に勘づき、カルロスに不信感を抱く。カルロスは、国王の冷たい態度を見て、それは自分をねたむ人々の差し金であろうと想像する。

 

 国王はカルロスに、彼とマルガリータとの婚約を不快に思っていることを告白する。カルロスはそれを否定し、すぐにでもイサベラに求婚するつもりだと話す。

 

 事情を知らないコルビーノがやってきて、カルロスに嫉妬させてイサベラへの愛情を呼び戻そうと考え、イサベラが元帥と結婚することになったと嘘をつく。カルロスは激しく動揺する。

 

 カルロスは王妃に向かって、「国王はマルガリータに恋をしている。自分を彼女と引き離すためにイサベラとの結婚をすすめている」と言う。王妃は驚き、マルガリータに嫉妬を覚える。いっぽう国王は、王妃とカルロスが話している様子を見て嫉妬する。

 

 マルガリータに、実家からポルトガル王家との縁談がもちこまれる。国王にとっても王妃にとっても、これは都合のいい状況であるので、彼らはこれを機にマルガリータポルトガルへ送り、カルロスとイサベラを結婚させようとする。

 

 しかし、すでにカルロスに恋しているマルガリータはそれを拒否する。国王はカルロスとイサベラの結婚式を強行しようとするが、マルガリータは皆の見ている前でカルロスと彼女が婚約をした事実を主張し、どちらを選ぶのかとカルロスに詰め寄る。結局、結婚式は中止される。

 

 イサベラはカルロスに失望し、元帥と婚約しようとする。しかし王妃は国王とマルガリータの仲を疑っているので、無理やりにでもカルロスとイサベラを結婚させ、マルガリータを他の求婚者のもとへやってしまおうと考える。それを知ったマルガリータは、カルロスとすでに夫婦の関係にあると嘘をつく。

 

 さらにマルガリータの嘘が誤解を招き、国王はカルロスと王妃とが不義を犯したものと思いこむ。国王はカルロスを暗殺する計画を練る。

 

 カルロスは爵位に目がくらんでマルガリータと婚約したことを深く後悔する。イサベラが元帥と婚約しようとしているのを知り、彼はそれを止めようとする。

 

 国王、王妃、カルロス、イサベラが一堂に会し、それぞれの思惑があきらかになった結果、マルガリータの嘘があきらかになる。国王はあらためてカルロスとイサベラの結婚を許す。

 

 マルガリータは執拗にカルロスは自分の夫だと主張する。そこへ、マルガリータポルトガル王家との縁談がとりやめになったという知らせが入る。すると国王は態度を翻し、カルロスをマルガリータと結婚させ、公爵の爵位を与えると告げて幕となる。