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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ラ・アルデウエラ(Aldehuela, la)

ロペへの帰属:ほぼ確実

執筆年代:1612年-1614年

種類:農村と戦場を舞台にした歴史劇

補足:第3代アルバ公爵の庶子で「カスティーリャグラン・プリオール(聖ヨハネ騎士団の役職名)」と呼ばれたフェルナンド・デ・トレド(1527-1591)をモデルにしている。1572年の、スペインによるモンス(今日のベルギーにある都市)攻略が描かれている。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

フェルナンド・デ・トレドについての参考サイト(スペイン語):

http://www.tercios.org/personajes/toledo_fernando.html

 

 ピエドライータの宮殿に住むアルバ公爵ドン・ファドリーケは、ラ・アルデウエラ村のマリアという娘に恋をしてしまう。彼は従者たちをつれてその村の祭りに出かける。

 

 マリアは水車小屋を営むニートの娘である。祭りに参加している彼女の様子を遠くから見守りながら、ファドリーケはマリアの美しさにため息をつく。

 

 村人たちはベニートに、マリアをアントンという若者と結婚させてはどうかと勧める。そこへファドリーケが姿を現す。彼はつまずいて転んだマリアに優しく手を差しのべ、恋心を伝える。マリアは当惑し、アントンは嫉妬する。

 

 従者たちがベニートを誘い出している間に、ファドリーケは水車小屋の前でマリアを待ち受ける。マリアは初めはファドリーケを恐れるが、徐々に彼に惹かれていく。二人は水車小屋の中で結ばれる。

 

 マリアはファドリーケの愛人となったが、ファドリーケはマリアを大切に扱う。彼はマリアに楽な生活をさせてやりたいと思い、ベニートに日頃の忠誠心の報酬として多くの財産を与える。

 

 村人たちは、アントンにマリアへの求婚を勧める一方で、ファドリーケがベニートに与えた過度の恩恵を怪しむ。

 

 マリアはファドリーケに、彼の子どもを妊娠したことを告げる。ファドリーケは悩みながらも、マリアの名誉と子どもの養育のためにも、彼女をすぐに誰かと結婚させようと決心する。

 

 ファドリーケは、アントンの家が裕福であるのを見て、内心は嫉妬を覚えつつも彼とマリアを結婚させることにし、マリアに多額の持参金を与える。アントンとベニートは喜ぶが、他の村人たちはマリアが激しく泣いているのを見て、おおかたの事情を察する。

 

 ファドリーケとマリアとの間に生まれた子どもはフェルナンドと名付けられ、アントンの息子として育てられた。アントンはフェルナンドを自分の息子だと思っていたが、フェルナンドは農家の仕事に興味を示さず、騎士のような高貴な雰囲気を生まれながらに備えていた。

 

 友人のハシントとともに近くの街の祝祭に出かけたフェルナンドは、そこにファドリーケが見物に来ているのを見る。祭りのために放たれた牡牛がフェルナンドを襲ったが、彼はその牡牛を見事に仕留める。ファドリーケはフェルナンドに褒賞として指輪を与える。

 

 フェルナンドがマリアとアントンの息子だと聞いたファドリーケは、城へ戻る途中でラ・アルデウエラに立ち寄り、マリア、アントン、フェルナンドに会う。これからフランドルとの戦争へ行くというファドリーケに憧れを抱いたフェルナンドは、自分もつれていってほしいと頼む。マリアは息子を公爵家に奪われることを心配する。ファドリーケは、フェルナンドを戦場へつれていくことはせず、そのかわりしばらく宮殿に滞在することを彼に勧める。

 

 フェルナンドは宮殿に行き、礼儀正しさを買われて公爵夫人に仕えることになる。そこへ司法官がやってきて、罪人を死刑にする許可をもらいたいと公爵夫人に告げる。罪人としてつれてこられたのはハシントだった。ハシントは司法官の娘エルビラとつきあっていることをとがめられ、エルビラをかばうために自分が無理やり彼女の部屋へ押し入ったのだと告白し、怒った司法官によって処刑されることになってしまう。

 

 フェルナンドはハシントを救ってくれるよう公爵夫人に懇願する。初めはそれを聞き入れようとした公爵夫人だったが、フェルナンドが司法官と言い争っているのを見て、あまりの尊大さにあきれ、身のほど知らずだと彼を非難する。フェルナンドは腹を立て、牢番から鍵を奪って勝手にハシントを逃がす。怒った公爵夫人がフェルナンドを捕えるよう命じると、彼はみずから牢に入るが、あまりに機嫌が悪く腕っぷしが強いため、牢番たちは恐れをなして逃げてしまう。

 

 ハシントはマリアとアントンに、フェルナンドの身が危険にさらされていることを告げる。マリアはアントンの制止をふりきって宮殿へ行く。マリアが呼ぶとフェルナンドがゆうゆうと牢から出てくる。マリアは彼に「フランドルへ行って公爵に直接許しをもらってくるように」と伝える。フェルナンドは、ハシントとエルビラをつれてフランドルへ向かう。

 

 フェルナンドたちはフランドルに入り、ファドリーケがプロテスタントの軍隊と戦っているモンスの陣営に着く。フェルナンドは、「公爵と一緒に戦うために来た」と説明したが、ファドリーケは夫人からの手紙で事情を理解していた。ファドリーケは、息子が友情のために正しいことをしたのであろうと判断し、「若気の至り」として彼を許す。

 

 ファドリーケはフェルナンドに銃の撃ち方を特訓する。彼が戦場で成果を上げてくれれば、彼を息子として公に発表することができるからである。フェルナンドは長旅で疲れていたが、ファドリーケの期待に応えようと努力する。

 

 モンスの包囲戦のさなか、ファドリーケはフェルナンドに、自分が彼の父親であることを明かす。「勇気を示せば、神と王の名にかけて、卑しい人間などと言われることはない」と告げられたフェルナンドはモンスの城壁を攻撃する兵に加わり、スペイン軍の勝利を導く。フェルナンドは、ファドリーケの息子として公に認められる。

 

 フェルナンドを逃がした罰として、公爵夫人から家を取り上げられてしまったマリアとアントンが、ファドリーケの陣営へたどりつく。ハシントは彼らにフェルナンドの挙げた手柄について話す。フェルナンドはファドリーケから、「カスティーリャグラン・プリオール」という地位を与えられる。

 

 ファドリーケは、かつてマリアと愛を交わしたこと、フェルナンドが自分の息子であることをアントンに告白する。アントンは寛大にその事実を受け入れる。ファドリーケはマリアとアントンに家を返し、ハシントとエルビラの結婚を認めさせることを約束する。