Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

大司法官(Alcalde mayor, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604年?-1612年?

種類:都会的な同時代劇

補足:男装する女性、その女性に恋する女性が描かれる。13世紀、アルフォンソ10世(賢王)の治世下という設定になっているが、同時代の若者たちを描いた恋愛劇に近い。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 トレドの青年ディナルドは、読書家で秀才のロサルダと付き合っている。しかし、ロサルダの父親は彼女を別の青年と結婚させようとしていた。父親を説得することは困難と見て、二人は駆け落ちの約束をする。

 

 ディナルドは駆け落ちの前日、友人のマウリシオの家に泊めてもらおうと考え、彼に事情を説明する。しかしマウリシオこそロサルダの父が彼女の結婚相手として選んだ青年だった。マウリシオはひそかにディナルドとロサルダの駆け落ちを阻止する計略を立てる。

 

 マウリシオは、カミーロという親友に頼み、ディナルドをロサルダとの待ち合わせの場所からつれ出して、ひと気のないところへ移動させてほしいと頼む。カミーロは承知する。

 

 カミーロは、待ち合わせ場所にいたディナルドに言いがかりをつけて決闘をもちかけ、街はずれまでつれ出す。ディナルドはなんとか決闘を延期してくれないかと頼むが、カミーロは聞き入れない。じゅうぶんにディナルドをつれ回してから、カミーロは彼に、決闘はやめにしようと話す。すでにロサルダとの待ち合わせに間に合わなくなったディナルドは、怒りのあまりカミーロを殺してしまう。

 

 ロサルダは男性のかっこうをして待ち合わせ場所へ行く。ディナルドの代わりに待ち合わせ場所に来たマウリシオは、暗がりに乗じてロサルダをつれ出す。しかし彼らは、ディナルドがカミーロを殺した罪でつかまり、引き立てられてくるのを目撃する。自分のせいでこのような事態を招いたことを知ったマウリシオは、ディナルドを助けようと決心し、警吏を追いはらって彼を逃がす。

 

 ディナルドだと思ったのはマウリシオだったこと、ディナルドが殺人を犯して逃亡したことを知ったロサルダは、もはや家に戻ることはできないと判断し、そのまま男性として生きようと決心する。カミーロの従者であったベルトランは、ロサルダに仕えることにする。

 

 6年後、男性の姿をしたロサルダはアウレリオと名乗り、サラマンカ大学の優秀な学士として有名になっていた。

 

 バリャドリードに住む騎士ドン・ペドロ・デ・サラサールは、妹のテオドラとともにつつましい暮らしをしているが、軍隊から戻ってきた双子の弟フアンから、父親の財産相続の権利を主張されて困惑する。フアンの弁護士として派遣されてきたのはロサルダだった。彼女はベルトランを従者として同伴し、ペドロの家に滞在することにする。テオドラは美青年の姿をしたロサルダに恋してしまう。

 

 フアンは軍隊での功績が認められ、国王からトレドの行政長官に任命される。彼はロサルダの優秀さを見て、彼女をトレドの大司法官にする。経済的な心配がなくなったので、ペドロとフアンは和解し、フアンはテオドラをロサルダと結婚させようと考える。

 

 ロサルダは大司法官となって故郷のトレドへ戻った。しかし自分の正体をだれにも明かすことはできない。いっぽうベルトランは、恋人のベアトリス(ロサルダの侍女)とのひそかな再会を喜ぶ。

 

 ディナルドは殺人を犯して逃亡した後、軍隊に入ってモーロ人との戦争に明け暮れていたが、けっきょくトレドへ戻り、カミーロ殺しの罪で拘留されていた。しかし彼は、ロサルダの行方不明についてはなにも知らず、彼女の両親に説明ができなかった。ロサルダの父親は新しくトレドの行政長官となったフアンの友人であるので、状況がディナルドに不利なのはあきらかだった。大司法官となったロサルダは正義のために厳しい判決を下すことで知られていた。

 

 ロサルダは拘留中のディナルドを厳しく追及する。そこへマウリシオと、カミーロの妹のラウレンシアがやってくる。マウリシオは、ディナルドとラウレンシアとの結婚を提案する。結婚によって両者が和解し、ディナルドはカミーロの死によってラウレンシアが陥った困窮を償うことができると考えたのである。ディナルドはその提案を受け入れる。

 

 ロサルダはそれを聞いて激しく反対し、二人の結婚を阻止するために自分がラウレンシアと結婚すると言い出す。ベルトランは嫉妬で取り乱しているロサルダの気をしずめようと、ロサルダの父と兄をつれてくるが、かえって彼女の怒りを買う。

 

 フアンの立会いのもと、関係者が集められる。ラウレンシアは、ディナルドが兄カミーロを殺した罪を許す。ロサルダの両親も、ディナルドがロサルダを誘拐しようとした罪を許す。フアンはディナルドの釈放を命じる。ラウレンシアとマウリシオ、テオドラとロサルダの兄が結婚することになる。最後にロサルダが自分の正体を明かす。ロサルダとディナルドが結ばれて幕となる。