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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

小川を渡って(Al pasar del arroyo)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・都会的な同時代劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1616年

種類:都会と田園を描いた同時代劇

補足:身分違いの恋による葛藤(誤解による)が描かれる。デ・ラ・プエブラ伯爵に献呈された。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 マドリードに住むドン・カルロは、従者のマヨとともに、アルカラへ病治癒のお礼参りに行くことにする。カルロスは恋人のリサルダの家を訪れ、挨拶をしてからアルカラへむけて出発する。

 

 リサルダにはドン・ルイスという兄がいる。ルイスの主人ファビオ伯爵は、嫡出子ができないまま妻を亡くしたので、以前バラハス村の女性に産ませた娘を引き取ろうと考えていた。ルイスはリサルダに、その娘を貴婦人として教育してほしいと頼む。快く引き受けたリサルダは、ルイスとともにバラハス村へその娘を引き取りに行く。

 

 バラハス村の農家の青年ニートは、同じ村のハシンタという娘に恋しているが、ハシンタのほうはベニートのことをなんとも思っておらず、まったくの片思いである。

 

 ハシンタは友だちのテレサとともに、王女のマドリード到着(後のフェリーペ4世となる王子とイサベル・デ・ボルボンの婚礼が1615年に行われた)を見物しに出かける。

 

 カルロスとマヨはマドリード近郊の小川を渡る途中、馬車から転落する。なんとか岸へ上がると、王女の婚礼の祝祭のために連れてこられた牡牛が暴走し、ハシンタとテレサを襲おうとしていた。カルロスは牡牛を殺し、失神したハシンタを腕に抱いて救い出す。この出来事がきっかけで、身分の違うハシンタとカルロスは愛し合うようになる。

 

 バラハス村に着いたルイスとリサルダは、ファビオ伯爵の娘を探す。それはハシンタだった。養父であるラウレンシオは彼女が留守であることを告げる。そこへベニートが、ハシンタとの結婚をラウレンシオに頼みに来る。ラウレンシオは、ハシンタがほんとうは高貴な家の娘であり、伯爵に引き取られることになったので結婚は無理だと彼に告げる。

 

 マドリードから戻ったハシンタは、ルイスやリサルダから自分がファビオ伯爵の娘であることを聞かされて驚く。彼女は彼らとともにマドリードへ行くことを承知するが、ラウレンシオとの別れを惜しむために、しばらくはバラハス村にとどまることにする。

 

 ハシンタに会うため、カルロスがマヨをつれてひそかにバラハス村へやってくる。彼はベニートと知り合いになり、逃亡中の騎士だと嘘をついて彼の家の果樹園に身を隠す。

 

 ベニートは自分の父親に、ハシンタと身分が違うために結婚できないことを嘆く。それを聞いた父親は、ベニートが実はマドリードの騎士の息子だということを告白する。

 

 ルイスはリサルダに、自分がハシンタに恋してしまい、ファビオ伯爵に彼女との結婚を願い出ようと思っていることを告げる。リサルダは、ハシンタとの仲を取り持ってほしいという兄の頼みを聞き入れる。偶然が重なって、ベニート、ルイス、カルロスの三人が同じ時刻にベニートの果樹園でハシンタを待ち受けることになる。ルイスに付き添ってきたリサルダは、カルロスがそこにいることに驚く。ルイスはハシンタに恋を打ち明けるが、ハシンタは煮え切らない答えをしてごまかす。ベニートは自分がほんとうは高貴な血をひいていることを主張し、ハシンタと結婚する権利があると騒いで、その場は大混乱となる。ハシンタはカルロスに、自分が彼とつりあう身分となったことを明かす。

 

 マドリードのルイスの家へつれてこられたハシンタは、自分はほんとうはカルロスが好きなのだということをリサルダに告白する。リサルダは、恋人のカルロスが心変わりしたことを知って怒る。

 

 ベニートはハシンタをあきらめたふりをして、ルイスの農園で働き、ハシンタに近づくチャンスをうかがう。そこへカルロスがハシンタとの結婚を申しこみにやってくる。彼がベニートに自分の血筋を名乗ると、ベニートとカルロスが実は兄弟であることがあきらかになる。

 

 カルロスは肉親が見つかったことを喜び、ベニートのためにハシンタのことをあきらめようと申し出る。しかしベニートもカルロスのためにハシンタをあきらめると申し出る。カルロスは考えた末、自分はハシンタに結婚を申しこむが、ベニートを独り身でいさせるわけにはいかない、と言う。そこへリサルダが現れ、カルロスの心変わりを責めたてる。カルロスはリサルダに、自分は今夜彼女の部屋へ行くので、ルイスを初め家の人たち全員に結婚の証人になってもらおうともちかける。

 

 ルイスの家へ、ラウレンシオやテレサたちがやってくる。夜になり、カルロスはハシンタの部屋、ベニートはリサルダの部屋に忍び込む。リサルダはあらかじめルイスと打ち合わせをしておいたので、ルイスは大声で家の者たちを呼び、妹の結婚の証人になってほしいと告げる。しかしリサルダの部屋にいたのはベニートだった。ルイスとリサルダは欺かれた形になったが、最終的にカルロスとハシンタ、ベニートとリサルダ、マヨとイサベル(リサルダの侍女)が結ばれる。ルイスは嘆きつつも、ハシンタをあきらめることを宣言する。