Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

アドニスとヴィーナス(Adonis y Venus)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1597-1603年

種類:古典文学にもとづく神話劇(悲劇)

補足:パストラーナ公爵に献呈された。宮廷人の趣味に合わせた華麗な音楽劇。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 舞台はギリシャアポロ神殿の前。恋の悩みを訴える羊飼いたちや、結婚相手を知りたいというニンフのアタランテに、アポロは神託を下す。しかし、アポロを試そうとした羊飼いフロンドーソは、怒ったアポロから呪いをかけられてしまう。

 

 愛の女神ヴィーナスは、息子のクピドを軽んじて、彼のプライドを傷つける。クピドは、愛の矢を使って彼女に仕返しをすると言い捨てて去る。

 

 羊飼いのひとりであるカミーラがヴィーナスに、父親と関係をもってしまったことで神々から罰せられ、没薬の樹に変えられたミュラの物語を聞かせる。ミュラの樹から生まれたのがアドニスで、たいへん美しい青年なのだが、狩りにしか興味を示さないらしい。

 

 カミーラとヴィーナスの前に、アドニス本人が姿を現す。彼は、母親の歪んだ欲望のせいで自分が女性を愛せなくなってしまったことを嘆いている。そこへクピドが現れ、ヴィーナスに愛の矢を射る。ヴィーナスはアドニスに恋してしまう。

 

 ヴィーナスはアドニスの前に姿を現し、愛とはどういうものかを自分が教えると告げる。彼女はかつてマルス神を愛し、その結果、夫であるアポロの嫉妬を招いた。アドニスは一抹の不安を感じるものの、その申し出を受ける。

 

 アタランテは、アポロから「おまえの結婚は遅く、危険に満ちたものになる」という神託を受けたことにショックを受け、アルカディアの森に引きこもる。しかし美しい彼女に求婚する男たちは減る様子もない。足の速さに自信を持つ彼女は、自分と競走して勝った男性と結婚するが、彼女に負けた男性は殺すと公言する。その結果、多くの男性たちが命を落とす。

 

 ヒッポメネスはアタランテに一目惚れし、死の恐怖をおぼえながらも彼女に勝負を挑む。アタランテもヒッポメネスを見て初めて恋に落ち、彼が死ぬ結果にならないよう祈る。ヴィーナスは黄金のリンゴをアタランテの足元に投げる。アタランテがそれを拾っている間にヒッポメネスが勝利する。

 

 フロンドーソはアポロの呪いによって、一足歩くごとにゾウや牛などの姿に変わってしまう。クピドたちはそれを見て気味悪がる。

 

 クピドは蜂蜜をとろうとするが、ミツバチに刺されて泣く。ヴィーナスがやってきてクピドのいたずらを叱る。アドニスへの愛と嫉妬で苦しんでいるヴィーナスはクピドを許そうとしない。クピドは苛立ち、アドニスと彼女とのことをアポロに言いつけることにする。

 

 ヒッポメネスとアタランテは皆から結婚を祝福されるが、調子に乗ったヒッポメネスはヴィーナスを軽んじる言葉を口にしてしまう。ヴィーナスは怒り、二人の姿をライオンに変えてしまう。

 

 クピドはアポロに、ヴィーナスがアドニスに恋していることを告げる。アポロは冥府から復讐の女神ティシポネを呼び出し、アルカディアの山に行って猪に姿を変え、アドニスを殺すよう命じる。

 

 ヴィーナスは狩りに行こうとするアドニスを見て胸騒ぎを覚え、彼を引きとめる。アドニスは一旦はその言葉を受け入れ、ヴィーナスの膝で眠りに落ちるが、恐ろしい夢を見て目覚める。しかし彼は臆病な男と思われることを恥じ、ヴィーナスの制止を振り切って狩りへ出かけていく。

 

 アポロはフロンドーソに出会う。アポロの呪いを受けてから不幸続きだと嘆くフロンドーソに、アポロは呪いを解いてやるかわりにアドニスのところへ行って、猪を見かけたと言えと命じる。

 

 アポロの神託を受けた羊飼いたちは、めでたく恋を実らせる。フロンドーソも呪いを解かれる。しかしアドニスは猪の牙にかかって死ぬ。ヴィーナスは悲しみ、アドニスの姿を美しい花に変える。尼になるつもりだと言うヴィーナスに、クピドはそんなことが彼女にできるわけがないと皮肉を言う。ヴィーナスの嘆きの台詞で幕となる。

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ティツィアーノ・ヴィチェリオ

《ヴィーナスとアドニス》1553-54年

プラド美術館

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