読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

間違えながらも的中せり(Acertar errando)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:1630-35年

種類:架空の宮廷劇

補足:身分違いの恋の葛藤(誤解による)が描かれる。ロペの著作『諸国巡礼』に掲載された作品リストや、生前もしくは死の直後に刊行された戯曲集には載っていない。他者による写しのみ現存。1653年に上演された記録あり。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 舞台はイタリア。カラブリア王家の王女アウローラは、自分に求婚してくる多くの男性たちを疎ましく思い、島に引きこもっている。秘書のオトンは、ひそかに彼女に恋している。

 

 ある日、一隻の船が難破し、遭難者たちがボートで島に到着する。遭難者の一人は、自分がポーランド王子カルロスの従者、リカルドだと名乗る。王子はアウローラの肖像画を見てその美しさに惹かれ、彼女に会いにカラブリアへやってきたのだが、海で嵐に遭い、行方不明になってしまったのだという。実はリカルドこそ本物のカルロス王子なのだが、アウローラの本当の気もちを聞き出すために、離れ離れになった従者の名前を借りて正体を隠すことにしたのだった。リカルド(本当はカルロス)の従者タルキンも救助され、アウローラのもとへ身を寄せる。

 

 アウローラはカルロスに好感を持つが、彼の心を試そうとして、友人のセリアに彼の気を引くよう命じる。セリアは従者のファビオを愛しているのだが、アウローラのためにそれを引き受け カルロスと宮殿の庭で会う約束をとりつける。

 

 カルロスはセリアに特別な感情は抱いていないものの、約束どおり宮殿の庭へやってくる。そこへアウローラが姿を現すが、暗がりで顔が見えず、カルロスはそれをセリアと思って話しかける。彼がアウローラへの誉め言葉を言わないので、アウローラは不機嫌になる。カルロスは、王子がシチリア島にたどり着いたらしいとアウローラに告げる。オトンは二人の関係を怪しむ。

 

 アウローラは侍女のフリアに、リカルド(カルロス)は本気でセリアに恋しているようだし、自分には王子の話しかしてくれなかったと愚痴を言う。フリアは、彼こそが王子なのではないかと推測する。

 

 カルロスは、本物のリカルドの居場所がわかったので彼に手紙を送り、王子のふりをしてここへ来るようにと命じる。タルキンはアウローラたちに、まもなく王子がここへやってくると告げる。カルロスは、王子から代理としてアウローラに愛を告げよと命じられたと言って、アウローラに自分の恋心を伝える。しかしアウローラは彼の本心に気づかないふりをする。カルロスはがっかりして、アウローラには他に好きな男性がいるのだろうと考え、セリアに恋しているふりを続けて彼女から真実を聞き出そうと決意する。

 

 カルロスは、オトンとファビオの二人から嫉妬され、殺されそうになる。タルキンはそれを見てとっさに「カルロス様が殺される!」と彼の本名を叫んでしまう。アウローラがかけつけるが、カルロスは犯人は逃げたと言って、オトンとファビオをかばってやる。

 

 アウローラは、リカルド(カルロス)の身分が王子であろうと従者であろうと、愛そうという気もちになっていく。彼女は彼をトランプに誘う。アウローラは「勝ちに行く」ようにと彼を励ますが、アウローラへの恋心が募って臆病になっているカルロスは、答えをはぐらかしてしまう。

 

 本物のリカルドが、王子のふりをして到着したとタルキンが知らせに来る。カルロスはようやく自分の正体を明かす機会が訪れたと思って喜ぶ。彼はアウローラが王冠にこだわらず、従者リカルドとしての自分を選んでくれることを希望する。しかし突然オトンとファビオがやってきて、アウローラの命令だと言って彼らを牢獄へつれていく。

 

 宮殿では、着飾ったアウローラ、セリア、フリアが偽の王子を迎える。アウローラはリカルド(カルロス)とタルキンが自分の計画を邪魔しないように牢獄へつれていかせたのだった。彼女たちの狙いは王子がアウローラに幻滅するよう仕向けることであり、アウローラはフリアに王女の格好をさせ、愚かな振る舞いをさせる。リカルドは当惑するが、王子のふりをして丁重に振舞う。フリアはリカルドに、自分の侍女(アウローラ)を王子の従者(カルロス)と結婚させてやってほしいと頼み、リカルドは了承する。

 

 牢獄の中で、タルキンは、カルロスがセリアだと思って話していた相手は実はアウローラだったことを話す。カルロスはそれを聞いて、アウローラが恋しているのは自分かもしれないと感じる。

 

 アウローラはカルロスたちを牢獄から広間へつれてこさせる。彼女はカルロスに、自分が彼を愛していることを告げ、リカルド(偽の王子)に、どうかそのことを許してほしいと告げる。オトンは嫉妬にかられ、身分の低い男性との結婚などアウローラにはふさわしくないと忠告する。カルロスはそれを聞いて自分の身分を明かす。アウローラは「愛による間違いが、すばらしい幸福を射とめた」と喜ぶ。アウローラとカルロス、セリアとファビオが結ばれて幕となる。