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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

扇子(Abanillo, el)

あらすじデータベース(A~C)Base de datos y Argumentos あらすじデータベース(ジャンル別・都会的な同時代劇)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1612-18年、おそらく1615年

種類:都会的な同時代劇

補足:1623年に国王の前で上演された。

 参照元:

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ナポリに滞在中のセリオ伯爵は、叔父のアラゴン総督から結婚話をもちかけられる。しかし、その相手が誰なのかは明かしてもらえない。セリオは結婚相手に会う前に自由な恋を楽しもうと、ひそかに故郷のバルセロナへ向かう。

 セリオの結婚話の相手は、実はバルセロナの貴族ドン・ハイメの娘エステファニアだった。エステファニアとセリオは偶然に出会い、互いに結婚話の相手だとは知らないまま恋におちる。

 いっぽう、エステファニアのいとこのクラベーラには、ドン・フェリックスという青年が恋をしている。セリオはドン・フェリックスと仲よくなり、彼の家に滞在するが、ふたりの青年は自分の恋している女性の名前を打ち明けない。セリオはドン・フェリックスの相手はエステファニアではないかと疑いを抱く。

 セリオは扇子に愛の言葉を書いて、エステファニアの元へ届ける。しかしドン・フェリックスがエステファニアの家から出てきたのを見て(エステファニアとクラベーラは同じ家に住んでいる)、セリオは疑いを抱く。エステファニアとクラベーラが並んでバルコニーに立っているのを見ながら、セリオはドン・フェリックスに、どちらがきみの恋人かと質問する。たまたまそのときエステファニアがクラベーラに扇子を貸していたので、ドン・フェリックスは「扇子を持っているほうの女性」だと答える。セリオはエステファニアに裏切られたと思いこみ、絶望してナポリへ帰ってしまう。

 傷心のセリオのもとへ、婚約者としてエステファニアがやってくる。クラベーラの頼みによって、彼女とドン・フェリックスも一緒にナポリへ来ている。セリオは初めてエステファニアが自分の縁談の相手であったことを知るが、彼女に侮辱されたと思って怒り、冷たい対応をする。なにも知らないドン・フェリックスはセリオとエステファニアの婚約を祝福し、エステファニアはそれを丁重に受け入れる。さらなる侮辱を与えられたと思ったセリオは、怒りのあまり、二人に毒を盛るようにと従者に命じる。しかしその直後にドン・フェリックスからクラベーラとの恋の話を聞かされ、自分が彼らを誤解していたことに気づく。従者の機転によって毒の杯はただの水に替えられていた。セリオとエステファニア、ドン・フェリックスとクラベーラ、セリオの従者とエステファニアの侍女とが結ばれて幕となる。