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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

スペインに伝わった豊臣秀頼の情報

 10月21日にNHK総合テレビで放送された「世界へGO!徳川家康×エリザベス1世 大阪の陣の真実」を見ましたが、いろいろと興味深い事実が紹介されていました。

 

カトリック勢力を牽制するためにイギリスと貿易しようとした徳川家康は、スペインの無敵艦隊がイギリスに敗北したことを知らされていた。

・家康は、日本の「皇帝」とみなされていた。

・家康が日本のカトリック勢力を弾圧したため、多くのキリシタンや宣教師たちが大阪城へ逃げ込んだ。

・イギリスは、家康に最新式のカルバリン砲を調達していた。冬の陣ではその威力で大阪城を砲撃し、停戦に追い込んだ可能性が高い。

 

 ヨーロッパから見れば、秀吉没後の豊臣家はカトリック勢力、徳川家はプロテスタント勢力と結びついていたということになります。ロペの『日本の殉教者たち』には、プロテスタントは全く登場しませんが、「帝(emperador)」は徳川家康もしくは秀忠と考えてよいのでしょう。

 

 ヌエバ・エスパーニャの大使として来日し、支倉常長らとともにスペインに帰国したセバスティアン・ビスカイノの記録には、

 

「ウサカ(Usaca)にはタイコーサマ(Taicosama)の息子がいる。彼は、この帝国で最もりっぱな要塞の中に閉じ込められている。彼と話をすることは、だれにも許されていない。だれかが彼に陰謀の計画を吹き込み、彼が皇帝〔*将軍のこと〕に対する戦争を起こすことがないようにである。」

 

 と書かれています。

(参照)

Christina H. Lee, "Lope de Vega and The martyrs of Japan ",

 Hilaire Kallendorf(ed.), A Companion to Early Modern Hispanic Theater, Brill Academic Pub, 2014, p.234.

A Companion to Early Modern Hispanic Theater (Renaissance Society of America: Test and Studies)

A Companion to Early Modern Hispanic Theater (Renaissance Society of America: Test and Studies)

 

 

 ロペは著作『日本の諸王国における信仰の勝利』の中でも秀頼に言及しているので、タイコーのモデルが豊臣秀頼と考えてほぼ間違いないのでしょう。

 

 『日本の殉教者たち』をロペに書かせたのは、日本で殉教したドミニコ会修道士アロンソ・ナバレーテの兄弟ペドロ・フェルナンデス・ナバレーテだったようです。彼は王室つき司祭でした。弟の殉教を名誉あるものとして讃え、日本での宣教が成功することを祈って、ロペに娯楽要素を盛り込んだコメディアを依頼したのでしょう。

 

 ただし、豊臣秀頼は、ナバレーテの殉教より二年前に死んでいました。徳川家康の天下となったことで、日本におけるカトリック勢力の衰退は決定づけられたかに思えたことでしょう。ロペは、このコメディアを注文されたときから、スペインにとってかなり実現が困難になった夢を描くことを要求されていたことになります。

 

 

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