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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

『日本の殉教者たち』あらすじ(結末含む)Argumento de "Los primeros mártires de Japón"

『日本の殉教者たち』 (Los primeros mártires de Japón) あらすじ一覧Argumentos

 (第一幕)日本の(将軍)のもとへ、各地の王(大名)たちが集められる。王たちは口々に帝を讃えるが、シゲン王だけは帝を真の君主とは認めない。彼は帝がかつての君主の正当な後継者タイコー・ソマを、6歳のときからウサカの塔に幽閉していることを非難する。

 ボームラ王は、日本国内にいるキリスト教徒たちが帝を暴君だと言いふらしているのだと主張する。ボームラはかつてキリスト教徒だったが、ある女性への恋をスペイン人修道士にとがめられたために、信仰を捨てた人物である。帝はキリスト教徒たちを迫害するようボームラに命じる。

 帝は、15年前に幽閉したタイコーがどのような人間になっているのか知りたくなり、タイコーの養育係のアルカイデを呼ぶ。アルカイデは、タイコーは野蛮人のように愚かで無知なので、帝の地位を脅かす心配はないと断言する。帝はタイコーに会ってみることにする。

 毛皮をまとったタイコーが登場。タイコーは、世の中のことをなにも教えられなかった無知な人間のように、粗野にふるまう。帝はそれを見て安心し、タイコーを幽閉しておくよりも自由の身にして、民が彼に失望するようになったほうがよいと判断する。

 帝が去ると、タイコーはアルカイデに感謝の言葉を告げる。二人の会話から、タイコーが帝を欺くためにわざと粗野にふるまっていたこと、それは彼を自由の身にするためにアルカイデの考えた作戦であったことがあきらかになる。

 タイコーは聡明な若者ではあるが、ずっと幽閉されていたために外の世界を見たことがない。彼はアルカイデに質問をするうちに、日本で太陽が神とされていることに疑問を持つ。また、まだ見たことがない「女」というものに関心を示す。アルカイデは最後に、タイコーが本来は君主となるべき者だということを打ち明ける。タイコーはアルカイデの恩に報いるために、君主となることを誓う。

 ボームラは、マンガシルという日本人の家にかくまわれているスペイン人の修道士たちを呼び出し、ただちに日本から船で出ていくようにと命じる。アロンソ・ナバレーテほか二人の修道士は、いったん出ていくと見せかけて、信徒たちの元へ戻ってくることを誓う。少年のトマスが登場し、修道士たちとの別れを悲しむ。トマスが独りになったところへ、母親のキルドラが登場。トマスは、キルドラがキリスト教徒になってくれないことを嘆く。キルドラは、自分が皇妃になるようなことでもあればキリスト教徒になると約束する。

 キルドラは弓矢で獣を射る狩人である。仲間のネレアグレアとともに歌を歌っていると、タイコーに出会う。タイコーは生まれて初めて見る「女」というものに驚き、キルドラに一目惚れをする。

 (第二幕)アルカイデはタイコーに、帝の前では愚か者のふりをしながら、徐々に各地の王たちを味方につけていくよう命じる。タイコーはアルカイデに「女」というものを見たこと、それ以来、自分の心に変化が起きたことを告げる。アルカイデは、それは「愛」というものだと教え、それは甘美だが、「嫉妬」というものを知ればひどく苦しむのだと告げる。

 キルドラはネレアに、自分がタイコーを好ましいと思っていることを話す。しかし、アルカイデがタイコーに忠誠を誓う姿を偶然目にして、二人がふざけているのだと思いこみ、やはりタイコーは愚か者なのだと幻滅する。そこへ、ボームラとともに狩りをしている帝が姿を現す。ボームラが恋しているのはネレアである。ボームラは、帝がネレアを気に入るのではないかと心配するが、帝はキルドラに好意を抱く。そこへタイコーが登場し、帝がキルドラに宝石を与えようとしているのを見て激しく嫉妬する。帝はその様子を見て、タイコーがほんとうは理性を備えた人間なのではないかと疑い、ボームラに彼を監視するよう命じる。

 ネレアはボームラを嫌って逃げ出し、キルドラもまたタイコーの前から去る。ボームラはマンガシルをつれてきて、タイコーを見張るように命じる。しかしお人好しのマンガシルはタイコーに逃げられてしまう。

 アロンソ・ナバレーテが登場。日本での布教の決意を述べているときに、帝に襲われたキルドラが逃げてくる。ナバレーテが帝を制止すると、帝は体が動かなくなる。帝はナバレーテを恐れて逃げていく。ナバレーテはキルドラに、キリストの磔刑が描かれた聖画を渡す。キルドラは、適切な時期が来たらキリスト教徒になることを約束する。キルドラを追ってきたタイコーがその様子を見て、キルドラがキリストの恋人になる約束をしているのだと誤解する。嫉妬に耐えかねたタイコーは、ナバレーテが去った後、キルドラから聖画を取り上げ、それに短剣を突き刺す。すると聖画から血が噴き出す。自分の行動を悔いたタイコーは、自分が君主になる日が来たらキリスト教徒になることをひそかに誓う。

 キルドラは、聖画を傷つけたタイコーに腹を立てるが、それを悔いている彼の様子を見て心を動かされる。そこへアルカイデとシゲン王がやってきたために、キルドラは物陰に身を隠す。シゲン王はタイコーに忠誠を誓い、帝に反乱を起こすために諸王を味方につけることを約束する。アルカイデはタイコーに、女性を信用しないこと、恋をやめることを進言する。キルドラはタイコーが愚か者ではなかったことを確信し、自分が彼に恋していることを悟る。

 アルカイデとシゲンが去った後、キルドラはタイコーに恋心を告白する。タイコーは愛される喜びを初めて知り、アルカイデとの約束を破ることになると知りながらも、キルドラに変わらぬ愛を誓う。

 (第三幕)キリスト教徒の迫害が激しさを増す。修道士たちは殉教の日が迫っていることを察知し、マンガシルに僧服を預ける。

 帝とボームラが登場。ボームラは、タイコーがほんとうは愚か者ではないこと、彼がキルドラと愛し合っていることを帝に伝える。帝は怒り、復讐を誓う。その話を隠れて聞いていたネレアは、キルドラに知らせに行く。

 ひとりの修道士が帝の前に引き出される。修道士はナバレーテの徳の高さについて語る。マンガシルは、僧服を何着も重ねた奇妙な格好で現れ、帝の質問にとんちんかんな答え方をして、難を逃れる。

 帝の命令で聖像が集められ、炉で燃やされる。ナバレーテはその行為を非難し、炉の中へ身を投げる。トマスは嘆き悲しむが、ナバレーテは無事に炉の中から聖像とともに姿を現す。帝はナバレーテを捕えようとする。タイコーは兵たちと戦ってナバレーテを助けようとするが、ナバレーテは逃げることを拒否し、二人は捕えられる。

 ネレアはキルドラに危機を知らせるが、すでに遅く、捕えられたタイコーの処刑の準備が進む。帝はタイコーに、キルドラがタイコーを裏切ったのだと嘘をつく。帝はキルドラとタイコーがほんとうに愛し合っているのかを試そうと、キルドラとネレアをタイコーの前に引き出させる。ネレアは二人を助けるために、わざとタイコーをかばうふりをするが、非情な帝によって矢で射られてしまう。怒ったタイコーは愚か者の演技をやめ、帝を罵倒する。キルドラは自らタイコーを処刑すると申し出てひそかにタイコーを逃がすが、彼女に裏切られたと思いこんだタイコーは絶望して彼女の元を去る。

 アルカイデは自分の忠告を無視したタイコーを激しく叱責するが、帝を倒すための反乱を起こす準備が整っていることを告げる。ナバレーテやトマスたちが処刑場へと引き立てられていく。希望に満ちた言葉を口にする彼らを見て、タイコーは強く心を動かされる。

 ナバレーテたちの処刑が行われると同時に、タイコーが率いる反乱軍が帝のもとに迫る。キルドラも軍に参加している。追い詰められた帝は崖から身を投げて死ぬ。

 トマスは十字架の上から、キルドラに約束を守ってくれるようにと頼んで死ぬ。タイコーはキルドラを妻に迎え、ともにキリスト教徒になって日本を統治することを誓う。