Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

バレンシアといえば?

  現在はパエーリャ(パエリア)と火祭りで有名なバレンシアですが、ロペのコメディアには残念ながらどちらも出てきません。

 パエーリャについてインターネットで調べた限りの情報では、バレンシアでは古くから米を生産しており、興味深いところでは、日本から1585年に天正遣欧少年使節アリカンテに滞在した際(ロペのバレンシア滞在の4~5年前です)、米料理をふるまわれたという記録があるそうです。パエーリャという料理名があらわれるのは近代になってからです。ロペもおそらく、バレンシア滞在中に米料理を口にする機会はあったでしょう。

 火祭りは18世紀に始まるようなので、ロペの時代にはまだなかったか、あったとしても小規模なものだったと思われます。ただ、劇に出てくる「ポラートporrat」と呼ばれる祭りは、さまざまな聖人の祝日を祝うお祭りであり、火祭りも本来は聖ヨセフを祝うためのものですから、起源は同じであるのかもしれません。

 

バレンシアの火祭りの公式サイト:

Fallas From Valencia

 

 バレンシアには「ロペ・デ・ベガ広場」という広場があり、その名を冠した火祭り人形組合がありました。バレンシアという街の魅力を文学作品に残したロペは、やはりこの街で愛されているようです。私が翻訳の際に原文として使用しているArtelopeのデータベースも、バレンシア大学で作られているものです。

 ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ロペがそのほかに劇中で紹介しているバレンシア関連のものはなんでしょうか?最初に観光ツアーガイドよろしく、名所を紹介してくれるのはレオナートです。

 

レオナート エリフィーラ、ここがバレンシアさ。
 (城門を指さして)

 これは、クアルトの門というんだ。
 ヴィーナスとマルスという神によって、
 この街は大きな恵みを得た。
 見てごらん。りっぱな城壁だろう?
 あれは、トゥリア川さ。
 オレンジの香りを含んだきれいな水を
 海へ運んでいるんだよ。
 あれが大聖堂で、その横にあるのがミゲレーテの塔だ。(第一幕)

 

バレンシアのらんちき騒ぎ(1/12) - Buenaguarda: las comedias de Lope de Vega

 

 クアルトの門(クアルトの塔)は現在も残っており、バレンシア市のシンボルのひとつです。トゥリア川は洪水が起きたために現在は迂回させられ、旧河床が公園となりました。

 大聖堂とミゲレーテの塔については、過去記事に少し書きましたので、ご参考までに。

lopedevega.hatenablog.com

 

 

lopedevega.hatenablog.com

 

 

lopedevega.hatenablog.com

 

 そのほか、レケーナやセゴルベといったバレンシア近郊の街の名前も、劇の中でさりげなく出てきます。

 アリカンテ産の名物であるお菓子トゥロン・デ・アリカンテが出てくるのも見逃せません。

 

フロリアーノ ダビデはこうやって
 ゴリアテをやっつけたんだ。
 この煉瓦でもくらえ!
 これは、トゥロン・デ・アリカンテなんかじゃないぞ!(第一幕)

 バレンシアのらんちき騒ぎ(3/12) - Buenaguarda: las comedias de Lope de Vega

 

 トゥロンというのはスペインではクリスマスに食べられるお菓子で、ローストしたアーモンドと蜂蜜や卵白で作られます。産地によって固さが違うようで、アリカンテ産のトゥロンはとくに固いものとして知られています。これもアラブに起源がある食べ物のようです。

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 マドリードの空港で見つけたトゥロン・デ・アリカンテ