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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

翻訳メモ2

訳者からのおしらせ Información

バレンシアのらんちき騒ぎ』ポスター

アルカサル劇場、プラセンシア 2013年

TEATRO ALKÁZAR PLASENCIA: Los locos de Valencia, de Lope de Vega

 

 『守護天使』の翻訳が終わり、下訳のストックがなくなってしまいました。4作翻訳した時点での感想は、原文以外に参考にするものがないと、翻訳するのに難しい箇所があるということです。『日本の殉教者たち』『守護天使』は、それなりに時間をかけて吟味しながら訳したつもりですが、誤訳もあるかもしれません。『ばかなお嬢様』も、初めは原文から訳したのですが、英訳と照らし合わせることでかなり修正できました。やはり英訳があるとずいぶん助かります。

アマルフィ公爵夫人の執事』の場合は、初めに英訳を読んでしまったので、原文よりも英訳に寄った翻訳になっています。原文では公爵夫人の名前がカミーラというのですが、英訳ではなぜかそれが省略されていました。ロペのネーミングがあまり英訳にマッチしなかったのでしょうか。入れておけばよかったと、ちょっと後悔しています。

 

 次になにを翻訳しようかと考えているところですが、無理のないところで、英訳が手に入るものにしたいと思います。今のところ条件に合うのは次の4つです。順番を決めたら、下訳作りからやっていきたいと思います。どうぞ気長にお待ちください。もし、「これを一番に読みたい」というご希望があればコメントくださいね。

 

➀La discreta enamorada:

直訳すると『恋する才女』となるのでしょうが、邦題は『恋の機転』とでもしたほうがいいかと思います。ヒロインは機転のきく女の子ですから。ロペの初期の恋愛喜劇で、かなり入り組んだ構成になっています。サルスエラ『ドニャ・フランシスキータ』の原作でもあります。

(あらすじ)寡婦の母親から常に監視されていている箱入り娘のフェニーサ。彼女が恋しているのは、隣に住む青年ルシンドです。しかし、彼が恋しているのは小悪魔的で移り気な女性ヘラルダ。その上、ルシンドの父親がフェニーサに求婚してきて、母親はその話を了承しろとフェニーサに命令します。フェニーサはなんとか時間稼ぎをして、その間にルシンドへの恋を実らせようとします。

 

②Los locos de Valencia

直訳すると『バレンシアの狂人たち』ですが、『バレンシアのらんちき騒ぎ』あるいは『バレンシアの精神病院』という邦題でもいいかと思います。精神病院を舞台にした喜劇ですが、登場する人物はみんな狂人を装っているだけです。

(あらすじ)高貴な人物を誤って死なせてしまったフロリアーノは、友人の忠告によって、狂人を装い、精神病院に身をひそめることにします。望まない結婚から逃れてきたエリフィーラは、従者に裏切られ、裸同然の姿でいたところを患者と間違われ、精神病院に収容されてしまいます。フロリアーノとエリフィーラは、互いに相手を病人だと思い込みながらも恋に落ちます。

③Lo fingido verdadero

どう訳すか難しい題名ですが『真実の演技』、あるいは『いつわりなき演技』というところでしょうか。演技とはいつわりのものであるけれども、この芝居では真実が演じられる、という意味だと解釈されます。古代ローマの喜劇役者であったとされる聖ヒネス(ゲネシウス)の宗教劇ですが、メタ演劇的な構成をもったユニークな戯曲になっています。

(あらすじ)時代は古代ローマディオクレティアヌス帝の前で恋愛劇を演じることになった喜劇作家兼役者のヒネス。しかし恋人の女優に対する思いを抑えきれず、芝居の中でつい彼女に直接呼びかけてしまい、劇を混乱させます。あらためて別の芝居をやることを命じられたヒネスは、ディオクレティアヌス帝の前で、キリスト教徒を揶揄する内容の劇を演じることになりますが、そこに本物の天使が現れます。

④El castigo sin venganza

『復讐なき罰』。現在、もっとも注目されている作品と思われます。ロペのコメディアの中では、純粋な悲劇に近いものです。

 

(あらすじ)放埓な生活を送るフェラーラ公爵は、けじめをつけるためにマントヴァ公爵の娘カサンドラと結婚することになり、婚外子であるフェデリーコ伯爵に彼女を迎えに行かせます。しかし若いフェデリーコはカサンドラに会った瞬間、激しい恋に落ちてしまいます。