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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

サクリスタンとは?

訳者のコメント・守護天使 comentarios sobre "La buena guarda"

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ファン・ステーンウィック2世

≪絵画を指さすサクリスタンのいる聖堂の内部≫(部分)

 1608年 ルーヴル美術館

 

守護天使』には、サクリスタン(聖具管理人)のカリーソが登場します。茶目っ気のあるグラシオーソ(道化)でもありますが、修道院のサクリスタンとはどういう役職なのでしょうか?

 

 カトリックの聖堂や修道院には、典礼や儀式のために使う道具がたくさんあります。聖像や絵画、ホスチア(聖体のパン)を収める箱、聖人の遺骨や遺物を収めるための聖遺物容器などです。このようなものを保管しておく部屋は聖具室(サクリスティア)と呼ばれ、聖具全般を管理する人はサクリスタンと呼ばれます。サクリスタンは、ただ聖具を保管するだけでなく、クリスマスや復活祭などの儀式の執行にもかかわっていたようです。フランドルの画家ファン・ステーンウィック2世が描いた絵を見ると、サクリスタンは聖堂を訪れる人たちのガイド役なども務めていたと考えられます。

 

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トーレスモリー

≪サン・フスト・イ・パストール聖堂の聖具室≫

写真、1948年、グラナダ

Red Digital de Colecciones de Museos de España

 

 第一幕でフェリックスがカリーソに注文を依頼している「聖体安置台(monumennto)」とは、復活祭の前の聖木曜日に聖堂に安置される器具(または建造物)で、ホスチアをしまっておくものです。大きな修道院では、聖体安置台(または聖体安置所)もかなり巨大になります。この日はカーニバルだということですから、その後の四旬節が過ぎると復活祭です。完成を復活祭に間に合わせるために、今から注文しておいてくれということなのですね。

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19世紀の版画

≪エル・エスコリアル修道院、聖週間における聖体安置所の眺め≫

 コルドバ県立美術館

Red Digital de Colecciones de Museos de España

 

  第三幕で、天使が職人に代金を支払う約束だけをして、クララに引き継ぎをしないで去ってしまったために職人を怒らせた「クストディア(聖体顕示台)」とは、ミサで司祭によって聖別されたホスチアを飾るための容器です。金や銀で豪華に装飾されることが多いです。

 対抗宗教改革と呼ばれるこの時代、修道院でも財力を示すために聖具にお金をかけていたようですね。天使もその慣習に従ったのか、クストディアを金箔を貼った銀で作らせ、出来栄えに満足だったようです。

 

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フランシスコ・アルバレス

≪クストディア(聖体顕示台)≫ 

16世紀後半、サン・アントニオ・デ・ラ・フロリダ聖堂、マドリード

 Red Digital de Colecciones de Museos de España