Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

グラシオーソ(gracioso)の役割

ロペ・デ・ベガ

『人前では愚かだけれど、本当は賢い娘』冒頭のページ

(『ロペ・デ・ベガのコメディア集第21巻』1635年)

*「ガラーン(galán)」「ダマ(dama)」「グラシオーソ(gracioso)」「従者あるいは侍女(criado,criada)」など、それぞれの登場人物の役割が書かれている。

http://www.cervantesvirtual.com/obra/veinte-y-una-parte-verdadera-de-las-comedias-del-fenix-de-espana-frey-lope-felix-de-vega-carpio--0/

 

 ロペの劇において、恋の中心人物となる男女はそれぞれ「ガラーン(galán=美男、伊達男の意)」「ダマ(dama=貴婦人の意)」と呼ばれます。『ばかなお嬢様』などでは、ガラーンとダマがそれぞれ二人ずついることになります(ガラーン:ラウレンシオとリセオ、ダマ:フィネアとニーセ)。

 彼らの恋愛模様をそばから観察し、問題解決のための助言をするのが従者や侍女たちです。とくに従者は重要な役割を果たすことが少なくありません。リセオの従者のトゥリーンなどは、たよりないリセオのためにかなり有益な助言をしているといえるでしょう。また、おおげさに悩むリセオと、きまじめですが少し間の抜けたトゥリーンとの滑稽な会話が笑いを誘う場面もあります。このように、たいていはガラーンの従者として登場し、しばしば滑稽な行動で観客を楽しませる道化役となる男性の役者はグラシオーソ(gracioso=滑稽な者の意)と呼ばれます。

 ロペは、演劇におけるグラシオーソの役割を確立した劇作家とみなされています。『農場の番犬』のトリスタンのように、主人のために一肌脱いで大芝居をうち、とうていかなわないと思われた恋を成就させるグラシオーソなどは、劇の流れを支配しているといっても過言ではありません。こうした主人への献身の褒美として、グラシオーソはたいてい侍女のひとりと結ばれることになっています。

 

 グラシオーソは歴史劇、宗教劇などにもさまざまな役になって登場します。『日本の殉教者たち』では、日本人のマンガシルがグラシオーソの役割を演じているといえるでしょうし、『守護天使』に登場する修道士のカリーソも同様です。

 

 グラシオーソはときに、悲劇的な展開の前触れとして主人の元を去ってしまうこともあります。『復讐なき罰』では、グラシオーソのバティンが主人フェデリーコに愛想をつかして去ってしまうのですが、それはフェデリーコが悲劇的結末を迎えることを意味しています。
 

 

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