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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

愛(amor)に嫉妬(celos)はつきもの

ロペ・デ・ベガについて➀生涯 ¿Quién es Lope? su vida ロペ・デ・ベガについて②作品(コメディア) ¿Quién es Lope? sus obras dramáticas

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 チェーザレ・リーパ『イコノロギア』(1603年)より“嫉妬(gelosia)”

 

 セバスティアン・デ・コバルビアス・イ・オロスコによって著された最初のスペイン語辞書『カスティーリャ語宝典(Tesoro de la lengua castellana o española)』 (1611年)は、この時代の書物を訳す際に必須の同時代辞典ですが、この中の “celoso”(嫉妬深い)の項目にはこう書かれています。

 

“(恋愛における)嫉妬については、スペインやイタリアの詩人たちがきわめて多くの作品を書いているから、私がここでそれについて述べるまでもないと思う。(Los poetas españoles y italianos tienen escrito tanto de zelos, que me ha parecido no tratar yo aquí dellos;)”

 

 この時代、嫉妬というのは詩において欠かせない要素だったようです。代表的なのは、イタリアの詩人アリオストの『狂えるオルランド』でしょう。主人公オルランドはアンジェリカとメドーロへの激しい嫉妬によって完全に正気を失ってしまうのです。

 

狂えるオルランド

狂えるオルランド

 

 

 ロペのコメディアの登場人物たちもまた、愛と嫉妬について雄弁に語っています。

 

バルトーラ 嘘だわ。昼があれば必ず夜もあるように、
 愛があれば必ず嫉妬もあるのよ。
 嫉妬のない愛なんて、
 歯車のない時計、
 玉ねぎのぶら下がっていないフック、
 皿の入っていない食器棚みたいなもんなの。(『アマルフィ公爵夫人の執事』)

 

タイコー 嫉妬とは何ですか?
アルカイデ 見たくないものを見ることによって
 死ぬほど苦しむことだ。
 その苦しみといったら、筆舌に尽くしがたい。
 愛する者で、それを知らずにいる者はほとんどいない。
 お前もいまに、それがどういうものかわかるさ。(『日本の殉教者たち』)

 

オタービオ 嫉妬とは、愛がもたらす喜びに対してわれわれが支払うものなのさ。

                          (『ばかなお嬢様』)

 

 若き日のロペ自身も嫉妬深い性格であったのか、既婚者の女優エレーナ・オソリオとの恋愛関係がこじれた際に、彼女とその家族を中傷した罪で4年間の宮廷からの追放を命じられています。また、50代で激しい恋に落ちたマルタ・デ・ネバーレスも既婚者でした。彼女の夫が亡くなったと思われる時期に、ロペはその死を祝福するかのような不遜な文章を残しています。

 

参考文献:Felipe Blas Pedraza Jiménez, Lope de Vega : pasiones, obra y fortuna del monstruo de naturaleza,  Editorial Edaf, 2009.