Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ラウレンシオはピグマリオンか?

pygmalion and galatea I The Heart Desires

バーン=ジョーンズ≪ピグマリオンとイメージ:心は欲する≫1878年

バーミンガム美術館

 

 『ばかなお嬢様』は、バーナード・ショーの戯曲『ピグマリオン』(映画『マイ・フェア・レディ』の原作、1912年)のような、ピグマリオン神話のロペ流の翻案だという見方もあります。すなわち、自分の理想の女性を作り出そうとする男性の物語です。

 ロペの『ばかなお嬢様』より20年ほど前には、イギリスでシェイクスピアが『じゃじゃ馬ならし』を書いていますし、50年ほど後にはフランスでモリエールが『女房学校』を書いています。『じゃじゃ馬ならし』のペトルーキオは、徹底的にカタリーナを「しつける」ことで自分に服従させてしまいます。『女房学校』のアルノルフは孤児アニェスをひきとり、自分の理想の「無邪気な(世間知らずの)妻」にするために修道院に入れますが、彼女は別の男性と恋に落ちてアルノルフから去ってしまいます。『ばかなお嬢様』のラウレンシオの場合は、フィネアが自分に恋をするように仕向けていくうちに、彼女がラウレンシオと文通するために自発的に字を覚えたり、難しい本を読んだりするようになり、ラウレンシオの予想以上に賢くなっていってしまいます。

 女性を自分の意に沿うようにコントロールしたい、と思っている点ではどの男性も同じです。そしてシェイクスピアを除き、モリエールもロペもショーも、女性はそう簡単に男性の意のままにはならない、という結末を描いています。ただしフィネアはラウレンシオのもとを去るのではなく、自分の計画が失敗して嘆くラウレンシオに代わってみずから計画を立て、指示を出し、見事に成功させるという点が他の作品のヒロインと違っています。

 

ピグマリオン・コンプレックス―プリティ・ウーマンの系譜

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Lope de Vega : pasiones, obra y fortuna del monstruo de naturaleza

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