Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

宗教劇?恋愛劇?

 私がこの戯曲を翻訳し始めたときは、ほとんど予備知識がなかったので、かなりシリアスな殉教劇だろうと思っていました。そして、タイコー・ソマというのは豊臣秀吉がモデルだろうと思っていました。しかし、翻訳を進めるにつれて、タイコー・ソマは秀吉とは関わりがなく(モデルとなったのは秀頼のようです)、彼とキルドラの恋愛がこの劇のメインプロットとなっていることがわかってきました。

 

 ロペのこの作品は、宗教劇と呼ぶのであれば特異な例といえそうです。プロットの構成について言えば、ボームラが最後にどうなったのか不明ですし、話の展開に不完全なところがあります。いっぽう、聖画から血が噴き出したり、ナバレーテが火の中から生還する場面などでは、かなり凝った演出が求められています。

 タイコー・ソマは「ウサカの塔」に幽閉されて育ち、青年になるまで外界に出たことがないという設定です。これは、インドの聖人と伝えられていた聖ヨサパトの物語(原型は釈迦の出家物語)と類似しています。ロペは聖ヨサパトを扱った宗教劇も書いていますが、アジアの国日本を舞台とした劇で再びこの設定を使い、世間を知らずに育った子どものように純真で繊細な青年が、生まれて初めて女性を見て激しい恋に陥ってしまうという恋物語を展開させています。

 


 

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