Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

伊達男カストルーチョ(Galán Castrucho, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1598年?

種類:ピカレスク(悪者)小説的な劇

補足:初期の作品。娼婦とぽん引きを主役にしており、ピカレスク小説的な要素が認められる。皇帝カール5世による「ローマ劫略」が行われた1527年のローマが舞台となる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 神聖ローマ皇帝カール5世(スペイン国王カルロス1世)の軍隊がローマに駐留している。軍人のドン・アルバロは、セビーリャ出身の娼婦フォルトゥーナに夢中である。

 

 賭博で所持金を失ってしまったアルバロは、同じ軍隊にいるドン・ホルヘに「フォルトゥーナへの贈物と、彼女が変装するための軍服一式を用意してほしい」と頼む。ホルヘは快く引き受ける。ホルヘはアルバロ同様に賭博で金をすってしまったドン・エクトルをつれて、ローマの娼婦街へ行く。

 

 フォルトゥーナをかどわかし、スペインからローマにつれてきたのは、醜いならず者のぽん引きカストルーチョである。取り持ち婆のテオドラはフォルトゥーナに、彼女の稼ぎを賭博に使ってしまうカストルーチョとは縁を切り、彼女に言い寄っているスペインの軍人たちのうちの誰かと仲良くすべきだと忠告する。

 

 ホルヘの従者カミーロがテオドラの店を訪れ、主人から頼まれた服を注文する。テオドラはホルヘについて、カミーロに根掘り葉掘り質問する。

 

 カミーロが去った後、カストルーチョが現れる。カストルーチョは賭博で金をすってしまい、フォルトゥーナとテオドラに稼ぎをよこすよう要求する。

 

 3人は喧嘩を始める。エクトルとホルヘが現れる。事情を聞いたエクトルは、カストルーチョに金鎖を与えてその場を収める。

 

 テオドラは、フォルトゥーナがカストルーチョから稼ぎをまきあげられていることを話し、彼女を助けてやってほしいとエクトルとホルヘに頼む。二人の男性はフォルトゥーナの美しさに魅せられる。

 

 そこへアルバロが現れ、自分が優先的にフォルトゥーナの愛を得るべきであると二人に告げる。エクトルとホルヘは嫉妬しながらも、彼にフォルトゥーナを譲るふりをしてその場を去る。

 

 カストルーチョは、またもや賭博で金をすってしまう。彼の従者エスコバリーリョは、フォルトゥーナに言い寄るスペインの軍人たちの存在を彼に知らせる。カストルーチョは腹を立てる。

 

 アルバロはフォルトゥーナをつれて通りを散歩する。嫉妬にかられたホルヘがアルバロを襲い、アルバロは倒れる。次はエクトルがホルヘを襲い、両者は相打ちとなる。

 

 物陰からその様子を見ていたカストルーチョは、自分がすべての男たちをやっつけたふりをしてフォルトゥーナの前に姿を現し、彼女を連れ戻す。

 

 意識を回復した3人の軍人たちは、それぞれがフォルトゥーナをライバルに奪われたと思いこんでいる。エスコバリーリョからそのことを知らされたカストルーチョは、彼らをひそかにあざ笑う。

 

 ホルヘがミラノにいたときの恋人ルクレシアが、ホルヘを追ってローマへやって来る。ルクレシアは男装してベルトランと名乗り、フォルトゥーナの世話係としてカストルーチョに雇われる。

 

 カストルーチョは調子に乗って再びアルバロ、ホルヘ、エクトルの3人をだまし、彼らがさらに敵対するように仕向ける。しかしテオドラが彼らに、フォルトゥーナとカストルーチョがもともと恋人であることを暴露したため、3人は怒ってカストルーチョを殺そうと企む。

 

 教会の前でドン・ロドリーゴと軍の長官に会ったテオドラは、ロドリーゴにフォルトゥーナの美しさを語り、売春宿へと誘う。

 

 フォルトゥーナは、ベルトラン(ルクレシア)の凛々しさにひかれ、キスをしてほしいとねだる。そこへホルヘが現れてフォルトゥーナを口説く。ベルトラン(ルクレシア)は激しく嫉妬する。

 

 テオドラはカストルーチョの怒りを恐れ、ホルヘとフォルトゥーナを家から去らせる。ベルトラン(ルクレシア)も彼らについていく。

 

 エクトルとアルバロがフォルトゥーナを訪ねてくるが、テオドラは窓から尿瓶の中身をぶちまけて彼らを追い返す。つづいてカストルーチョが訪ねてくるが、テオドラは彼をののしって追い返そうとする。カストルーチョは「賭博で稼いだ金を全部渡す」という言葉で彼女をだまして扉を開けさせ、彼女を殴る。

 

 フォルトゥーナはホルヘを途中で追い払い、ベルトラン(ルクレシア)を一軒の家に連れ込んで誘惑する。ベルトラン(ルクレシア)は必死に口実をもうけてその場から逃げ出し、その後フォルトゥーナには自分が強盗に襲われて殺されたように信じ込ませる。

 

 ベルトラン(ルクレシア)は、自分が女性であることをエスコバリーリョに打ち明ける。すると驚いたことに、エスコバリーリョも「私はブリセーナという名の女性で、アルバロに恋をしています」と打ち明ける。二人はそれぞれの恋を実らせるために協力する。

 

 ロドリーゴがフォルトゥーナの家を訪れ、長官に彼女を斡旋する。ロドリーゴもフォルトゥーナの美しさに惹かれる。

 

 カストルーチョはアルバロ、ホルヘ、エクトルの3人に、それぞれ同じ日の夜にフォルトゥーナを世話するという約束をとりつける。

 

 フォルトゥーナに会った長官は、彼女から身の上話を聞く。フォルトゥーナは「私をスペインからイタリアへ連れてきた男性は、私と結婚すると約束していたのに、いまだにそれを果たしてくれません」と話す。長官は、フォルトゥーナを必ずその男性と結婚させると約束する。

 

 ロドリーゴは、すきをねらってフォルトゥーナを口説く。フォルトゥーナは「今夜私の店に来て、テオドラにお金を払ってくれれば会いましょう」と約束する。

 

 カストルーチョは、フォルトゥーナを求めてやってきた3人の軍人に、それぞれ変装させた別人を引き渡す。アルバロはエスコバリーリョ(ブリセーナ)、ホルヘはベルトラン(ルクレシア)、エクトルはテオドラをそれぞれフォルトゥーナだと思いこんで夜を共にする。

 

 ロドリーゴがフォルトゥーナに会おうとしていることを知った長官は、怒ってロドリーゴのたくらみを阻止しようと計画する。

 

 ロドリーゴがフォルトゥーナとの逢瀬を楽しんでいる時、長官は軍の召集ラッパを吹かせる。ロドリーゴはやむをえずフォルトゥーナと別れる。フォルトゥーナは再びカストルーチョのもとに戻される。

 

 召集ラッパを聞いたアルバロ、ホルヘ、エクトルは、それぞれ女性たちとの一夜に満足した表情で集まってくる。カストルーチョは、男性(彼はベルトランとエスコバリーリョを男だと思っている)と老女を相手にした彼らがなぜ満足しているのかと不思議に思う。

 

 3人の軍人は、カストルーチョにだまされたのだと気づき、彼を殺そうとする。カストルーチョは、彼らを同性愛者だと非難する。

 

 疑いを晴らすため、軍人たちと寝た3人の女性たちが呼び集められる。女性たちとともに長官が皆の前に姿を現す。

 

 カストルーチョは、軍人たちをだましたことを白状する。ベルトラン(ルクレシア)とエスコバリーリョ(ブリセーナ)は、自分たちの正体を明かす。長官はホルヘ、アルバロにそれぞれルクレシア、ブリセーナの名誉に対する責任を取るよう命令する。同じく長官はカストルーチョにフォルトゥーナと結婚するよう求める。カストルーチョが歩兵隊の隊長に任命されて幕となる。