Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

シマンカスの乙女たち(Doncellas de Simancas)

ロペへの帰属:議論の余地あり

執筆年代:不明

種類:歴史劇

補足:シマンカスの地名のもとになったといわれる伝説にもとづく。8世紀後半、アストゥリアス王マウレガート治世下のシマンカスが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 アストゥリアス国王マウレガートは、イスラム教徒の王アブデラマーン(アブド・アッラフマーン)との契約により、彼への貢物として毎年アストゥリアスの乙女100人を差し出していた。

 

 キリスト教徒の貴族イニーゴ・ロペスは、アブデラマーンに差し出される乙女たちを助けようとしてモーロ人たちと戦い、捕えられる。イニーゴは、アブデラマーンの息子アブダラの前に引き出される。

 

 イニーゴは「貢物となる100人の乙女たちを救い出せば、その褒美として、私に見向きもしてくれないある女性と結婚できることになっていました。けれどもそれに失敗したので、今の私はただ、死だけを望んでいます」とアブダラに話す。アブダラは、イニーゴの勇気を賞賛し、死なせるには惜しいと考えて彼を生かしておく。

 

 イニーゴが恋しているのは、シマンカスの貴族の娘レオノールであった。レオノールは、妹のエルビラに「私がイニーゴに冷たい態度をとっていたのは、彼が貧しい上に国王と対立しているので、父が結婚を許してくれないと思ったからよ。本当は私も彼を愛しているの」と告げる。そこへイニーゴの従者ロペが現れ、イニーゴがイスラム教徒に捕らわれたことを知らせる。レオノールは彼を救い出そうと決心する。

 

 アブダラは、キリスト教徒に変装し、イニーゴをつれてレオノールの家の近くへ行く。彼はイニーゴに「私はコルドバの王位を手に入れたいと思っている。アフリカの王オマールが、ある女性を引き渡せば私の野望に協力してくれると約束した。おまえがその女性をさらってきてくれたら、おまえが望んでいる娘と結婚できるようにしてやる」と告げる。アブダラに「その女性」の肖像画を見せられたイニーゴは、それがレオノールであるのを知る。

 

 イニーゴはアブダラに真実を言うことができず、単身でレオノールを訪問する。レオノール、エルビラ、ロペが彼の無事の帰還を喜ぶ。イニーゴはレオノールに求婚し、レオノールはそれに応じる。

 

 隠れてその様子を見ていたアブダラは、イニーゴと二人きりになると、彼を非難する。イニーゴはレオノールが自分の恋する女性であるがゆえにアブダラに引き渡すつもりはないと告げる。アブダラは立腹して去る。

 

 マウレガートは、次にアブデラマーンに差し出す乙女の中に、自分と敵対している男の娘であるレオノールとエルビラを入れようと考える。彼が家臣のエンリケとともにレオノールの家に近づくと、ロペたちに襲撃されたアブダラに遭遇する。マウレガートはアブダラを助ける。

 

 アブダラは、レオノールに恋しているふりをして、貢物の中に彼女を加えてくれるようマウレガートに頼む。マウレガートは喜んで応じる。アブダラはロペを捕える。

 

 マウレガートはレオノールを捕えるため、彼女の家を包囲する。レオノールはアブダラがイニーゴを捕えに来たのだと勘違いし、イニーゴを逃がす。マウレガートの手下が入ってきて、レオノールとエルビラを捕える。

 

 レオノールが捕えられたことを知ったイニーゴはパニックに陥る。アブダラがやってきて、イニーゴと和解しようとする。そこへロペが「レオノールとエルビラに率いられたシマンカスの乙女たちが護衛を殺し、塔に立てこもっている」と知らせる。

 

 シマンカスの7人の乙女たちは、名誉を汚されるよりも死を選ぼうと団結する。イニーゴは、彼女たちの自殺を思いとどまらせようと説得を試みるが、失敗する。

 

 レオノールを中心とした乙女たちは、切り落とされた自分たちの左腕を塔の上から群衆に見せ、イスラム教徒に服従して乙女たちを差し出した人々を非難する。エルビラは「(片腕を切り落とされても)まだ自殺するための腕は残っている」と告げる。アブダラは彼女たちの勇気を賞賛し、彼女たちを捕えてくるよう部下たちに命じる。

 

 乙女たちは塔の中で戦う準備をする。イスラム教徒たちは塔に侵入する。イニーゴはシマンカスの男性たちを鼓舞してイスラム教徒たちと戦うが、自分を助命してくれたアブドラの身は保護する。

 

 戦いの末、乙女たちの要求が受け入れられ、イスラム教徒への乙女たちの献上はなくなり、シマンカスに自由が与えられる。イニーゴには恩赦が与えられ、イニーゴとレオノール、エルビラとエンリケ、ロペとコンスタンサ(レオノールの侍女)が結ばれる。シマンカスの紋章に7つの手が描かれ、シマンカスの名が「7人の片腕のない女性たち(シエテ・マンカス)」に由来することが示されて幕となる。