Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

自由な奴隷(Esclavos libres, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1599-1603年

種類:文学の要素を持つ劇

補足:地中海沿岸におけるキリスト教徒とイスラム教徒の戦い、およびそれによって互いの土地へ捕虜として送られた人々を描く。時代は、スペインのオスーナ公爵がナポリ副王を務めていた1582-1586年に設定されている。男装の女性と、その女性に恋する女性が描かれる。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 

 ビゼルト(現在のチュニジア)の頭領であるモーロ人のアルボラーンは、フランス沿岸でキリスト教徒の船を襲っていた。彼はスペイン人のルハン総帥の娘ルシンダを誘拐し、船で母国へ連れ去る。ルハンは娘の奪還に失敗するが、代わりにスペイン語の話せるモーロ人兵士スレーマを捕える。

 

 スレーマはルハンに、「一介の兵士である自分ごときを捕虜にしても、アルボラーンと交渉してルシンダと交換することはできない」と告げる。ルハンは落胆し、スレーマを殺すよう部下たちに命じる。慌てたスレーマはルハンに「海岸に埋められている財宝のありかを教える」と嘘をつく。

 

 ルシンダの婚約者レオナルドは、ルシンダが誘拐されたことを知って悲しみ、海岸へ向かう。彼は財宝を探すルハンの部下たちに出会う。彼らはスレーマに財宝のある場所を問いただすが、スレーマはのらりくらりと質問をかわす。

 

 レオナルドはスレーマに声をかける。レオナルドがルシンダを救出しようと考えていることを知ったスレーマは、自分を同行させてほしいと頼む。

 

 ルシンダをビゼルトへ連れ帰ったアルボラーンは、すでに4人の妻がいるにもかかわらず、あらゆる財宝を差し出してルシンダに妻になってほしいと懇願する。ルシンダはそれを拒否し、「最も下位の捕虜として扱うこと」を希望する。アルボラーンは仕方なく、ルシンダに粗末な捕虜の服を着せる。

 

 アルボラーンの家臣は、キリスト教徒の捕虜のひとりに優れた魔術師がいると聞き、ルシンダの心を得るために彼を利用してはどうかとアルボラーンに勧める。

 

 レオナルドはモーロ人に扮し、メドーロと名乗ってスレーマとともにペルピニャンから船出し、ビゼルトへ向かう。

 

 キリスト教徒の捕虜メンドーサがアルボラーンの前へ連れてこられる。メンドーサは、「ルシンダの心を得たいのなら、彼女の婚約者のレオナルドが死んだと思わせるのが最も良い方法です」と助言する。ルシンダが連れてこられると、メンドーサは自分がレオナルドの部下であったと彼女に告げ、彼が死んだと嘘をつく。ルシンダは絶望して泣き崩れる。

 

 メドーロ(レオナルド)がスレーマとともにビゼルトに到着する。メドーロ(レオナルド)は、アルボラーンに歓迎される。

 

 メドーロ(レオナルド)は、アルボラーンがルシンダに恋していること、そのため彼女にレオナルドが死んだという嘘をついていることを知る。メドーロ(レオナルド)は、二人がすでに関係を結んでいるのではないかと疑う。

 

 アルボラーンの妻の一人ベライダは、ルシンダに激しく嫉妬する。アルボラーンは彼女に手を焼き、メドーロ(レオナルド)に、「ベライダの前で、ルシンダときみは恋人のふりをしてくれ」と頼む。

 

 ルシンダはメドーロ(レオナルド)を見て、彼がレオナルドにそっくりであることに驚く。二人はベライダの前で抱き合い、恋人のふりをする。ベライダは安心する。アルボラーンは、メドーロ(レオナルド)とルシンダが本当の恋人であるかのように親しげな様子であるのを見て警戒し、スレーマに彼らを監視させる。

 

 ルシンダはメドーロ(レオナルド)の正体はレオナルドだと確信するが、メドーロ(レオナルド)はまだルシンダとアルボラーンの関係を疑っており、彼女に正体を明かさない。スレーマは彼らの仲を取り持とうと一計を案じ、ルシンダが死んだとメドーロ(レオナルド)に思いこませる。メドーロ(レオナルド)が悲嘆する様子を見てルシンダは彼の前に姿を現す。メドーロ(レオナルド)は彼女に正体を明かし、二人は互いの気持ちを確かめ合う。

 

 アルボラーンはメドーロ(レオナルド)とルシンダの仲を疑い、メドーロ(レオナルド)にスペイン行きを命じる。しかし、アルボラーンがまだルシンダに執心していることがベライダにばれてしまい、ベライダはメドーロ(レオナルド)がルシンダを連れていくことを許す。ルシンダはモーロ人の男性に変装してサイーデと名乗り、二人はともにスペインへ向かって船出する。

 

 イタリアのナポリでは、ルシンダの父ルハン総帥が、レオナルドの父ファブリシオ伯爵に会っていた。ファブリシオ伯爵は「息子とは、彼が16年前に家を出てから一度も会っておらず、彼がルシンダと婚約していたことさえ知らなかった」と告白する。

 

 ルハンが去った後、ファブリシオのもとに娘のセリアがやってきて、「メドーロと名乗るモーロ人の船が捕獲されたそうです。みな、その男が兄のレオナルドそっくりだと言っています」と知らせる。ファブリシオは息子が行方不明になった悲しみを癒すため、そのモーロ人捕虜を買う決心をする。

 

 メドーロ(レオナルド)はキリスト教徒の船に追われた際、自分の身を守るために数名の騎士を殺してしまっていた。メドーロ(レオナルド)はそのことを不名誉と思い、捕まった後も正体を明かすことを恐れる。彼はサイーデ(ルシンダ)と離れ離れになるのを防ぐために、自分たちは兄弟であると言う。しかし彼らを捕えたサンティアゴ騎士ドン・フランシスコ・デ・アルバラードはメドーロ(レオナルド)とスレーマを奴隷としてナポリ副王のオスーナ公爵に贈ることに決める。

 

 メドーロ(レオナルド)を買うためにやってきたファブリシオは、彼が公爵への贈物になったことを知り、彼の代わりに兄弟のサイーデ(ルシンダ)を買うことにする。

 

 アルボラーンはナポリ沖でキリスト教徒の船団と戦い、敗北する。彼の敗北はメンドーサによって予言されていた。メンドーサはキリスト教徒側に救出される。

 

 アルボラーンはルシンダの行方を探し、メドーロ(レオナルド)とスレーマがオスーナ公爵の奴隷になったことを知る。彼は公爵に会見し、「あの二人は、ひとりのキリスト教徒の女(ルシンダ)とともに、あなたを毒殺するよう送られてきたのです」と嘘を言う。アルボラーンの言葉を聞いた公爵は、ルシンダを探すことにする。

 

 スレーマは、公爵の家の従者たちにイスラム教徒であることでからかわれ、ばかにされる。メドーロ(レオナルド)はスレーマをかばって従者たちを追い払う。しかしスレーマと二人きりになると、彼はスレーマがキリスト教徒間の悪い慣習(飲酒、賭博など)を覚えたことをとがめる。

 

 公爵の家を訪れたサイーデ(ルシンダ)は、メドーロ(レオナルド)を見つけ、再会を喜ぶ。彼女はファブリシオの家で親切に扱われていること、セリアが自分に恋してしまったらしいことを彼に話す。メドーロ(レオナルド)は困惑する。

 

 ルハンは、イタリアの軍人たちとの口論がきっかけで、刃傷沙汰に巻き込まれる。メドーロ(レオナルド)は、ルシンダの父親が身の危険にさらされているのを見て彼に加勢し、イタリア人兵士を殺す。メドーロ(レオナルド)は処刑されそうになるが、ファブリシオが彼の命乞いをしたために減刑される。

 

 ファブリシオはメドーロ(レオナルド)を見て彼が息子だと確信するものの、彼がイスラム教に改宗してしまったのではないかと恐れを抱く。彼はメドーロ(レオナルド)に「きみが誰であるかは言わないまま、これまでの経緯を話してほしい」と依頼する。メドーロ(レオナルド)は正体を隠したまま、モーロ人に変装してからの経緯を父に語って聞かせる。ファブリシオはメドーロ(レオナルド)を家に招く。

 

 アルボラーンとオスーナ公爵はスレーマを呼び出し、ルシンダの行方を尋ねる。スレーマは彼女がファブリシオの家にいることを白状する。

 

 公爵は、ファブリシオがメドーロ(レオナルド)の命乞いをしたことを思い出し、ファブリシオも自分の暗殺計画に加担しているのではないかと疑う。公爵はファブリシオの家の者たちを全員召喚する。

 

 イタリア人兵士の死の責任を問われたルハンも、公爵の前に引き出される。彼は正当防衛を主張する。彼は娘のルシンダをモーロ人に誘拐され、婿になるはずだったレオナルドもモーロ人に殺されたと告げる。

 

 続いてファブリシオ、サイーデ(ルシンダ)、メドーロ(レオナルド)、セリアが引き出される。アルボラーンはサイーデ(ルシンダ)が公爵の暗殺を企んだ女だと告げる。しかしルハンによってサイーデが彼の娘ルシンダであることが判明し、アルボラーンの嘘がばれる。

 

 メドーロ(レオナルド)は、皆の前で自分の正体を明かす。ファブリシオは彼を息子と認め、彼とルシンダとの結婚を許可する。ルシンダを男性と思いこんでいたセリアは失望するが、彼女を義姉妹として歓迎する。

 

 アルボラーンは自分の嘘を認め、「すべては恋心のためにしたことだった」と告白する。スレーマはキリスト教への改宗を希望し、公爵は彼の代父になることを了承する。

 

 レオナルドはアルボラーンの解放を公爵に願い出る。彼はアルボラーンを歓待し、ベライダへの贈物を渡す。アルボラーンが彼に感謝の意を表明して幕となる。