Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

銀むすめ(Niña de plata, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1607-1612年

種類:都会的な同時代劇

補足:セビーリャが舞台となる。14世紀のカスティーリャ国王ペドロ1世(残酷王)と彼の異母弟エンリケが登場するが、劇の性格としては同時代劇である。劇中で従者のチャコンが歌う『突然のソネット(Soneto de repente)』は有名。2009年にエルネスト・フィラルディ(Ernesto Filardi)監督、2015年に Fran Guinot 監督の下で上演されている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 カスティーリャ国王ペドロの異母弟エンリケは、サンティアゴ騎士団長(ペドロのもう一人の弟)と騎士ドン・フアンをつれてセビーリャの街を歩く。

 

 その美しさと賢さから、人々に「銀むすめ」と呼ばれているドロテーアが、叔母のテオドラとともにバルコニーからエンリケの姿を眺める。「銀むすめ」の評判はカスティーリャにも知れ渡っており、エンリケはドロテーアに関心を持つ。

 

 エンリケと騎士団長が去った後、フアンはドロテーアと話をする。二人は愛し合っているが、市会議員(ベインティクアトロ)であるフアンの父親は二人の結婚に反対している。なぜなら、ドロテーアの家は貧しいからである。

 

 セビーリャの騎士ドン・アリアスエンリケに、ドロテーアが歌や踊り、楽器の演奏、詩や絵画などにも優れていることを話す。エンリケはますますドロテーアに魅力を感じる。

 

 ドロテーアは、テオドラとともに「ヒラルダの塔」を眺める。そこへ散歩をしていたエンリケが通りかかる。ドロテーアと話をしたエンリケは、機知に富んだ彼女の受け答えに感嘆する。ドロテーアが去った後、エンリケドロテーアの従者を買収し、彼にドロテーアと自分との取り持ち役を命じる。

 

 フアンは父親の反対を押し切って、ドロテーアに会う。しかし、ドロテーアの兄のフェリックスが現れたのでフアンは身を隠す。フェリックスはドロテーアに「エンリケ様にお仕えする任務を与えられた」と告げる。フェリックスが去った後、フアンはドロテーアがエンリケに興味を持っている様子を見て嫉妬する。

 

 その後、エンリケが国王ペドロと騎士団長とともにドロテーアの家を訪れ、水を求める。三人はみな、ドロテーアに魅了される。エンリケはドロテーアを口説き、国王と騎士団長もドロテーアに贈物をする。

 

 隠れてその様子を見たフアンは嫉妬に身を焦がし、彼らが去った後でドロテーアに怒りをぶつけて立ち去る。

 

 フェリックスにはマルセーラという恋人がいる。マルセーラは同居しているレオノーラと性格が合わず、家を出てしまう。マルセーラはフェリックスの勧めで彼の家に住むことになり、ドロテーアがマルセーラの代わりにレオノーラと同居する。

 

 ドロテーアはフアンに「短気にならないでほしい」と手紙を書き、ペドロやエンリケから贈られた品物を彼に送る。フアンは喜び、ドロテーアに会いに行く。しかし、従者のチャコンから「ドロテーア様の家(今はマルセーラが住んでいる)の前に、高価な品物を載せた馬車がありました」と言われたフアンは再び激しい嫉妬心に苛まれる。彼は腹いせに別の女性を口説く決心をする。フアンはマルセーラを選び、彼女の家(今はドロテーアが住んでいる)を訪れる。

 

 エンリケはドロテーアへの恋わずらいに悩む。ペドロはエンリケを心配し、モーロ人の占星術スレーマに彼を診察させようと考える。しかし家臣たちはドロテーアを王宮へ連れてくることを提案する。

 

 フアンはマルセーラだと勘違いをしてドロテーアを口説き、ドロテーアから自分に送られてきた品物を彼女に差し出す。ドロテーアはフアンが勘違いをしていることに気づき、マルセーラのふりをして品物を受け取る。

 

 フアンが去った後、フェリックスがドロテーアを訪問する。それを見たフアンはマルセーラにも裏切られたのだと勘違いをし、再びドロテーアに求愛しようと思いなおす。

 

 フアンがドロテーアの家(今はマルセーラが住んでいる)へ行くと、ペドロが家に入っていくのが見える。マルセーラが王を迎えるが、フアンはそれをドロテーアだと勘違いする。

 

 フアンは、マルセーラの家(今はドロテーアが住んでいる)へ戻る。ドロテーアはフアンに自分の正体を明かし、「エンリケ様から逃げるために、マルセーラと住居を交換した」と真実を話す。

 

 ドロテーアはフアンに「家に入って、兄のフェリックスに私たちの結婚の話をしてほしい」と促すが、フアンはそれを拒否する。ドロテーアはフアンの身勝手さに腹を立てる。

 

 スレーマはエンリケに会い、「あなたの母上は、ペドロ様に殺されます。ペドロ様はあなたに殺されます。そしてあなたはカスティーリャを統治するでしょう」と予言する。エンリケは驚く。(これらの予言は史実を示しているが、この劇の内容とは直接に関係しない)

 

 そこへ、王宮へドロテーアが来たという知らせが入る。エンリケは喜んで彼女に会うが、それはドロテーアと間違えて連れてこられたマルセーラであった。エンリケは機嫌を損ねて去る。

 

 アリアスはテオドラをエンリケとドロテーアの取り持ち役として利用することを提案する。エンリケは多額の報酬をテオドラに約束し、テオドラは取り持ち役を引き受ける。彼女はドロテーアの家の鍵をエンリケに与える。

 

 エンリケがドロテーアの家に忍び込もうとしていた時、フアンも彼女の家の前にいた。チャコンは主人を楽しませるため、「突然のソネット」を歌って聞かせる。しかしフアンはエンリケがドロテーアの家に入っていくのを見て立腹し、その場を去る。

 

 エンリケが家に侵入したのを見たドロテーアは逃げようとするが、エンリケは欲望にかられてドロテーアを追いつめる。絶体絶命の状況になったドロテーアは、エンリケに向き合い「私が心から愛しているのはドン・フアンです。でも、私が貧しいため、彼の父親は私たちの結婚を許してくれないのです」と説明する。

 

 エンリケはドロテーアに敬意を示し、彼女への恋をあきらめ、彼女がフアンと結婚できるように多額の持参金を与えることを約束する。

 

 その後、フェリックスがフアンとその父親を訪問し、「エンリケ様が、フアンにはサンティアゴ騎士の地位、ドロテーアには多額の持参金を与えた上で、二人を結婚させようとお望みです」と伝える。

 

 しかし、フアンはドロテーアがすでにエンリケに名誉を奪われてしまったと考えており、彼女との結婚を拒否する。

 

 フアンは、父親とマルセーラをつれて王宮へ赴き、「私はこの女性とすでに結婚しています」とペドロに告げる。しかしマルセーラはそれを否定する。真実を告げるよう求められたフアンの父親は、事情を説明する。

 

 エンリケは、ドロテーアが名誉を奪われてはいないことをフアンの前で説明する。フアンは納得し、あらためてドロテーアに愛を告白する。フアンとドロテーア、フェリックスとマルセーラが結ばれて幕となる。

 

 

lopedevega.hatenablog.com

 

lopedevega.hatenablog.com