Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

被害者は判事(Juez en su causa, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1608-1612年

種類:架空の宮廷劇

補足:アイルランドが舞台となる。原題を直訳すると「自らの訴訟における判事」である。男装の女性が登場する。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 イベルニア(アイルランド)王アルバーノは、スコットランド王リカルドの娘レオニーダと結婚している。

 

 アルバーノは実弟オクタビオとレオニーダの妹を結婚させようと考え、オクタビオとともにスコットランドへ出発する。夫のアルバーノを深く愛しているレオニーダは、彼の不在を寂しく思う。

 

 アルバーノとオクタビオの乗った船は嵐に遭い、遠く離れた島に流れ着く。島の王女アルミンダに会ったアルバーノとオクタビオは、二人ともアルミンダに魅了されてしまう。それまで妻以外の女性に愛情を感じたことのなかったアルバーノは、自分の感情に驚く。

 

 アルバーノが不在中の国の統治を任されている軍人のロサルドは、レオニーダにかなわぬ恋をしていることを友人のフィネオに告白する。

 

 アルバーノの乗った船がスコットランドに着いていないという知らせを受けたレオニーダは、夫の身を案じる。ロサルドは、王が浮気者であるかのようなことを言い、王が死んだら新しい恋人を見つけるべきだとレオニーダに提案して彼女の怒りを買う。

 

 アルバーノは、自分が妻を亡くした身だとアルミンダに思わせ、彼女と結婚しようと計画する。彼はオクタビオに「これからイベルニアに戻って、レオニーダを殺す。その間きみは島に残って、アルミンダが島の騎士たちと近づかないように気をつけてくれ」と依頼する。オクタビオは立腹するが、妻の顔を見ればアルバーノも気を変えるに違いないと考え、アルバーノが不在の間は自分がアルミンダに近づく好機だとも思って彼を送り出す。

 

 アルバーノが去った後、オクタビオはアルミンダに事の次第を打ち明け、自分が彼女に恋していることを告白する。アルミンダはアルバーノの行動を非難し、オクタビオの求愛を受け入れて結婚の約束をする。

 

 島の騎士レイナルドはアルミンダにひそかに恋をしている。オクタビオとアルミンダの会話を聞いた彼はオクタビオに嫉妬する。

 

 アルバーノはイベルニアに戻る。レオニーダは夫が自分を遠ざけていることに気づき、彼が別の女性に心変わりをしたのではないかと心配して侍女のファビアに相談する。ファビアは、アルバーノの態度は嫉妬によるものかもしれないと言って彼女を慰める。

 

 レオニーダはアルバーノに「スコットランド王である私の父が、オクタビオの到着を待ちかねています」と告げる。アルバーノは「オクタビオキプロス島にいて、もうすぐここへ来る。彼が到着したらすぐに彼を連れてスコットランドへ行くつもりだ」と妻に嘘をつく。

 

 アルバーノはロサルドに王妃の暗殺を命じ、その方法を紙に書いて彼に渡す。そこには「私が側近たちを連れて山で数日を過ごしている間に、鍵を使って王妃の部屋に入り、彼女を殺せ。フィネオも殺して、二人の死体が王妃の部屋で同時に発見されるようにせよ」と書かれていた。

 

 ロサルドは、フィネオが王妃と深い仲になったために王が復讐をたくらんでいるのだと推測する。彼は自分もまたフィネオに裏切られたと感じ、王の命令を遂行することを決意する。

 

 スコットランド王リカルドから、レオニーダに宛てた手紙が届く。レオニーダは手紙を開封する際に指を傷つけてしまう。ロサルドは王妃に自分のハンカチを渡すが、その際に誤って王妃の暗殺計画を書いた紙も一緒に彼女に渡してしまう。ロサルドはそのことに気づかずに去る。レオニーダは紙に書かれた暗殺計画を読み、夫が自分を殺そうとしていることを知る。

 

 レオニーダは、もしも自分が逃亡したら夫はそれを不義密通の確たる証拠だと言いふらしてしまうだろうと考え、夫に殺される道を選ぼうと決心する。しかしファビアは、「もしフィネオと一緒にあなたの死体が発見されたら、あなたの潔白は永遠に証明できなくなります」と忠告し、彼女に逃げるよう勧める。

 

 山に滞在していた王は、良心の呵責に苦しむ。ロサルドは暗殺計画に従ってフィネオを殺そうとするが、フィネオは怪我を負ったものの死なずに逃亡する。ロサルドは続いて王妃を殺すために彼女の部屋へ入るが、王妃の姿はない。

 

 王妃は男装し、彼女の正体や事情を全く知らないルシンドという従者をつれて王宮を脱け出し、スコットランド王のもとへ行こうとしていた。王妃はルシンドに「私はフロランテという名で、ファビアと結婚したのだが、恋敵に襲われて彼を死なせてしまったため逃亡するのだ」と説明する。

 

 ルシンドが情報収集のためフロランテ(レオニーダ)のもとを離れた時、ロサルドが追い付いてフロランテ(レオニーダ)の正体を見抜き、彼女に重傷を負わせて去る。フロランテ(レオニーダ)は、ルシンドと羊飼いたちに助けられ、介抱される。

 

  アルバーノは、王妃とフィネオの死体が発見されていないにもかかわらず、二人が不義密通を犯して死んだと世間に公表する。しかし王の家臣や貴族たちは誰一人、王妃の不義密通を信じない。彼らは王妃の葬儀を盛大に執り行う。

 

 オクタビオとアルミンダが結婚したという知らせがアルバーノに届く。アルバーノはアルミンダを奪うため、二人が住む島へ艦隊で攻め込もうとする。オクタビオも応戦することを決めるが、レイナルドはオクタビオを裏切ろうと企む。

 

 アルバーノは、再び不在中の国の統治をロサルドに委ねるが、ロサルドは王妃とフィネオを殺そうとしたことを激しく後悔し、涙を流す。そこへ、スコットランド王リカルドが艦隊を率いて到着したという知らせが入る。

 

 王妃の無実を信じている国民は、王妃の父であるリカルドを歓迎する。リカルドは、ロサルドの首に懸賞金をかけると告知する。ロサルドはリカルドに国をあけわたして逃亡する。

 

 アルバーノは、オクタビオとアルミンダの住む島を艦隊で占領し、オクタビオとアルミンダは城壁の内側へ避難する。アルバーノは、兄の自分を裏切ってアルミンダを奪ったとして、城壁の向こうにいるオクタビオを非難する。オクタビオは、そもそもアルバーノは既婚者だったのであり、妻と祖国を大切にすべきであったとして、アルバーノを非難する。そこへレイナルドが現れ、オクタビオを裏切って都市をアルバーノにあけわたすと宣言する。

 

 怪我から快復したフロランテ(レオニーダ)は、アルバーノにリカルドが復讐しようとしているという知らせを受け取る。リカルドの軍に、怪我から快復したフィネオも加わる。フロランテ(レオニーダ)も軍に加わるが、フィネオとリカルドは彼(彼女)の顔がレオニーダにそっくりであることに驚く。

 

 フロランテ(レオニーダ)は、自分は文学を学ぶ学生であるとリカルドに告げる。リカルドは彼(彼女)をイベルニアの宮廷の判事に任命する。

 

 アルバーノはオクタビオを捕えてイベルニアへ戻るが、フィネオに捕らえられてしまう。ロサルドもまたフィネオに捕らえられる。

 

 リカルドは、彼らの裁きをフロランテ(レオニーダ)に委ねる。ルシンドが告発者となり、審理が開始される。

 

 アルバーノは、アルミンダを妻にしたいという欲望にかられ、貞淑な妻であったレオニーダと、彼女とは話したこともないフィネオに不義密通の疑いをかけて殺すことをロサルドに命じた罪で糾弾される。フィネオ、アルミンダ、オクタビオがそれを裏付ける証言をする。

 

 アルバーノは自分の卑劣極まりない罪を認め、深く恥じて、自身の死刑をみずから宣告する。彼はレオニーダと顔立ちが似ているフロランテ(レオニーダ)に、処刑を実行してもらいたいと頼む。

 

 フロランテ(レオニーダ)は審理を中止し、自分の行いを深く悔いているアルバーノを許すようリカルドに懇願する。リカルドは、それと引き換えにできるのはレオニーダの命だけだと答える。フロランテ(レオニーダ)は自分の正体を明かし、すべてのことを水に流してアルバーノと和解する。オクタビオの台詞で幕となる。