Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

テネリフェ島のグアンチェ族、およびカナリア諸島の征服(Guanches de Tenerife y conquista de Canaria, los)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1604-1606年

種類:宗教劇の要素をもった歴史劇

補足:1494-96年頃における、アロンソ・フェルナンデス・デ・ルーゴによるテネリフェ島の征服を描いたもの。現在ヌエストラ・セニョーラ・デ・ラ・カンデラリア聖堂に安置されている「カンデラリアの聖母像」にまつわる伝説も含まれている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 スペイン軍は、カナリア諸島のうち唯一まだ征服していないテネリフェ島に上陸しようとする。部隊長のドン・ロペは、テネリフェ島制服がスペインにとって価値あるものだと主張する。

 

 テネリフェ島には、グアンチェ族の王ベンコモ、その娘のダシル、軍人のシレイなどがおり、楽園のような自然に囲まれて平和に暮らしていた。ダシルは父の許可を得て、美しいラグーナ(湖)で水浴をする。ベンコモは娘の身を心配し、多くの護衛をつける。

 

 預言者のシレニオは、ベンコモに「スペインの黒鳥たちが、三度目の来訪をするであろう」と告げる。ベンコモは、かつてスペイン人たちが自分たちを酷い目にあわせたことを回想して嘆き、グアンチェ族の風習(ロペによれば人肉食を含む)を賞賛する歌を歌う。

 

 テネリフェ島に上陸したスペイン軍の兵士たちは、誰が最初に島を探検するかをくじ引きで決める。くじに当たったのは小部隊の隊長カスティーリョであった。カスティーリョは数日間島の中を歩くうちに、湖で水浴をしているダシルに遭遇する。

 

 ダシルは怯えて樹の上に逃げる。喉の渇きに苦しんでいたカスティーリョは、湖の水を飲む。すると、水面に映っているダシルの顔が彼の目に入る。

 

 カスティーリョは、美しいダシルに恋をする。ダシルもカスティーリョのりりしさに惹かれる。ダシルの護衛たちはカスティーリョを殺そうとするが、ダシルはカスティーリョをかばって命を助ける。ダシルはカスティーリョに自分のリボンを与え、カスティーリョは自分の軍服の羽飾りをダシルに与えて二人は別れる。

 

 カスティーリョが探検に行ったまま帰って来ないので、他の兵士たちは彼が死んだものと考え、葬儀の準備をする。しかしそこへ、グアンチェ族のマニルに道を案内されたカスティーリョが到着する。

 

 スペインの兵士たちはマニルの姿を見て驚き、グアンチェ族をどのように征服するかを話し合う。マニルの方はスペイン人の服装が奇妙だと感じ、モラルの点から言っても自分たちの種族の方が優れているに違いないと判断する。

 

 スペイン人たちはベンコモへの贈物(軍服の付け襟)を持たせてマニルを帰す。それは防具としてはほとんど役に立たないものであり、ベンコモを愚弄するためのものであった。ベンコモは怒る。

 

 ダシルはカスティーリョに恋する自分の心に戸惑い、彼に妖術をかけられたのではないかと恐れる。

 

 グアンチェ族の女性パルミラエルバシアは、スペイン人兵士トルヒーリョバルカサルに出会い、それぞれ恋に落ちる。

 

 グアンチェ族の軍人ティングアロが、トルヒーリョとバルカサルを襲撃する。ティングアロは二人を殺さず、彼らの持っていた剣を奪う。

 

 ベンコモは、グアンチェ族の女性たちがスペイン人の男性たちに恋している様子を見て、スペイン人たちが妖術をかけているのだと考える。彼はスペイン軍に使者を送り、「対等の武器を持って我らと戦うように。グアンチェ族の女性の心を盗んではならない」と伝える。

 

 ベンコモは恋わずらいに悩んでいる女性たちを元気づけるために、カナリア諸島に伝わる音楽や踊りを披露させる。

 

 スペイン軍がグアンチェ族を攻撃し、戦いが開始される。グアンチェ族はスペイン軍に「なぜ、このように豊かでもない島を征服しようとするのか」と問い、スペイン軍の司令官ドン・アロンソ・デ・ルーゴは「これはカトリック両王が、キリスト教徒としての慈悲心から行っていることである」と答える。

 

 数の上で優勢であったグアンチェ族が戦いに勝利を収め、スペイン軍は痛手を受けて撤退する。ロペは軍を立て直して再度グアンチェ族を攻撃する決意をする。

 

 グアンチェ族は、スペイン軍から奪った武器や衣服、ブーツなどを持ち寄り、戦勝祝いをする。

 

 ダシルはカスティーリョが戦死したと思いこみ、崖から身を投げて死のうとする。マニルはそれを制止し、スペイン兵から奪ったブーツの中にある毒薬(実際は酒)を飲んで自殺することをすすめる。二人はともにブーツに入った酒を飲み、酔いつぶれて眠ってしまう。

 

 負傷したカスティーリョが、眠っているダシルを発見する。二人は再会を喜ぶ。

 

 一年が経過する。マニルと彼の仲間のフィランはある日、洞窟の中に安置されている聖母マリアの像を発見する。マリア像は片手にろうそくを持ち、幼子キリストを抱いていた(*現在テネリフェ島に残る「カンデラリアの聖母像」)。マニルたちはマリア像を見て、それが生きている女性なのではないかと疑い、確認するためにマリア像の腕を切ろうとする。するとマニルたちの腕はしびれ、怪我を負ってしまう。

 

 ベンコモとティングアロがやってきて、マリア像の起こした奇跡を見て驚く。マニルがマリア像に許しを乞うと、彼らの腕の怪我は治る。

 

 ロペ率いるスペイン軍は再びテネリフェ島を攻撃する。スペイン人たちは、グアンチェ族が円環状に灯したろうそくをかかげ持ち、歌を歌っている姿を目撃する。

 

 カスティーリョは、祖国の軍隊とグアンチェ族の恋人のどちらを選ぶかで悩む。彼はスペイン軍の銃声を聞き、テネリフェ島がやがてスペインに征服されることを予感するが、大きな岩の前で愛するダシルの夫となることを誓う。

 

 マニルとフィランは、マリア像の前に食物を供える。マニルが幼子キリスト像のために小鳥を捕えようとすると、木の枝がひとりでに降りてきてマニルに小鳥を差し出す。

 

 スペイン軍にグアンチェ族が奇襲をかける。トルヒーリョはダシルを無理やり連れて行こうとするが、グアンチェ族の服装をしたカスティーリョが現れ、彼に戦いを挑む。トルヒーリョは、相手がかつての同朋であるのに気づき、戦いをやめてカスティーリョと和解する。

 

 ベンコモは敗走する。大天使ミカエルが天から降りてきて、「スペインによるテネリフェの征服は神の計画であるから、降伏するように」とベンコモに要請する。ベンコモはグアンチェ族にミカエルの啓示を伝え、降伏を宣言する。

 

 アロンソはロペに、「ひとりの天使が、薔薇の花冠を被った7人のニンフたち(カナリア諸島の象徴)をフェルナンド国王に献上している夢を見た」と話す。

 

 戦争は終結し、スペイン人たちは財宝を求めて山の中を探索する。ベンコモは彼らに「この島に黄金はない」と告げる。

 

 ダシルは、カスティーリョが再びスペイン軍の服を着ているのを見て、彼を裏切り者とののしる。彼女は岩の前に行き、カスティーリョが彼女の夫となる誓いをした証拠を求める。すると岩が崩れ落ち、マリア像が皆の前に出現する。天使が「『カンデラリアの聖母像』こそが、真の財宝である」と皆に告げる。

 

 カスティーリョは、ダシルの夫となる誓いをしたことを認める。グアンチェ族が洗礼を受け、カスティーリョ、トルヒーリョ、バルカサルがグアンチェ族の女性たちと結婚して幕となる。