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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

隠蔽された結婚(Desposorio encubierto, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1597-1603年

種類:都会的な同時代劇

補足:マドリードが舞台となる。ひとつの首飾りが登場人物たちの間をめぐりめぐってさまざまな誤解を生む。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ルペルシオはひと月前にベアトリスと結婚したばかりであるが、常にいらいらしていて妻に愛情を示さない。ベアトリスは、夫が自分に飽きて別の女性に恋をしているのではないかと不安に思う。

 

 ルペルシオは親友のフェリシアーノに「ベアトリスと結婚したのは、父がそれを望んだからだ。ぼくにはアウレリアーナという恋人がいた。今でも彼女を愛している」と告げる。

 

 アウレリアーナは、ルペルシオが結婚した事実を知らない。最近、兄のレアンドロが彼女と同居し始め、妹に悪い噂が立つことを怖れて誰も家に入れないからである。

 

 ルペルシオはアウレリアーナへの情熱が抑えられず、自分の苦悩をやわらげるために結婚の事実を隠して彼女と身体の関係をもとうと考える。

 

 レアンドロは三人の男性たちに喧嘩を売られる。通りかかったルペルシオフェリシアーノが彼を助ける(ルペルシオの作戦?)。レアンドロは二人に感謝し、特別に家に招待する。

 

 アウレリアーナは、ルペルシオからの手紙が途絶えたので、彼に飽きられたのだと思っていた。彼女はルペルシオからの手紙をすべて燃やそうとする。そこへ兄のレアンドロがルペルシオフェリシアーノをつれて帰ってくる。アウレリアーナは驚く。

 

 フェリシアーノはアウレリアーナを見て、自分がかつてひとめぼれをした女性であることに気づく。しかし彼は自分の気もちを隠し、アウレリアーナと二人きりになったときに「ルペルシオは忙しくて手紙が書けなかったのです」と説明する。アウレリアーナは、彼を介してルペルシオとその夜の密会を約束する。彼女は「バルコニーから紐を垂らしておくので、それに手紙を結び付けておいてほしい」というルペルシオへの伝言をフェリシアーノに託す。フェリシアーノはわざとそれをルペルシオに伝えないでおく。

 

 ベアトリスは、夫が女性を口説きに行っているのではないかと疑い、プラド通りへ彼を探しに行く。侍女のエリサは、夫を追いかけまわすのはやめたほうがいいと彼女に忠告する。

 

  フェリシアーノはオリンポという人物から金の首飾りを買い、アウレリアーナに贈ろうと思っていた。それを見たレアンドロが「ある女性に贈り物をしたいので、それを貸してほしい」と彼に頼む。フェリシアーノは、レアンドロの機嫌をとるために首飾りを貸す。

 

 レアンドロが街で見かけて恋していたのはベアトリスであった。プラド通りでベアトリスを見たレアンドロは、エリサに首飾りを渡して逢引の仲介を頼む。エリサはそれを受け取る。

 

 ベアトリスはエリサから話を聞き「なぜ既婚者の私と逢引しようなどという誘いを受け入れたのか」と彼女を叱責する。しかしエリサはもともとレアンドロをだましてベアトリスのために首飾りを手に入れるつもりだったと説明する。ベアトリスは納得して、その首飾りを身につける。

 

 ベアトリスはルペルシオを見つける。ルペルシオは、自分がレアンドロに貸した首飾りを妻が身につけているのを見て、彼女とレアンドロとの不義を疑う。ルペルシオはベアトリスに頼み、その首飾りを借りる。

 

 フェリシアーノはアウレリアーナに自分の気もちを伝えたいと思い、彼女がバルコニーから垂らしておいた紐に自分の手紙を結びつけておく。しかしその手紙はレアンドロに発見されてしまう。レアンドロは、手紙の主はルペルシオではないかと疑う。

 

 翌日、ルペルシオレアンドロは、互いに猜疑心を抱きつつ対面する。ベアトリスは変装して夫を尾行し、二人がレアンドロの家に入るところを目撃する。

 

 レアンドロの家の前でフェリシアーノを見つけたベアトリスは、夫の親友である彼に「この家には誰が住んでいるのか」と尋ねる。フェリシアーノはルペルシオをかばうために「私の恋人が住んでいる家です」と答える。

 

 ルペルシオは、アウレリアーナとの逢引の約束を伝えなかったことでフェリシアーノに文句を言う。しかし二人は仲直りをして、ルペルシオフェリシアーノに首飾りを渡し、アウレリアーナに届けさせる。ベアトリスが来ていたことをフェリシアーノに教えられたルペルシオは、妻がレアンドロに会いに来たのではないかと疑う。ベアトリスをあざむくため、ルペルシオフェリシアーノに「しばらくアウレリアーナの恋人のふりを続けてほしい」と頼む。

 

  レアンドロは、アウレリアーナが首飾りをつけているのを見て、それが前の日に自分が持っていたものだと気づかないまま彼女から借りる。

 

 ルペルシオはアウレリアーナに「ぼくにしつこく結婚をすすめてくる伯母がいて、ぼくがきみの家を訪問すると文句を言ってくるので、きみはフェリシアーノの恋人だということにしておいてほしい」と告げる。

 

 レアンドロは再びベアトリスに近づくためにエリサに首飾りを与える。それをエリサから見せられたベアトリスは、前と同じ首飾りであることに気づき、再びルペルシオの行動に疑いを持つ。

 

 ルペルシオはベアトリスがまた首飾りを持っているのを見て、レアンドロとの関係を邪推し嫉妬する。しかし彼は自分の疑いを晴らすほうが先だと考え、アウレリアーナをフェリシアーノの恋人として彼女に紹介しようとする。

 

 オリンポが仲間たちに、「ルペルシオに売った首飾りは偽造品だ」と打ち明ける。仲間たちはルペルシオからせしめた金で宴会を開こうと騒ぐ。

 

 その夜、レアンドロと会ったルペルシオは、彼がベアトリスを口説いていたことを確かめる。ルペルシオは自分の行動を反省し、これからは妻だけを愛そうと決意する。

 

 ルペルシオ、ベアトリス、エリサはプラド通りへ出かける。フェリシアーノとアウレリアーナは、ルペルシオとの打ち合わせ通り、ベアトリスの前で恋人のふりをする。

 

 ルペルシオはアウレリアーナへの執着をやめるが、妻とレアンドロに対する彼の疑念は消えない。彼はついに妻を殺そうと考える。フェリシアーノはベアトリスの潔白を主張し、真実を確かめるべきだと助言する。

 

 ルペルシオフェリシアーノの勧めに従って物陰に隠れ、フェリシアーノとベアトリスの会話を聞く。ベアトリスはフェリシアーノに「夫はあなたの恋人アウレリアーナに執着しているし、彼女の兄のレアンドロは私に執着している。この状況から逃れたいので、悪いけれどもアウレリアーナと別れてくれませんか」と告げる。ルペルシオは妻の貞節を確信して安心し、レアンドロに真実を告げようと決心する。

 

  レアンドロはアウレリアーナに、彼が発見した手紙をつきつけて非難する。アウレリアーナは、「私はルペルシオと誠実につきあっているし、結婚するつもりです」と告げる。レアンドロは妹の希望をかなえることを決心する。

 

 レアンドロはルペルシオに会い、「今夜のうちに妹と結婚しろ。さもなければ私と決闘しろ」と迫る。ルペルシオは彼の剣幕におされて結婚を承諾するが、「立会人になってくれる親戚がいないので、フェリシアーノに立会人をつとめてもらう」と告げる。ルペルシオは、アウレリアーナとの結婚を逃れる方法をフェリシアーノとともに計画する。

 

 エリサは、レアンドロがくれた首飾りが偽造品であったことに気づき、ベアトリスに報告する。レアンドロがやってきてベアトリスを口説こうとするが、彼女とエリサはレアンドロを軽蔑し、激しくののしる。

 

 ルペルシオフェリシアーノが現れ、彼らを仲裁する。ルペルシオレアンドロだけに向かって「ベアトリスは、ほんとうはフェリシアーノの妻だ」と告げる。レアンドロは恐縮する。ルペルシオはベアトリスだけに向かって「アウレリアーナはフェリシアーノと今夜結婚する」と告げる。ベアトリスは安心する。

 

 アウレリアーナは結婚式の準備を整えてルペルシオを迎える。しかしフェリシアーノが参列者たちの前で「ルペルシオは既婚者だ」と告げ、自分が以前からアウレリアーナを愛しており、結婚を望んでいることを公表する。アウレリアーナは、「ルペルシオが既婚者であることを知らなかった」とベアトリスに告げて謝罪し、“愛による見事な計略への報酬”としてフェリシアーノとの結婚を承諾する。ルペルシオレアンドロは和解する。エリサは、最初にレアンドロをだまそうとした見返りとして偽造品の首飾りをもらうことになり、幕となる。