Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

醜い美女(Hermosa fea, la)

ロペへの帰属:ほぼ確実

執筆年代:1625-1632年

種類:架空の宮廷劇

補足:高貴な身分の女性と秘書の男性との恋愛を描く「秘書のコメディア」のグループに属する。1631-32年にクリストバル・デ・アベンダーニョという人物を座長とする劇団によって、王宮およびバレンシアで上演された記録がある。フアン・マヌエル・カセーロ(Juan Manuel Casero)監督によって2011年にアルマグロで上演されている。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ポーランドの王子リカルドは、従者のフリオをつれてロレーヌ公国にやってくる。親友のフランス人オクタビオがリカルドを迎える。

 

 ロレーヌを治めているのは女公爵エステーである。彼女の姿を見たリカルドはその美しさに魅了される。

 

 リカルドは、エステーラに愛されるための計略を立てる。彼はフリオに命じて、エステーラの従妹(リカルドにとっても親類)のセリアに「これからスペインへ行かなくてはならないのですが、帰りにあなたのところに挨拶に参ります」と書いた自分の手紙を届けさせ、さらにセリアに口頭で「リカルド王子は、『エステーラ女公爵は美しいという評判だが、実際に見てみたら醜かった』とおっしゃっています」と伝えさせることにする。

 

 エステーラとセリアは、美青年だと評判のリカルド王子がロレーヌに来ていることを知り、彼について語り合う。エステーラはまだリカルドを見たことはない。高慢なエステーラはこれまで数々の求婚者を断ってきたが、リカルドが自分についてどう思っているかを知りたいと望む。

 

 フリオが二人のもとに到着し、セリアにリカルドからの手紙を渡す。エステーラはフリオに「リカルド様は私のことをどう思っているのか」と尋ねるが、フリオは彼女に答えるのを渋り、セリアにだけこっそりと「リカルド様はエステーラ様を醜いとおっしゃっています」と話す。セリアは耳を疑い、フリオも自分の意見はリカルドとは違うと主張する。エステーラは誰が見ても美しい女性なのである。

 

 フリオが去った後、エステーラは「フリオは何と言ったのか」とセリアを問い詰める。セリアは答えるのを渋りながらも「愚かなリカルドは、あなたを醜いと言っているそうです」と答える。プライドを傷つけられたエステーラは、リカルドに自分への恋心を起こさせてから彼を捨ててしまおうと計画する。

 

 リカルドは自分の正体を隠してエステーラに近づこうと考え、ロレーヌの行政官とオクタビオを計画に参加させる。リカルドは身分を隠し、王子の秘書だと名乗ることにする。

 

 フリオはエステーラの元にとどまり、彼女の従者となる。エステーラ、セリア、フリオの前にロレーヌの行政官、オクタビオ、リカルドが現れる。オクタビオエステーラに 「リカルド王子の秘書ラウロが宝石を盗んだので、王子はスペインから帰るまでの間、彼の身をエステーラ様に委ねたいそうです」と言ってラウロ(リカルド)をエステーラの前に突き出す。エステーラはラウロ(リカルド)を尋問するが、彼の美しい容姿や優雅な物腰に惹きつけられる。

 

 ラウロ(リカルド)は、「ロレーヌ公国に来て、私はある女性に恋してしまいました。それでリカルド様と共にスペインに行くことを拒否し、ロレーヌに留まることを選びました。私をたいへん気に入っていたリカルド様は怒り、私に盗人の罪を着せたのです」とエステーラに話す。エステーラは彼の話を信じ、宮廷内で庇護する。

 

 エステーラは王子の気を惹くための手紙を書き、それを自分の肖像画とともに王子に届けるようフリオに命じる。エステーラとセリアはフリオに「ラウロ(リカルド)が恋している女性とは誰なのか」と尋ねるが、フリオは答えをはぐらかす。

 

 オクタビオはセリアに恋をしてしまい、リカルドに「きみの恋に協力する代わりに、ぼくとセリアとの仲を取りもってほしい」と頼む。リカルドは承知する。

 

 エステーラはラウロ(リカルド)に「私がリカルド王子に復讐する手助けをしてほしい」と依頼する。エステーラは復讐の計画を練りつつも、女性に生まれたがゆえに美しさを要求される自分の立場を不合理だと感じる。

 

 エステーラはラウロ(リカルド)に「あなたが恋している女性は誰か」と尋ねる。ラウロ(リカルド)はわざと「セリア様です」と答える。エステーラは不満に思い、ラウロ(リカルド)と愛についての議論をする。ラウロ(リカルド)は議論をしながら「あなたを愛しているが、身分が違うので隠さざるをえない」という意図をほのめかしてエステーラを満足させる。

 

 エステーラとラウロ(リカルド)は次第に心を通わせる。エステーラはセリアに「ラウロはあなたを好きだと言っているけれど、あなたは相手にしないように」と告げる。セリアは納得したふりをするが、ラウロ(リカルド)と二人きりになると彼に接近しようとする。しかしラウロ(リカルド)は「親友のオクタビオがあなたに恋していることがわかったので、私は身を引きます」と告げてセリアを怒らせる。

 

 行政官がエステーラの元を訪れ、「リカルド王子からです」と告げて手紙を渡す。手紙には「秘書のラウロの処置をあなたに任せてしまいお詫び申し上げます。彼は私の従弟であり親友なので引き取りたいと思います。あいにく病にかかってしまったので、スペイン行きを中止し、近くの村で静養しています。彼をそこへつれてきてください」と書かれていた。エステーラはラウロ(リカルド)と別れることになるのではないかと心配する。

 

 そこへフリオが戻ってきて、「リカルド王子にあなたの手紙と肖像画を渡したところ、大変お喜びになり、すっかり病気から快復してしまわれました。王子はエステーラ様にすぐにもお会いになりたいと、馬に乗ってこちらへ向かっています」と告げる。エステーラは「王子とは、夜に私の家の庭園で会うことにしましょう」と提案する。

 

 ラウロ(リカルド)は、嫉妬しているふりをする。エステーラは、自分が愛しているのはラウロ(リカルド)であり、嫉妬することになるのは王子のほうだと彼をなだめる。

 

 夜になり、雨が降ってくる。リカルドとオクタビオエステーラの指示した待ち合わせ場所に行く。リカルドは、自分がラウロと同一人物であることがエステーラにばれるのではないかと怖れを抱くが、「プライドが高く、男性をはねつけてばかりいる女性の愛情を確かめるには、このような戦略を実行せざるを得ない」と自身に言い聞かせる。

 

 フリオが二人のもとに現れ、「エステーラ様は、ラウロ(リカルド)が嫉妬しているかどうかを知りたがっておられましたが、私は『ラウロはずっとリカルド様と共にいるようです』と話しました。エステーラ様とセリア様はそれぞれのお部屋のバルコニーに立っておられます」と告げる。

 

 オクタビオはラウロ(リカルド)のふりをしてセリアに話しかけ、リカルドは王子としてエステーラに話しかける。

 

 リカルドはエステーラを口説きエステーラはそれに応えるふりをする。しかしエステーラはラウロ(実際はオクタビオ)がセリアを口説いていることに気づき、激しく嫉妬する。彼女はリカルドに「ラウロをここへつれて来てください。あなたはどうぞセリアと楽しんできてください」と告げる。

 

 リカルドはエステーラの言葉に従ったふりをしてその場を去った後、再び今度はラウロとして彼女の前に現れる。エステーラは彼に愛を告白し、「私のことを醜いと言ったリカルドに復讐するために彼に恋をしているふりをしていただけで、本当に好きなのはあなたなのです」と説明する。

 

 オクタビオはラウロ(リカルド)のふりをしてセリアを口説くことに成功する。

 

 翌日、エステーラとセリアは互いの話を聞き、「自分こそがラウロ(リカルド)と一緒にいて、恋心を打ち明け合ったのだ」と口論する。

 

 フリオが現れる。エステーラは「ラウロはどうしているのか」と尋ねる。そこへラウロ(リカルド)が現れ、エステーラは彼との再会を喜ぶ。

 

 ラウロ(リカルド)は「私は王子とともにスペインへ行かねばなりません」とエステーラに告げる。しかしエステーラは彼を引き止め、「リカルドへの復讐に協力してほしい。私は彼と結婚すると言って宮廷に呼び、人々の前で『あなたが私を醜いと言うなら、私はあなたを愚かと言う』と言って結婚を破棄するつもりだ」と話す。ラウロ(リカルド)は承知する。

 

 エステーラは、自分とリカルド、セリアとラウロ(リカルド)との結婚式を同時に行うと発表する。フリオがリカルドの到着を告げる。エステーラはリカルドがラウロと同一人物であったことを知る。リカルドはエステーラに自分の計略を打ち明け、彼女に愛を告白する。エステーラは彼の求婚を受け入れ、セリアはオクタビオとの結婚を受け入れる。フリオには報酬が与えられる。

 

 リカルドが観客に「あなたのお気に召す女性ならそれは美女、そうでなければ『醜い美女』」と告げて幕となる。

 

 


LA HERMOSA FEA TRAILER PROMOCIONAL