Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ありがちなこと(Llegar en ocasión, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1605-1608年

種類:架空の宮廷劇

補足:ボッカッチョ『デカメロン』第2日第2話を参考にして書かれている。「el llegar en ocasión」という題名の意味は不明瞭であるが、ここでは「ありがちなこと」と訳した。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 フェラーラの女性ラウラは、一か月前に夫に先立たれている。それ以前からラウラに恋していたフェラーラ侯爵は、彼女を手に入れるチャンスが得られたとひそかに喜ぶ。

 

 侯爵の従者タンクレードが現れ、ラウラがカステルグリエルモの別荘へ行ったこと、彼女が侯爵を受け入れると返事をしたことを侯爵に伝える。

 

 別荘についたラウラは、侯爵の愛人になるつもりであることを侍女のフェニーサに打ち明ける。フェニーサは、夫を失ったラウラが寂しさから男性を求めているのであろうと推測する。

 

 カステルグリエルモの羊飼いティルソが、ラウラとフェニーサを歓迎する。ティルソとフェニーサはかつて恋人同士であった。ティルソはその後、同じ羊飼いのシレーナと付き合っていたが、フェニーサに再会したことでまた恋心を燃え上がらせる。

 

 侯爵がラウラのもとへ弔問に訪れる。シレーナがそのことをラウラに知らせる。侯爵とラウラはフェニーサを交えて会話を交わす。フェニーサは、二人が互いに欲望を抱いていることに気づいている。ラウラは自身の名誉が傷つくことを恐れてはいるものの、肉欲に打ち勝てず、侯爵とその夜に逢引をする約束をする。

 

 従者のエスタシオをつれて旅をしていた青年オタービオは、旅の途中で知り合った泥棒たちに持物を奪われてしまう。

 

 夜が更ける。侯爵はラウラとの逢引に出かけようとするが、タンクレードがやってきて、侯爵を陥れようとする陰謀が発覚したため急いでフェラーラへ戻るようにと警告する。侯爵はラウラとの逢引を中止し、そのことを従者のファビオからそっけない口調で告げられたラウラは機嫌を損じる。

 

 半裸の状態でラウラの別荘にたどり着いたオタービオは、ラウラに一晩の宿を求める。侍女たちの話を聞いて彼が紳士的な人物であることを確認したラウラは、オタービオを入浴させ、亡き夫の服を彼に貸し与える。彼女は侯爵のために用意した夕食をオタービオに提供し、同じテーブルで一緒に食べる。

 

 オタービオはラウラに魅了される。ラウラもまたオタービオの優雅さに心を奪われてしまう。彼女は、これは「女性にはありがちなこと」だとフェニーサに語る。

 

 フェラーラに戻った侯爵は、陰謀の首謀者であった従兄弟のフェデリーコを捕え、投獄する。侯爵は、自分が殺されずにすんだのはラウラのお陰だと考える。彼は急いでラウラの別荘へ戻る。

 

 オタービオとラウラは初めは別室で床についたものの、互いに相手を求める気持ちに打ち勝てず、肉体関係を持つに至る。ラウラは、オタービオと離れたくないという気持ちと、自分の不名誉な噂が広がることへの恐れから、彼を別荘に引き留めておこうとする。彼女はオタービオの身分を聞き出し、自分と結婚することが可能な人物かどうかを確認しようと考える。フェニーサは、オタービオが別荘内にいても怪しまれないように、彼に羊飼いの服を着せようと提案する。

 

 羊飼いに変装したオタービオは、自分は貧しい学生だとラウラに告げる。ラウラは失望し、オタービオにだまされたと感じる。そこへ侯爵がラウラを訪問する。オタービオは侯爵がラウラに求婚していることを知り、嫉妬を覚える。

 

 ラウラは侯爵に、その夜の逢引を約束する。オタービオは傷つき、羊飼いのふりをしたまま彼女に遠回しな表現で別れを告げる。侯爵はオタービオを機知のある羊飼いだと感じ、彼に褒美を与える。

 

 侯爵が去った後、ラウラはオタービオに「貧しい学生なのに騎士のように見せかけて私をだましたあなたが悪い」と言う。オタービオは「私は本当は騎士なのですが、詳しいことは今は言えません」と答える。ラウラとオタービオは仲直りをする。

 

 侯爵の妹ディアナは、フェデリーコの恋人である。彼女は投獄されているフェデリーコを訪ねる。フェデリーコはディアナに「私は侯爵を殺すのが目的だったのではなく、自分の名誉を守ろうとしたのだ」と説明する。侯爵はフェデリーコの妹カミーラ(劇には登場しない)の肉体を奪ったにもかかわらず、彼女との結婚を拒否したのである。事情を知ったディアナはひそかにフェデリーコを逃がす。

 

  ラウラとの逢引にやってきた侯爵は、フェニーサに「ラウラ様の従兄が急に訪ねてきたため、今日はお会いできないそうです」と告げられる。ラウラとオタービオが話をしている様子を見た侯爵は、仕方なく引き返す。

 

 侯爵は、ラウラの従兄と称している人物は彼女の愛人なのではないかと疑いを抱く。彼はラウラを訪ね、「私を殺そうとした陰謀者をひそかにかくまっているのだろう」とかまをかける。ラウラは動揺し、「私は何も知りません。従兄はすでにここを去りました」と答え、あらためて侯爵と逢引の約束をする。

 

 ラウラはオタービオが本当に侯爵を殺そうとした陰謀者なのではないかと怪しみ、オタービオを詰問する。オタービオは潔白を主張し、ラウラは最終的に彼を信用することにする。

 

 オタービオとはぐれていた従者のエスタシオが、主人を探しに来る。オタービオと再会したエスタシオは喜ぶ。彼らの会話をひそかに聞いていたラウラは、オタービオが貴族であり、彼の父親は有力な政治家であることを知る。

 

 何者かがラウラの家の扉をノックする。侯爵が来たのだと思ったラウラは扉を開けるよう命じる。しかしラウラは、失神するふりをして侯爵の求愛を拒もうと計画する。

 

 扉を開けて入ってきたのは侯爵ではなく、逃亡してきたフェデリーコだった。フェデリーコは失神したふりをしているラウラを見つける。そこへ侯爵もやってきたため、驚いたフェデリーコは別の部屋へと逃げる。

 

 侯爵に気づいたラウラは、その場をとりつくろうため「亡き夫の幽霊が現れたので、恐怖のあまり気を失っていました」と説明する。フェデリーコが逃げていく姿を見ていた侯爵は、ラウラの言葉を信じ込む。恐ろしくなった侯爵はその夜の逢引をとりやめ、翌日ラウラをフェラーラへつれていくと約束する。

 

 暗がりの中でフェデリーコの姿を認めたエスタシオは、彼をオタービオだと思いこみ、話しかける。フェデリーコは正体がばれないようにエスタシオに調子を合わせて答えているうちに、自分の隠れている家は侯爵がしばしば出入りしている場所なのだということを知る。フェデリーコは暗がりに乗じて、エスタシオの夕食を横取りする。

 

 翌日、ラウラを訪問しようとしている侯爵のところへ、タンクレードからの知らせが入る。侯爵は、フェデリーコが逃亡したこと、フェデリーコとディアナが恋人同士であったことを知る。侯爵は立腹するが、もとはといえば自分がフェデリーコの名誉を汚したのだということをタンクレードに指摘される。

 

 ラウラは、侯爵とともにフェラーラへ行くことを拒否する。侯爵は怒り、口答えせずにすぐに馬車へ乗るようにとラウラに命令する。

 

 窮地に立たされたオタービオは、狂犬病患者のふりをして暴れ、ラウラを噛む。オタービオの意図を知ったラウラも狂犬病に感染したふりをする。侯爵は、感染することを恐れて逃げる。

 

 オタービオはラウラに自分の身分を打ち明け、一緒にフェラーラへ行って結婚してほしいと告げる。フェラーラでは、オタービオの父親が侯爵に二人の結婚の許可を願い出てくれるはずである。

 

 エスタシオを呼びに向かったオタービオは、彼の部屋にフェデリーコがいるのを見つける。オタービオはフェデリーコがラウラの新しい愛人で、自分も侯爵と同様にラウラにだまされたのではないかと疑う。

 

 侯爵は悪魔祓いの施術師を呼び、ラウラは快復したふりをする。そこへ怒ったオタービオが現れる。彼は侯爵の前で自分の身分を明かし、ラウラが新しい愛人を家にかくまっていると告げる。侯爵はラウラの家を捜索するよう従者に命じる。

 

 フェデリーコは侯爵に捕らえられる。フェデリーコは、ラウラが失神している間に彼女の家に侵入したのだと告白する。オタービオは自分がラウラを誤解していたことに気づく。

 

 フェデリーコ、オタービオ、ラウラはともに、侯爵に許しを願う。フェデリーコの妹を辱めたことを悔いた侯爵は、3人を許す。ラウラとオタービオ、フェデリーコとディアナ、侯爵とカミーラ、ティルソとシレーナ、フェニーサとファビオが結ばれて幕となる。