Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

トレドのアメーテ(Hamete de Toledo, el)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1606?-1612?年

種類:史実にもとづく同時代劇

補足:トレドでアメーテという名の奴隷が、雇い主の妻をはじめ多くの人々を殺害したという実際の事件に基づいて書かれた。

参照元ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 聖ヨハネ祭の日、バレンシアに住むドン・フアン・カステルビは恋人のドニャ・フアナに会う。聖ヨハネ騎士団の騎士であるフアンは、叔父の命令でマルタ島へ行くことになっている。フアンはフアナに、黒人の奴隷を買ってくると約束する。

 

 オラン(現在のアルジェリアの都市)のイスラム教徒たちも、ヨハネ祭の夜に音楽家を呼んで楽しく時を過ごす。アメーテは妻のアンヘリーナとともに祭りに参加する。彼らの友人の女性ダリマは、アメーテとアンヘリーナの未来を占う。

 

 ダリマが差し出す本を開いたアンヘリーナは、逃げた小鳥を追う女性の絵を見る。ダリマは小鳥をアメーテだと解釈し、彼がいつかアンヘリーナの元を去るであろうと予言する。

 

 アメーテが本を開くと、海岸、聖ヨハネ騎士団の十字架、鎖、絞首台などの絵が目に入る。ダリマはアメーテを待ち受ける不吉な出来事を知り、アメーテ本人にそれを告げることを避ける。

 

 オランの海岸に、多くの商品を載せたキリスト教徒の船が近づいているという知らせが入る。アメーテたちはその船を略奪しようと考える。

 

 マルタに到着したフアンは、従者のベルトランとともに叔父のドン・クリストバルに会い、聖ヨハネ騎士団の船に乗る。

 

 マラガに住む法律家のエレーラは、友人のガスパールスアレスが自分の従妹レオノールとトレドで結婚式を挙げるのを祝うため、彼らの馬の世話をする黒人奴隷を買おうと考える。

 

 商船を襲おうとしていたアメーテたちは、フアンたちが乗る聖ヨハネ騎士団の船に捕まってしまう。フアンはアメーテとアンヘリーナを奴隷にしてフアナに贈ろうと考え、ベルトランに命じて二人をバレンシアへ連れて行かせる。

 

 フアナは、アンヘリーナは奴隷として受け取ったものの、アメーテが怪力の持ち主であるのを知って恐怖を感じ、彼を雇うことを拒否する。ベルトランは仕方なくアメーテを連れてバレンシアの街を歩き、別の買い手を探す。アンヘリーナと引き離されたアメーテは悲しみに暮れる。

 

 アメーテはドン・マルティンという貴族に買われ、彼の自宅のあるマラガへ行くことになる。その途中、アメーテは暴れ牛に遭遇し、牛を素手で押さえつけておとなしくさせる。

 

 アメーテはマルティンが眠っているすきに、彼の剣を奪う。彼はマルティンを殺して逃亡し、アンヘリーナの元へ行こうかと考えるが、思いとどまる。そのときマルティンが目を覚まし、剣を手にしているアメーテを見つける。彼を雇うことが怖くなったマルティンは、マラガに着くとアメーテを安い値段でエレーラに売ってしまう。エレーラは彼をトレドのガスパールスアレスに贈る。

 

 アメーテはキリスト教徒の間でたらいまわしにされ、妻のアンヘリーナからますます遠くへ引き離されてしまったことを嘆く。

 

 ベルトランはアメーテを売った後、所持金を失ってトレドに行き、仕事を探す。彼はガスパールの従者として雇われる。

 

 ガスパールの妻レオノールは、居眠りをしているアメーテが「自由の身になるためには、誰かを殺すしかない」と寝言を言っているのを聞く。彼女は恐怖を感じ、夫に彼を解雇するよう懇願する。しかしガスパールは妻をなだめ、アメーテを馬の世話係として雇い続ける。

 

 アメーテはバレンシアにいるアンヘリーナから手紙を受け取る。孤独にさいなまれる彼は、主人のガスパールと彼の妻レオノールが睦まじく言葉を交わしているのを見て怒りを覚える。やけを起こした彼は侍女のアナから食べ物を強奪し、主人のガスパールから殴打される。

 

 アメーテは激高し、ナイフを奪ってアナを脅す。ガスパールは助けを求めて家を飛び出す。その間にアメーテは家の内側から鍵をかけてレオノール、アナ、アナの母親フランシスカを次々に刺し殺す。

 

 警吏が家の扉を破って中に入ると、アメーテは逃亡し、ベルトランを傷つけてタホ川に跳び込む。その後もアメーテは通りすがりの人々を次々に殺害しながらマドリードへ向かうが、途中の宿屋で司法官に捕らえられる。

 

 ガスパールはアメーテの捕縛を知らされる。ガスパールは愛する妻が戻らない以上、彼に復讐しても仕方がないと述べる。アメーテは拷問にかけられた後、ソコドベール広場で処刑されることになる。

 

 焼けた鋏で肉を剥ぎ取られ、さらに両腕を切り落とされたアメーテが絞首台の前に引き出される。聴罪司祭が彼の前に十字架を差し出し、聖ヨハネへの祈りを唱える。アメーテはかつて見た本の中のイメージを思い出し、予言が自分の洗礼を意味していたのだと考える。アメーテは洗礼を受け、ガスパールはアメーテの罪を許す。アメーテが死を迎える場面で幕となる。