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Las comedias de Lope de Vega

17世紀スペインの劇作家ロペ・デ・ベガの未邦訳作品を翻訳しています。Traducciones (relativamente libres) de unas comedias de Lope ineditas en japonés. はじめての方はカテゴリー「このブログについて」からご覧ください。無断転載はお断りいたします。

ハンガリーの王冠と不当な復讐(Corona de Hungría y la injusta venganza, la)

ロペへの帰属:確実

執筆年代:1623年

種類:架空の宮廷劇

補足:ロペが、1598-1603年に書いた『イギリスの裁判(Los pleitos de Inglaterra)』に多少の変更を加えて書き直したものである。現在のセルビアベオグラードが舞台となる。

参照元

ARTELOPE. Base de datos y Argumentos del teatro de Lope de Vega

 

 ハンガリー国王ボヘミアレオノールと結婚し、レオノールはすぐに妊娠する。彼らの結婚式に出席したフランドル伯アルナルドはレオノールの体を気づかい、彼女のお産が終わるまでハンガリーの王宮(ベオグラードにある)にとどまろうとしている。アルナルドはかつてレオノールに求婚していた人物であり、国王は内心穏やかではない。従者のリセーノは、レオノールを信じるよう国王を諭す。

 

 アルナルドは、国王がいない時を見計らってレオノールに求愛する。しかし国王を愛しているレオノールはそれに応じない。二人がもめているうちに、アルナルドの服の袖口の糸がレオノールの襟の金具に引っかかって身動きが取れなくなる。そこへ国王が現れる。

 

 アルナルドはとっさに「王妃様の顔に蜘蛛がついていたので追い払ったのです」と弁解する。その言葉に驚いたレオノールは失神する。二人の仲をあやしむ国王は、自分が赴くつもりだったポーランドとの戦争に、アルナルドを代わりに派遣すると告げる。アルナルドはやむなく了承する。

 

 レオノールは双子の王子を産む。王はその子たちがアルナルドの子だと思い込み、リセーノに王妃と子どもたちを殺すよう命じる。

 

 リセーノは王妃の無実を信じ、彼女と双子の命を助ける。リセーノは、たまたまその直前に死んだ侍女の死体を王妃の死体と見せかけて王の目をごまかし、双子を自分の子どもとして育てる。

 

 20年が経過する。アルナルドはレオノールを殺したハンガリー国王に復讐しようと、ポーランドフェデリーコと手を結ぶ。ハンガリーベオグラードのみを残して占領されてしまう。リセーノは国王の不興を買い、領地を取り上げられ、貧しい暮らしをしている。双子の王子たち(エンリケアルベルト)はリセーノの娘たち(ベリーサリサルダ)とともに成長する。

 

 エンリケは、自分の姉妹だと思っているベリーサに恋し、悩んだ末、家を出ようと決心する。そのときポーランド軍ベオグラード市内へ攻め込んでくる。エンリケとアルベルトは剣を持って戦う。

 

 国王は山中へ逃亡し、ポーランド軍が王宮を占領する。

 

 リセーノのはからいで山の中に隠れ住んでいた王妃レオノールは、リセーノから国王が逃亡したことを知らされる。

 

 負傷し、山の中をさまよっていた国王は、王妃と子どもたちへのかつての仕打ちを後悔する。国王は村人に見つかり、自分の身分を兵士だと偽る。王妃は変わり果てた国王と再会し、正体を隠したまま国王を家にかくまう。

 

 エンリケとアルベルトは勇敢に戦い、ポーランド軍ベオグラードから追い出す。市民たちは逃亡した国王が死んだと判断する。双子たちは、互いに自分が王座につくべきだと主張する。リセーノは二人に「いったん城門を閉じ、明日の朝もっとも早くベオグラード市内へ入ってくる者に、だれを国王にするか決めさせよう」と提案する。双子たちは父の判断に従う。

 

 山に潜んでいた国王は、ポーランド軍が退却したということを知り、王妃に自分の身分を明かす。王妃は自分の正体を隠したまま、村人に扮した国王に付き添って王宮へ向かう。城門へ到着すると、アルナルドとフェデリーコが城壁の上で助けを求めているのが見つかる。国王が彼らをリセーノの家へつれていく間、王妃が城門の前で待っていると、夜が明け、リセーノが城門を開ける。リセーノは王妃を見て驚くが、彼女に事情を話し、だれを国王にするか決めてほしいと告げる。

 

 村人の姿をした王妃が判定者となり、ハンガリーの王冠を前にして、双子たち、リセーノ、村人に扮した国王、アルナルド、フェデリーコが集められる。リセーノは、双子たちが前ハンガリー国王と王妃の子どもであり、国王の命令に反して自分が助けたことを証言する。アルナルドは、前国王が王妃の不義を疑っていたこと、しかし王妃は貞節であったことを証言する。

 

 王妃はベリーサとリサルダを双子たちの妻とすることを認め、フェデリーコを解放すると告げる。国王は王妃の、村人と思えぬ賢明さにひそかに感嘆する。最後に王妃は村人の姿をした国王に王冠を与える。

 

 国王は、驚いている皆の前で自分の正体を明かす。双子たちは、国王が彼らの母を殺したことを非難する。すると王妃が正体を明かし、自分が彼らの母親であることを告白する。国王と双子たちは、王妃が生きていたことを喜ぶ。王座につくべきは誰であるか、観客に判断がゆだねられて幕となる。

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ディエゴ・ベラスケス

ハンガリー王妃マリア・デ・アウストリアの肖像》

1630年頃

プラド美術館

https://www.museodelprado.es/

 

 

lopedevega.hatenablog.com